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「あれは…いったいなんだ、なんなのだ?」
我が国の犯罪奴隷どもをかき集め、ソーンツァの軍にぶつける
その計画を実行し、自軍の被害が抑えられている
それは良い、計画通りだ。
だが、あれはなんだ?
遠見筒の先では奴隷部隊が、いや奴隷部隊の一隊が血煙を上げていた
その一隊は前線と言う言葉を知らないかの如く敵陣の中まで深く切り込んでいた
止まらない、止まらない、やや蛇行しながらただただ暴れる
無論、そんな奴隷部隊が開けた穴も敵兵で埋まりそうにはなるが、閉じ切る前に正規歩兵隊が入り込み、敵を分断、小規模包囲殲滅を行っていた
他の前線には無い謎の余裕、その中心は奴隷部隊
「あの奴隷部隊に何が居るのだ、名のある賊でも居たのか?」
副官に聞くが答えは否、窃盗に詐欺、不正徴税人に流民といった者しか居ないという
あの部隊が凶悪犯共ではないのであればこの戦働きで恩赦も与えるのもやぶさかではない
などと私が考えていると、戦場が動いた
裏をかき回された敵前線の補充が止まり、崩れ始めたのだ
私は声を張り上げる
「好機ツ!今ここが好機!騎兵隊、突撃し彼奴らを撃滅せよ!!」
ここで今回の戦を決する
侵攻を跳ね返し、いったんの和睦を結ぶためにも痛打は与えておきたい
今回の侵攻は敵も皇子が率いている、その皇子が討てれば最上だが……
「まあ、高望みはすまい」
突撃を命じた四半刻後、敵第二皇子の身体が届けられ狂喜したのは言うまでもないだろう




