感動
なんだかんだ、難なく、学校は卒業できそうだ。
何も問題なく、何も問題なく。刺激が足りない、刺戟が足りないよ。
いつも通り、渋谷に行った。なあ、愛子、刺激が欲しいんだが、なんかない?君はね、いつもそう、誰かに頼って、何かをもらって、そうやって自分では何もしないのよね、私は別にあなたと居られればそれで良いのだけれども。
いや、僕だって、自分でしてきたよ、自分の意志で物事を決めてきたつもりだよ、側から見ていたらそうやって見えるかもしれない、でも、でも、僕は僕の意志で、、、
そういえば、愛子は学校どうしてるんだ?
私はずっと働いているし、これからもそれで良いかなって思ってる。別に大変じゃないし。
愛子は何かやりたいことはないのか?
んー強いていうなら、最近、ゴッホ展が六本木でやってるみたいだし、そこに私行きたいわ。
え、なんか、会話になってない気がするが、まあいい、たまには。
六本木についた。森美術館に向かう途中。東京タワーが見えた。
東京に住んでいるのに気にすることなく生きたいたが、その美しさにもう少し近づきたいと思ったが、まずは彼女に付き合うとしよう。
フィンセントファンゴッホ。聞いたことはあった。美術館に入ると、とても静かな空間に、絵が飾られていた。
その日は雨が降っていて、人が疎で、ほぼ貸切状態。これは珍しいのかどうなのか僕にはわからないけれども、誰もいない空間に、音楽も、明るいネオンもない。
星月夜。美しい。
現実でこんな世界があったらば、いや、こんな感じに見える目があれば。自然に涙がこぼれ落ちた。
刺激を通り越して、感動した。
なぜ、僕は、もっと早く知ることができなかったのだろうか。刺激よりも感動を求めた方が良かった。
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