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第60話 あいさつ回り 前編

二日酔いが醒めた翌日


「おはようございます、旦那様」

「おはようございます、オルスさん。昨日はご迷惑をおかけしました」

「いえいえ、勢い余ることはよくあることです。国王陛下も何度か二日酔いになられたこともあったそうで、公務の時が特に大変だったと父から伺っております」

「陛下もか…」


ちょっと、似ているのかもな…


「それよりも、だんな様。今日は、冒険者のお仕事ではなく、準貴族としての公務をされた方がよろしいかと思います」

「公務…」

「あなた様は、準貴族と言えど、立派な領主でございます。まずは、領民たちへあいさつ回りをされませんと、悪印象を持たれることになりかねませんよ?」


オルスさんの言う通りだ


冒険者であると同時に、準貴族であることもすっかり忘れていた


それと

「あれ?メイドさんの姿が見えませんけど…」

「彼女たちでしたら、シーナ様の着替えなどを手伝っております。まさか、覗きに行くわけでは…」

「しません!!」


というか、以前に公爵家の屋敷の風呂で全裸を見てしまったんだけどね…

それは黙っておこう


ただ、気になることがある

「あいさつ回りとなると、馬車とかが必要ですよね?」

「マスター、あっしらを忘れないでくだせぇ!」


おっと、彼らの存在もすっかり…


「ごめん…」


「いやですわ、マスター。わたくしたちの存在を忘れてしまうなんて」

「まったくです。もう少し主としてしっかりしていただかないと」


昨日と違って、別の意味で頭が痛い


「今日は、誰の背に乗るんですかい?」

「そうだな、いつもタイシの背中に乗せてもらってるけど、今日はマックスでお願いしようかな」

「俺か!?」

「嫌なのか?」

「嫌じゃねぇよ!ただ…、いっつもタイシばっかりで狡いなと思って…」

「嫉妬してたんだ…」

「ストレートな事言うんじゃねえよ!」


やれやれ、素直に言えばいいのに…


「おまたせ、ベル君」

「おは……」

「ん?どうしたの?」

「な、な、何てエロい格好してるんだよ!?」


シーナさんの格好は、背中丸出しで、胸のラインを強調するかのようにピタッと密着しており、とどめには太ももまで丸出ししているワンピース


いや、ワンピースと言えるのか?


し、しかも…、胸の方を見ると、うっすらと乳首が見える…


いかん!

見ちゃいかん!


僕はすぐに違う方向を見る


でも…、ちょっとだけ…見たい…


「ていうか、シーナさん!その格好で出かけるの!?」

「そうよ?」

「いやいや、おかしいでしょ!?男の人から見たら、誘惑しているように見えちゃうよ?」

「これ、私が望んで着たと思う?」

「…どういう事?」

「そこのメイドさんに聞いてみて…」


顔を見ると、赤くなっている

やっぱり、恥ずかしいのか


「ニレイさん、カレイさん、何であんな服を選んだんですか?」

「え?少しでも、お二人の関係を縮ませようと私たちが選びました。いわゆる、勝負服ですね!」

「勝負服です」

朝っぱらか何を言い出してるんだ!?

「シーナさんの下着姿もご覧になります?」

「結構です!!」



朝から疲れそうだ


「ギャアギャアうるさいな!まだ、朝の6時だぞ?」

「シュルスター、この時間から起きてて普通なんだよ。というか、お前はいつも何時ごろに起きてるんだ?」

「だいたい、10時か11時前後だな…」


シーナさんよりも問題のある人が…


「て、シーナ!その格好はやめてくれ」

「シュルスターはこの格好は平気じゃないの?」

「平気じゃないに決まってるだろ!大体、そんな格好は夜のイメージが強いんだよ!」

「……」

「な、何だよ…?」

「その言い方、経験しているような感じに聞こえるんだけど…」

「言ってなかったか?俺、結婚してるんだよ」

「……」


数秒ほど沈黙が続く


「お、おい、何とか言えよ…」

「え…」

「え?」


「「「「「えええええええええええええ!!!???」」」」」


僕やシーナさんだけじゃなく、使用人たちも驚く


「な、何だよ!そんなに驚くことか?」

「驚くよ!てことは、あれか。夜の営みも経験済みか」

「朝からストレートなこと言うな!」

「いいじゃない!で、お相手は?魔族?」

「いや、人間の女だよ」

「まさかの!」

「子供も5人いる」

「何ですって!?」

「子供と言っても、全員20歳超えたけどな」

「ちょ、ちょっと待って!お、お前、今いくつ?」

「今年でちょうど200歳だ」


一瞬立ち眩みが…


「ねえ、年齢詐称してないよね?」

「するか!」


朝食も済ませて、全員を応接室に集める


オルスさんが前に出てきて、軽く咳払い

「皆さま、本日はリーヴェル様が領地でのあいさつ回りをされます。くれぐれも、粗相のないようにお務めを果たしてください。その前に、シーナ様。その格好は公務では適しておりませんので、着替えなおしてください。メイドたちにはきちんと言い聞かせますので」

「分かったわ」

「シュルスター様もご参加ください」

「待て!いつ俺が行くって言った!?」

「シュルスター様、公務で参加し、さらには、パーティーメンバーであることも示しておかないと、後々面倒なことになる可能性だってあります」

「面倒な事って…あ!」

「ご理解していただければ、結構です」

何を理解したんだ?


「最後にリーヴェル様、あなた様に相応しい服をご用意させていただきました」

白い布でかぶせたシルエット


布を外すと

「これは…」

黒を基調とした、軍服のようで貴族としての服

ところどころにドラゴンや剣をデザインしたワッペンもあしらっている


「すごい、僕がこれを?」

「はい」

「着てみてもいいですか?」

「もちろんでございます」


試着してみると

僕のサイズにぴったりだ


「キャア!ベル君、カッコいい!」

「ほお、これが領主としてのリーヴェルの姿か」

「とてもお似合いですよ、だんな様」


自分でも、カッコいいって思った

これなら、自信をもって公務を果たせる


「マスター、こっちも準備OKだぜ」

マックス達も、外で待機していた


「では、行ってきます」

「お気をつけて」


こうして、領主としての第一歩を踏み出した

どうも、茂美坂 時治です

シュルスター、結婚してましたΣ(・□・;)

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