第55話 男二人の・・・
「フォフォ、初日の授業お疲れ様じゃ」
放課後、僕は校長室に呼ばれていた
「どうじゃ、あの子たちの様子は?」
「そうですね、あの実戦授業で改心したようですけど、いきなり僕のパーティーに入れてくれって言われて驚きました。正直、今の彼らの実力では冒険者はおろか、他の職でも無事に仕事ができるかというと不安です」
「そうか…。なら、どうすればいい?」
「少しでも力になってやりたいです」
「そう決めたのなら、儂は何も言わん。じゃが、無理はするな」
「もちろんです」
数分話し合って、僕は学校を後にする
「よぉ、お疲れさん」
校門でシュルスターが待っていた
「僕を待っていたの?」
「俺はお前のパーティーに入るって決めたんだから、待つに決まってんだろ?」
「別にいいけど…。でも、泊まる場所とかあるんじゃないか?」
「ああ、一度魔王様に報告してから、またお前の泊まるところに来るわ」
「そうか…、って…、今何て…?」
「いや、だから、お前警備局に泊まるんだろ?」
「そうだけど…、まさか…、」
「そのまさかだ」
おいおい、聞いてないよ
シュルスターが警備局に泊まるなんて
でも、大丈夫かな…?
何せ、あそこには…
「お帰り、ベル君」
そう、シーナさんだ
「あら、見かけないお客さんね…。しかも、人間じゃないわ」
「一瞬で見抜きますか…」
「はじめまして、俺はシュルスター。魔族だ」
「ま、魔族ですって!?」
局内がどよめく
まあ、魔族がここに来たとなれば、誰もが驚くわな
「安心してくれ、俺はあんたたちに危害を加える気は毛頭ない。疑ってるんなら一日中監視しても構わない」
かなり強気な態度で答える
「でも、ベル君。何で魔族と?」
「ああ、実は…」
事情を話すと
「そう、あの襲撃事件の反省でベル君のパーティーに入りたいと…。それで、許したの?」
「うん、僕はそれでも構わないと思ってる」
「あなた、かなりのお人好しね」
「シーナさんはどう思ってるんだ?」
「そう…ね、私としては反対だけど、ベル君がいいっていうならそれに従うだけよ」
「いいの、それで?」
「だって、パーティーのリーダーはあなたじゃない。決めるのはあなたでしょ?」
当然のように言われても困るんですけど…
「シュルスターといったかしら。入るのはいいけど、ベル君の足手まといにはならないでね」
「何でシーナさんがそう嫌みのある言い方をするんだ?逆にシーナさんが足手まといにならないか心配なんだ」
「失礼ね!私だって、結構体動かせるんですからね」
「まあまあ、双方落ち着け。ここでそう言い張っても仕方ないだろ?まずは、ゆっくり休む。それが一番だ」
「「あんたは黙って!」」
「は、はい…」
僕たちの威圧に押されたのか、しょぼくれる半魔族
「こらこら、もうそこで終わりなさい」
ムーリット公爵が僕たちを止めに入る
「シュルスター、君の事情は聞かせてもらった。リーヴェルの右腕になれるようにしなさい」
「お父様、ベル君の右腕は私でしょ?」
「シーナ、今のお前の力では、彼の右腕には到底無理だ。なりないのなら、死に物狂いで力を付けるんだ。シュルスターと対等できるようにね」
なんだか、思わぬ方向へと向かっているような…
男湯で入っている時の事
「ふーっ、やっぱり風呂はいいな…」
今日はいろいろあった日だったな
「リーヴェル、入ってもいいか?」
脱衣所からシュルスターの声がする
「ああ、どうぞ」
入ってきて
「おお、広いな」
「僕も最初はびっくりしたよ、って、ちょっと待て。いきなり入るのか?」
かけ湯をせずに入るシュルスターを止める
「…?風呂は、そういうもんだろ?」
「あのね、まずはかけ湯をしなさい」
「何でだ?」
「そこからか…」
一通り説明する
納得してくれたみたいで、入る
「いい湯加減だな」
「なあ、シュルスター。一つ聞いていいか?」
「何だ?」
「こんなこと聞くのは悪いと思うが、また魔族が襲撃してくる可能性はあると思うか?」
「……」
「やっぱり、今の質問はなしにしてくれ」
「いや、答える。俺が思うに、高いと思う」
「やっぱり、あのインディルト絡みか…」
「おそらくな、今でもインディルトが魔王に相応しいと思う奴は大勢いる。逆に、ヒュドゥルト様がいいと思う魔族の数は俺を含めても圧倒的に少ない。皮肉なことだ…」
「何か対策した方がいいか?」
「現時点では、まだ動きはない。ただ、密かに行動している者がいるという噂もあってな。今のところ何もしなくても大丈夫とは言い切れない。正直、どう対策すればいいのか俺には分からない…」
「シュルスター」
「すまん、こんな時に限って俺は…」
と頭を下げる
「いや、大丈夫だ。動きはないという事は、魔王やお前に気付かれずに行動していると思ってもいい。とすれば、以前よりも大規模な襲撃になることもゼロではない。でも、今からでも遅くはない」
「というと…?」
「魔法学校の生徒たちにも参加してもらう」
「正気か?あの時はお前の力があってこそ、俺が率いた魔物たちを倒したんだぞ!あいつらも戦うとなったら、それこそ足手まといになるじゃないか!!」
「お前の言ってることはもっともだ。だけど、僕は今からでも遅くはないと言ったよね?だったら、毎日の放課後に、彼らを鍛えてやるんだ」
「お前が指導するって事か?」
「そうだ、それも教師の一環としてね」
「…ったく、それならそう言え。だったら、こっちも対策しとかないとな」
色々話し合ったのはいいものの、またのぼせてしまった…
どうも、茂美坂 時治です
面白くなってきました




