表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
問題児雪だるまレイ  作者: 雪だるま


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

13/16

お兄ちゃん、雪だるまなのに……寝てる、の……?



その夜、雪の宮殿には雪の精霊たちも眠りに落ち、

氷の壁も凍ったままの沈黙に包まれていた。


スノレイナは、そっと起き上がった。


夢を見ていた。

お兄ちゃんが白狼と空を飛びながら「のだぁあああ♡」と絶叫していた夢だった。

寝ながら笑ってはいけないと思い、そっと寝室を抜け出した。


静かに、兄の部屋の前に立つ。


扉を押し開けると――


そこには、衝撃的な光景があった。



■ 寝てるレイ(問題児仕様)


レイは――

完璧なドヤ顔で、仰向けで、胸を張り、片手を突き上げたポーズで熟睡していた。


「……すぴー……のだぁ……♡

うへへ……褒めるのだぁ……のだぁ……マウントなのだぁ……」


顔は堂々。

口角はご満悦。

呼吸はなぜか鼻笛のような音を鳴らしており、全体的に眠りながら勝ち誇っていた。


スノレイナ、硬直。


「………………」


小さく、自分の腕を見た。


「……雪だるま、って……寝る、の……?」



■ 妹の中で何かが崩れた


スノレイナの中で、

静かに雪だるまの“あり方”に対する哲学的な崩壊が始まっていた。


(雪でできてるのに……)

(体温、ないはずなのに……)

(生物でもないのに……)


(……なんで、寝てるの……?)


「……むしろ……熟睡してる……の……

……なんで……手、あげてる……の……?」


兄の寝言がさらに続く。


「……吾輩が……一番なのだぁ……かき氷三杯食べれるのだぁ……

雪の王国で……吾輩が……唯一の……恋多き男……なのだぁ……のだぁ……♡」


「………………」


スノレイナ、そっとしゃがみ込んだ。


(……すごい……こんなに静かなのに……うるさい、の……)



■ 観察する妹


彼女は雪の精でありながら、感情表現は控えめで、

基本的には淡々とした性格をしていた。

だが今、兄の寝姿という奇跡を前にして、あらゆる概念が揺らいでいた。

•なぜ雪だるまが寝るのか。

•そもそも兄は眠る必要があるのか。

•寝る時までポーズをとる意味は何なのか。

•あの鼻笛はどこから出ているのか。


「……お兄ちゃん、ほんとに……生き物、なの……?」



■ そっと毛布をかける


スノレイナは部屋の隅から毛布を一枚、よいしょと持ち上げた。


兄の姿はすでに半分はみ出していた。


「……すぐ、風邪ひく、の……

……たぶん、ひかない、けど……」


そっと、毛布をかける。


その瞬間――


「のだぁああああ!?!?吾輩は悪くないのだぁあああ!!ママが悪いのだぁあああ!!!」


レイ、飛び起きた。


スノレイナ、**びくっ!**と跳ねて数歩後ずさり。


「お、お兄ちゃん……!?ね、寝てた、の……?」


「の、のだっ!?スノレイナ!?なんでいるのだぁ!?

吾輩、何か夢の中で弁明してた気がするのだぁ!?!?」


「……お兄ちゃん、雪だるま、なのに……寝てた、の……」


「のだっ!?あたりまえなのだぁ!?寝ないと夢が見れないのだぁ!?夢見ないと成長できないのだぁ!!」


「……成長……する、の?」


「のだぁっ!美的進化なのだぁ!!」



■ 翌朝


スノレイナは朝の食卓で、静かにレイを見ていた。


レイは寝癖を直しながら、鼻歌交じりでかき氷を食べていた。


「えっへん♡寝る子は育つのだぁ♡美形も育つのだぁ♡」


雪の女王が、つぶやいた。


「……寝るというか、夢の中でも喋ってるだけのような……」


スノレイナは、ぽつりと呟いた。


「……雪だるまって……不思議、の……」



エピローグ


その夜。

スノレイナは日記帳にそっと書いた。


「お兄ちゃん、雪だるま、なのに寝てた。

なんで……?

たぶん、寝なくても元気なのに……

でも、お兄ちゃんは……ずっと夢を見てるみたい、の。」


ページの端には、小さく落書きされた兄の絵。

ドヤ顔で寝ている、完璧なポーズの雪だるまが描かれていた。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ