「うぇえええええん!最低なのだぁあああ!!」
雪の宮殿。
王座の間の天井に、三日ぶりの“騒音”が響き渡った。
ド ン!
氷の扉が狼に蹴り破られる勢いで開かれる。
駆け込んできたのは――袋詰め状態でボロボロになった、二体の雪だるまである。
引率:真っ白な狼(若干呆れている)
⸻
氷の床に転がる兄妹
「のだぁああああああ!!!」
レイは雪玉のように床を転がりながら叫んだ。
「うぇえええええん!最低なのだぁ!最低なのだぁあああ!!
おかげで汚れたのだぁああ!かき氷も食べれなかったのだぁあああ!!
吾輩は繊細な雪だるまなのだぞぉ!?外気に当たりすぎて白さが損なわれたのだぁああ!!」
スノレイナはその後ろでぺたんと座り込み、小さく震えていた。
「……うぇ……ひゅっ……お、お兄ちゃん、痛かった……の……」
⸻
女王の登場
奥の廊下から、静かに足音が響く。
雪の女王は、完璧な寝起きヘア(整っている)と、ほぼ無表情のまま、レイたちを見下ろした。
「……おかえりなさい」
レイ、吠える。
「うわあああああああん!!!
何が“おかえり”なのだぁあああ!?
母親とは思えぬ無責任っぷりなのだぁあああ!!!
寝起きで凍らせて追い払って袋に詰めて氷河に飛ばしてっ!!
吾輩たち、3日間も地吹雪の中で狼の背に抱っこ移動だったのだぞぉぉぉぉおおお!!!」
スノレイナ「……狼さんが……夜、あっためてくれた、の……でも……ごはんは、なかった、の……」
レイ「養育義務を果たせなのだぁあああああ!!人権侵害なのだぁ!!雪権侵害なのだぁ!!」
⸻
女王、反論しない
雪の女王は沈黙を保っていた。
レイの怒号が室内に反響し、スノレイナの目が潤んでいく。
「うわああああああん!!ひどいのだぁあああああ!!
この白狼ハニーがいなければ吾輩たち白骨だったのだぁあああ!!
いや、そもそも吾輩骨ないのだがっ!!」
「うぇえ……ママ……ひどい、の……」
ついに女王が、口を開いた。
「……次から、袋に“カロリーバー”でも入れておきます」
「そこじゃないのだぁああああああああ!!!!」
⸻
その後
雪の女王は、レイの怒号を20分ほど受け続けたあと、
「温かいかき氷(※意味不明)」を準備させた。
レイとスノレイナは、
一緒にお風呂に入れられ、干された袋の横で毛布に包まれていた。
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エピローグ
その夜、日記にはこう書かれた。
「レイたち、氷河から帰還。元気ありすぎて逆に安心。
袋詰め対策を強化する必要あり。
スノレイナが少し怒っていて珍しい。将来的に冷静な抗議者になる可能性」
「レイ、怒鳴り疲れて1時間昼寝。口から“のだぁ”しか出てこなかった。健康」
レイは夢の中で、白狼と一緒に城の上を走っていた。
「のだぁ♡ハニー♡やっぱり母親より狼なのだぁ♡♡♡」
そして朝にはまた、騒音が戻っていた。




