Q:馬車の旅は何日目ですか? A:まだ、一日目だな
今回も後書き長くてすいません
アビゲイルさんの街から第六魔王の領地までは一ヶ月かかるという
今日はその一日目、夜だ。そんな頻繁に、村なんてある物ではないので野宿です
固い土の一本道は、所々で大きな広場がある。茶色い広場で特に何かある訳ではない。その広場に馬車を止め、馬車の隣でテントを張る。テントといっても、馬車に大きな厚めの布をくくり地面に固定。風を多少防ぐ程度だ
まあ、夏場だし。あとは毛布さえあれば問題なし。アビゲイルさんは馬車内で休み、俺を含めた魔族の姉妹は交代で見張りだ
といっても、今はまだ日が落ちかけている最中。完全に日が沈んだら寝るだけだ。アビゲイルさんとコレットさんは馬車内で着替えると。野宿でも着替えるとは、流石は魔王だ
〈ちょっと今の意味、解らないんですが〉
解る様になりたまえ
二人が出てくるまで、俺とマールさんはテントの外で焚き火を囲む。マールさんの真横には俺が作り出した木の枝がある。勿論乾燥させてるよ?
乾燥させなくとも、焚き火を四分の三程を土で囲み、燃え移らない高さまで積んだら。その上に湿った木の枝を網目状に置き、下の焚き火で乾燥させる。という手もある
めんどくさいので最初から乾燥した枝を作ってやりました。燃えそうな物を探して来い。とコレットさんにいわれたので、出来る男アピールです
「それにしても、よくここまで乾燥した枝が落ちてたもんだな」
「本当、運が良かったです」
マールさんが焚き火に枝を焼べながら話しかけて来た。彼女、第一印象は最悪だったけど、思ったよりいいお方じゃないの。話しかけてくれるだけで、いい魔族認定できてしまう程、俺はスキンシップに飢えているのだ
さばさばした性格というのも高ポイントである事は間違えない
「お前。昨日話してた話は本当なのかよ」
「魔王に嘘つける程、俺は強くないですよ」
「オレが一番気になるのはやっぱキメラだな」
「あの時の俺にマールさん程の力があれば、今頃は村の護衛として働いてたはずなんですけどねえ」
「バカ言うなよ。キメラ型といえば、絶滅する前は魔物の中でも上位種なんだぞ」
へ〜
ん? 絶滅?
「絶滅ですか?」
「ああ。キメラ型は、ポピュラーな獅子頭から、一体しか確認できなかった人型まで。百年くらい前に絶滅してんだ」
「いや、でも」
「いいよ。別に今日一日で、お前がどんなタイプの魔族かは大体察せたから」
ほう、是非お聞きしたい。他人からみると俺はどんな風に映るのか。どう見ても子供だがな
〈きっと、にじみ出る変態臭が嗅ぎ分けられたんでしょう〉
今日ちょっと辛辣すぎやしませんかね?
〈いえ、いつも通りです〉
「移動中、主様と仲良くなろうとする物好きなガキだと思ってたけど、オレよりも辺りを警戒してた。暗い馬車内を明るくしようと頑張ってた。けったいな節介焼きだ
あの話も、まあ。嘘ではないと思おう」
うん。マールさんは、人を見る目がないな。俺の評価を聞いて、俺がそう思うんだ。間違いない
まず第一に、俺がアビゲイルさんに話しかけ続けるのはお付き合いしたい、結婚したいという下心だ
次に、別に警戒なんてしてない。勝手に察せてしまうだけ
最期に、俺は節介を焼くタイプじゃない。焼かれたいタイプだ
少しばかり返答に困る
「い、いやあ。俺はそんなに出来た人間じゃありませんよ。流石に送ってもらってる身ですから、何もしないという訳にはいきませんよ」
という事にしてこう。何かをしているつもりなんてないが、そう思ってくれるならそれでいいじゃないか
なあ?
〈かなりクズの発想ですね〉
「まあ、少しは信頼できる男だという事は言っておこう」
マールさん。アンタ……チョロいな。チョロすぎだ
悪い男に引っかかる様なレベルのチョロさ。心配しちゃうぜよ
そんな事を思ってたら、コレットさんがテントから出てきてマールさんの頭を引っ叩く
「何してるんですか貴女は」
「姉さんこそいきなりなんだよ。主様はもう寝たのか?」
「ええ、お休みになられました。私たちももう寝ましょう。明日も私が運転しなくては行けないので、最初は私が見張ります。貴女達は先に寝なさい」
「わかった」「わかりました」
「私の次は、マールかキリル様のお二人で決めてください」
寝る順番ね〜。俺は気にしない。最期でもいい
日本計算だと、夏は日が落ちて登まで。ええ、九時間くらいかな。三人で割れば、六時間は寝れるだろ? 真ん中が一番ツラそうだね
因みに冷静な時ならコレットさんは、俺の事を様付けで呼ぶ。う〜ん。誰かに名前呼ばれるの久しぶりだなあ
いつもは『主』と呼ばれ、アビゲイルさんからは『少年』。マールさんからは『お前』が定着してしまっている
友達少ないな〜
〈名前で呼ばれ、友達判断って。子供ですか〉
うるさい! 距離を感じるだろ!? お前は呼ばれたくないんか!
〈私は主以外とは離せないですから〉
oh,ブラックジョーク
結構洒落にならない事を言いよったぞコイツ
「お前はどっちがいい? オレはどっちでもいいぞ」
「では、俺はコレットさんの次にします」
「わかった。じゃあ、姉さんお休み」
「ええ、おやすみなさい」
欠伸を一つして、マールさんがテントの中に入っていく
俺も寝よ。固い土に一度触れて、どれだけ硬いかを確認する。余裕余裕、洞窟は石だった
全魔眼、なんかあったら起こしてね
〈了解致しました〉
「待ってください。キリル様。貴方はここで寝る気ですか?」
「ええ、そうですよ。流石に子供とはいえ、男と同じテントは嫁入り前に、いけないでしょう?」
寝転がりながらそういうと、コレットさんが、朝道端に落ちている吐瀉物でも見る様な目で見て来た
そろそろ、コレットさんの俺の扱いについて涙してもいいはずだ
〈十歳そこらの子供が言う台詞じゃないからですよ。なんですか嫁入り前って、オトンか。アンタはオトンか!〉
誰がオトンか。確かに中身はいい年齢だけどな。娘息子がいてもおかしくない
ああ、前世。結婚してたら。嫁いたか?
〈くだらない事思ってないで、あの女の目線どうにかしてください。私こういうのに敏感なんですから〉
目だけに
〈……言おうとしたのに〉
本気で落ち込むなよ。解った。解りましたよ!
「コレットさん? 俺変な事言いましたか?」
「ええ、大分子供らしくない事を」
「失礼しました。もう少し言葉を選びます
ええ、美人な女性と寝るのがドキドキしてしまうので外で寝ます」
〈うわあ、キモ〉
酷い言われようだ。コレットさんも俺をそんな目で見ないでください
何がいけないのか。それを考えようとしたら、テントから鞘が飛んできました。速すぎて回避行動できないレベルでだ
投げたのは間違いなくマールさん。彼女以外、剣を装備してる魔族はこの場にいない。頭の横に深く刺さった鞘を見た。鞘しかないのになんで地面に刺さるの? バテッィングセンターのボールだって、地面に投げつけても刺さりませんよ
〈それはボールだからです〉
「お前鞘もってこい」
「殺気が強すぎてテントに入りたくありません」
「大丈夫だ。利き手で我慢してやる。早く来い」
敵味方から命を狙われる野宿なんて嫌だ
この場はコレットさんが、鞘をテントまで持っていくという事で事無きを得た。右手がちょん切られるのは勘弁して欲しい。何回生え変わればいいんだ。ってことになるから
大体谷底に落ちた時だって、めちゃくちゃ痛かったんだぞ? 崖から落ちた時だって、切られた時の痛みで気絶した様なもんだ
俺は痛いのが嫌いなの
〈でしたら、もう少し言葉を選んでください〉
そんな気はないんだけどなあ
特に何者からの襲撃がある訳でもなく。平和な夜が過ぎていく。昨日のベットで寝るという感動で、もう地面じゃ練れないかと思ったが、そんな事もなくかなり寝れた。見張りがいるってのはいいもんだ
前回、キリルが心の中でコレットさんの事を『レティ』と呼んで、統一されていない件につきまして……え?
後書きの途中ですが、ここで悲報が届きました
ええ、『投稿者のテストが近づいて来ている』との事です。投稿者の研究家である投稿者さんに中継が入っています
投稿者さん! この情報は正しいのですか?
「ええええ〜。まず、間違いありませんね。投稿者はそろそろテスト勉強をした方がいい」
となると、この作品の投稿速度は?
「二日にいっぺんになりますね。はい。まず、間違いありません。しかも、テスト中は投稿できないでしょう。まず、間違いありません」
なるほど、ではブックマーク件数も大変な事になるでしょうね?
「まず、間違いありません。ええ、読んでくれている方々には申し訳ありませんが、少々お待ちいただけると幸いです」
ありがとうございました。コレットの『レティ』呼び事件。につきましては次回の後書きでお会い致しましょう
以上、QAの後書きコーナーからの放送でした
『マジでごめんなさい』