外の世界
遅くなり申し訳ありません。
スランプに陥り、かいてもかいても駄目になり、初心者である自分に嫌気が差していました。
頑張りますので、ご容赦ください
.....太陽も頂上へ達し、ジリジリと地を焦がす頃合い、勝間は人生新しくシルヴァリオとして目を覚ました。
健康そうな白地のきめ細かい肌に小さな紅葉手。
まじまじと見つめたその両手首には、先程シルフィードが描きこんでいた龍の紋章と、やはり意味の分からない文字が刻み込まれていた。
いつか分かるときが来るのだろうか、そう考え耽りかけた僕の耳に、賑やかな人々の交わす声が届く。
音源の方向は自分から見て正面。
日差しである程度の光が遮られた窓の向こう側から、どうやらそれは届いているようだった。
その音源に興味を持ち、沈み込むような上質なソファーから腰を上げる。
立ち上がることによって一回り高くなった視線。
その視線は、たちまち体の慣れが無いためにソファーに尻餅をつくことによって元に戻ってしまった。
思うように進まなかった足を見つめ、一つの仮定をつくる。
(違和感がある。やっぱり、転生前と年齢が違うから、高さの違う人の自転車に座るみたいに安定しないのか......?)
導きだしたその仮定が正しいのならば、今の感覚も説明がつくのだろう。
そうなれば、今すぐに自力での移動は難しい。
そう判断した僕は、隣で何も言わずジッと待機していたエルティアカさんに頼むことにした。
「エルティアカさん」
「はい、なんでございましょうかシルヴァリオ様」
「少し外が見たくなったから、僕をあそこの窓まで運んで外を見せてくれないかな?体が寝たすぐだから、思うように動かなくって」
もっともらしい理由をつけて頼んでみせる。
すると、エルティアカさんは聞くとすぐに快く受け入れてくれた。
体を軽くはたいて腕を捲り、僕をお姫様抱っこする。
されるがままにたどり着いた窓際の押し上げ窓を、どうやって開けるのかと観察していたエルティアカさんの、ブツブツと何事か呟いた魔法?によって、スルスルとひとりでに開かれた。
(おぉ、今のが魔法なのか!やっぱり、こっちの世界で魔法は普通なんだな!)
興奮する子供心を抑えながら、取り敢えず今の目的である外の世界を拝むために顔を窓の外に出す。
すると、僕の眼前に、今まで見かけたこともないような独特な世界が色鮮やかにグッとおし出された。
そこに広がる光景は、人気賑わう下町。
道の折々に構えられた出店を両脇に挟みつつ、真ん中が馬車道となったその間を人々が目まぐるしく行き来している。
それほど都会では無いのだろうか、視界に捉えられる割合として二割ほどに、青々と繁った古木などが見かけられる。
遠くに見える山々の上空には、雲の縫い目を悠々とはばたく龍らしき姿も確認できる。
そんな楽しげな光景のなかにある、とある一つのものが、僕の目に留まった。
「あれは......?」
それは、数ある店の中でも一際大きな存在感をもつ、黒々とした高さ12、3メートルほどの大きなレンガづくりの建物。
特に人の出入りが激しい、持ち合わせの記憶で表すのならば商会とでもいうようなものであった。
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一先ず下ろしてもらい、今見た景色を脳裏に焼き付けつつ、気合いで倒れないようバランスをとってエルティアカさんに質問する。
「ねぇ、あの大きな黒い建物ってなんなの?」
「あれは、アルツヴェイン領に数多く存在する、ゲイン率いる《朝焼けの商会》でございます。初心者から上級者に向けた幅広い品物を扱っており、人々からの信頼も厚いという中々の希な商会です」
「へえ、やっぱり商会なんだ」
「勘が鋭いですね、シルヴァリオ様。興味を持たれたのならば、一度、下町へと参り覗いてみてはいかがでしょうか?」
勝間が分かりやすいように要点を纏めて説明し、更には知識向上を目的とした見学も提案してくるエルティアカの手腕に若干舌を巻きながらも、勝間はその提案には賛成であり、すぐに行きたいと彼女に頼んだ。
そして、勝間が下町に降りるのは、それから二時間ほどした後のことである。




