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後ろには弓兵、前には敵軍
俺も含めて周りの部隊の奴らは粗末な木槍と襤褸切れを纏い、何を言ってるか判らんクソ共の口上を聴き流す
俺の真横の奴は歯をガチガチ鳴らしながら聞いたことない単語を連呼して、真後ろの奴は俺の髪を見て心底嫌そうに顔をしかめていた
何故、こうなった
どうしてこうなった
確かに生きてても何の価値もないような生き方をしてきたかもしれない
だが誰にも迷惑なんかかけていなかったし、詐欺をしたとか万引きしたとか悪事を働いたこともない
人並みに仕事して、人並みに酒飲んで、人並みに楽しんでた
それだけだ、それなのに───
鬨の声があがる、周りが動く、前に出る、出ざるを得ない、ここに来るまでに逃げようとした奴は弓で撃たれて死んでいた、同じ目には合いたくない
木槍を強く握る
頼りなくとも命をこの棒切れに賭けるしかない
走る、走る走る、走る、走る走る走る走る
敵が、いて
槍を突き出す、刺さる、引き抜く、立ってる、突き出す、刺さって折れる
槍を奪う、敵は倒れた
まだ、敵はいる、刺して、抜いて、折れて奪って、刺して抜いて刺して折れて奪って
しにたくないからさしてぬいてうばってしにたくないからさしてぬいてうばってしにたくないからさしてぬいてうばって
死にたくないから、盾を奪った
死にたくないから、鉄の短槍を奪った
死にたくないから、兜を奪った
死にたくないから、鉄の剣を奪った
死にたくないから、ただ奪った
死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない死にたくない
何人刺して、何人斬って、何個奪ったかもうわからない
ふと、今しがた奪った剣が今までの物よりも良く感じた
足元に倒れているのも粗末な襤褸纏いではなく、鎖帷子を着込んでいるようだった
周りを見れば近くで先ほど髪を見てしかめっ面してたのが苦戦していたようだったので折れた剣を倒れてるのと似た装備の奴に投げつけておいた
それを隙と見たのだろう、剣と槍、二つ襲ってきた
死にたくない
血だまりが3つに増えた
俺の包囲が厚くなる、死にたくないから、死にたくないから───
音を拾った、振動を感じた
重い足音に、嘶き
──────突撃騎兵
囲みが、崩れた
そしてその囲いの向こうに金に輝く装飾付きの全身鎧が見えた
直感が言う
死にたくないなら、あいつを奪え───
狙う、狙え、剣を構えろ、全力で、投げろ
死にたくないのだろう?
「ォ、オオオオオオオオオオ!!」
狙い過たず、金色の命を奪った
初投稿です
これから頑張っていきます




