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第48話 1VS50

職員室に入るなり、すぐに

「あなたがユーリ先生、いや、リーヴェル先生ですか?」

長身の男性が駆け寄ってくる


「俺は3年のSクラスの担任をしているマイケル・ホールドといいます。リーヴェル先生の功績は耳にしております。次の実戦の授業、1年のSクラスの生徒全員と戦うみたいですね」

「もう広まってましたか」

「それだけじゃないですよ!生徒たちのご家族も見に来られるとか」

「何ですと!!?」


おいおい、いつの間にそんな大事になったんだ?

まるで授業参観だな


まあ、彼らがどれだけ自分の力を過信した馬鹿なのかが分かるだけマシか

自習の間に、僕は生徒の名簿を見る


「やっぱりな・・・」

成績を見ると、思った通りの実力値だ

ここは少し手加減してやるか


実戦の会場となる闘技場へ向かう途中

「ユーリ先生ですよね?」

一人の生徒に止められる

「何だ?次の授業に向かうんだけど」

「いやいや、時間は取りませんから」


木の陰から他の生徒たちもぞろぞろと出てくる

なるほど、あの子たちが言ってたのはこの事だったのか

しかし、これは・・・


「で、僕に何の用だ?」

「見ての通りでしょ?」

「僕より弱いのに?」

「その言葉が最後になるかもしれませんよ?」

と一斉に襲いかかってくる


しかし、動きがぎこちない

魔法に頼り過ぎている証拠だな


あまり力を使いたくないから

身体強化程度で相手をする


全員をまとめてやっつけたのは20秒ほど

「ば、ばかな・・・」

「私たちが・・・負けるなんて・・・」

「さて、君たちには逃げられないように縛っておくか」


土魔法 サンドロープでしっかりと縛り上げ

会場の入口へ連れていく


「は、離せ!」

「私たちをどうするんですか?」

「大丈夫、君達には危害を加えない。だが、はっきりとさせるための材料としてここに運んできた。少しの間だけ眠ってもらおう」

彼らに無属性魔法 スリープをかける


闘技場内に入ると歓声が沸き起こる

本当に全生徒たちやそのご家族まで来てる


こんな大事にならなくてもよかったのにな

でも、これは好都合だ


「逃げずに来たんだな」

「それだけは褒めてあげますわ」

「逃げるもなにも、正当な実戦をするわけなんだから」

「フン、どうせ俺たちが勝つんだ」

「私たちをあまり見くびらないでほしいですわね」


審判はさっき職員室で会ったマイケル先生だ


「ではこれより、実戦の授業を始める。ルールはユーリ先生が決めた通り、1対50で戦ってもらう。ユーリ先生あるいは生徒50人が戦闘不能になったらそこで終了となる。異論はないですね?」


全員頷く

「それでは、始め!!」


「よし、行くぜ」

「水よ 我の声に応えたまえ 願いしは全てを切り裂く水の剣 顕現せよ」


他の生徒たちも詠唱を始めている

それだけでも時間のロスは痛いとは思っていないみたいだな


ならばこちらは

身体強化をかけ、水魔法 アクアウェーブを発動


「ちょ、ちょっと待て!!無詠唱だと!?」

「あり得ませんわ!!無詠唱は不可能だと習ったはずですわ!!」

「しかもその魔力量、尋常じゃないぞ!!」


生徒たちや観戦している人たちが動揺している

この程度で動揺するとはな


しかし、情けは無用!

生徒の方向へと波を押し寄せる


「きゃああ!!」

「うわああ!!」


少し待ってやるか


「ゴボゴボ・・・」

詠唱をかけているように見えるが

水の中にいるためできない


ぱちんと指を鳴らして

魔法を消す


「ブハッ・・・、ハァ・・・ハァ・・・」

「し・・・、死ぬかと・・・思いましたわ・・・」


だけど、僕は手を止めない

次に雷魔法 ライトニング・スプラッシュ(雷のしぶき)をかける


水を被った生徒達には悪いけど、少し苦しんでもらおうか


「あああああああああああ!!」

「アギャギャギャ!!」

「オオオウウウァアアアアア!!」

思った通りの反応をしている


10秒ほどかけて

「グッ・・・、まだまだ」

「私も、戦えますわよ・・・」

あれだけやられているのにしぶといとはな

これは、うまくいけば予想以上の力を身に付けるかもしれないな


と、感心している場合ではないな


「じゃあ、とっておきの魔法を見せてあげよう」

「な、何をするつもりだ・・・?」


ザーク地区で魔物の軍団の襲撃時に使った

複属性同時魔法フレイムトルネードを発動

「な、何だ!あの魔法は!!」

「見たことないですわ!しかも、二つの魔法を使ってません!?」

「あり得ないぞ。二つの魔法を同時に発動させるなんて!」


なら、もっとあり得ないような状況にさせてやろう

このフレイムトルネードを全生徒分、つまり50個発動させる


「・・・はは、俺たち・・・夢でも見てるのかな?」

「夢であってほしいですわね・・・」

「これはもう・・・、地獄だ・・・」


そして、全生徒に掛かる寸前に火を消して、ただの竜巻にさせる

勢いよく巻き込まれて

空中に数秒漂う


地面に風魔法 ウィンドマットを仕掛ける

まあ、風のじゅうたんみたいなものだ


生徒たちが落ちて、ウィンドマットにかかって

ゆっくりと地面に落ちる


生徒たちはガクガク震えている

「も・・・、もう・・・やめて・・・」

「これ以上は・・・」

「どうした?僕を倒すんじゃなかったのか?それでもSクラスの生徒か?」

「う、うるさい・・・。こんな・・・はず・・・じゃ」

「こんなはずじゃないって?これが現実だって分からないのかな?」

「黙れ・・・。俺をこんな痛い目に遭わされたことを後悔させてやる・・・」

「まだそうやって、自分が上だと言いたいみたいだね」

「そうだ・・・、俺は貴族の息子だぞ・・・」

「それが、どうしたんだ?」

「親父に言って、あんたの人生メチャクチャしてやるからな・・・」

「ほう、それは無理だと思うな」

「どういう・・・意味だ・・・?」


僕は一旦、闘技場の入口まで走って

縛り上げていた生徒たちを引き摺っていく


「な、何で・・・?」

カシュトは何かを知ってるような口ぶりを見せる


「この生徒たちは、僕が闘技場へ向かう途中、突然襲いかかってきた。まあ、僕は一発もやられなかったんだけどね」

「この人たち、Aクラスの子たちですわね・・・」

「ホントだ、でも何で?」


どうやら、カシュト以外は知らないようだ


でも、その子たちはまだ寝ている

ここは水魔法 アクアボールで目を覚めさせる


「ヒャアッ!!?」

びっくりしたような声を上げる


「か、カシュト!!」

「ば、馬鹿!!」

「あ・・・」

口を紡ごうにも、時すでに遅し


「やっぱり、君たちはカシュトの仲間だったんだな」

「やっぱりって、どういう事ですの・・・?」

「ああ、それは———」


「おーーい!」

闘技場の方から校長先生の声が

「ユーリ先生の言ってた通りじゃった!!」


「さて、本当の事を話してもらおうか、カシュト」

カシュトはすでに青ざめている

全てがバレてしまったような、そんな顔をしていた

どうも、茂美坂 時治です

ユーリ先生もといリーヴェル、生徒たちをコテンパンにしました

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