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実はコバンザメって鮫じゃないんだよね

イラストは相出憩様よりいただきました♪

挿絵(By みてみん)


 それから和泉は、原田節子について知っている情報を頭の中で整理してみた。


 確か彼女は自殺したあの、米島朋子の追随者だったはずだ。


 直接会ったことは数えるぐらいしかないが、いろいろな意味で『強い』人間の影に隠れて身を守るタイプだと思う。


 重要なのは被害者が美咲にとって敵か味方か、ということだ。


 そういう意味で言えば【敵】と認識して間違いないだろう。


 彼女が意に沿わない結婚を強いられた原因を作ったのは、他でもない米島朋子であり、もしかすると原田節子も一枚噛んでいたかもしれない。


 これから【鑑取り】も行われることだろう。

 鑑取りとは、被害者の交友関係を洗うという、事件の核心に触れることになるであろう重要な作業である。

 

 もしも頭の悪い刑事がガイシャの交友関係を洗ったところ、怨恨の線では藤江美咲という女が怪しいなんて言い出した日には、あまり頭の良くない管理官と1課長のことだ、すぐに任意で引っ張れと言い出すことだろう。


 そんなことをさせてたまるか。


 和泉はつい、はーい、と手を挙げた。


「なんだ?」

 不機嫌そうな1課長の反応などはお構いなしに、思ったことを口にする。


「被害者はけっこう高価なブランドバッグを持っていました。ですからやはり……犯人の狙いは金品だったと思われます。医者を狙った暴行事件に巻き込まれたにしても、犯人達は、彼らがお金を持っていると言う認識の元にそういった行為を繰り返しているわけですから」

 管理官は納得しかけた顔をしたが、少しして首を傾げる。


「しかし、バッグは現場に残されていたじゃないか」


「中身はすべて持ち去られていました。それによく見たら、カバンには大きな傷がついていました。恐らく強奪した際か、転落した際についた傷でしょう。そうなると商品の価値はかなり下がってしまいますからね」


 管理官は聡介の顔を見た。


 父は黙って頷いてくれている。

 いいぞ、そうこなくては。


 曲がりなりにも美咲に疑惑が向けられるようなことだけは、避けなければ。


「と、いうことですから。地道な地取りによって真相は明らかになるんじゃないでしょうか? それから近隣の質屋を徹底的に回って、ですね……」

 にっこり笑ってそう続ける。

「僕、張り切って地取りに行って来ますから、今夜はとりあえずお開きにしませんか?」


【地取り】とは、現場周辺の目撃情報を集めることである。

 基本的に若手の刑事や所轄署の刑事に割り当てられる役割だ。

 ひたすら歩き回らなければならないし、地味で辛い作業である。


 それをベテランの域に入る和泉が自ら買って出たことが、上官達の印象を良くしたらしい。


 それでは、と捜査1課長の定型文に沿った激励の言葉が飛ぶ。


 会議は終了した。


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