第39話 ジュリアナ姫の想い
今回はジュリアナ姫の視点です
今日は最悪の日といっても過言ではありません
2週間前にとある事件で魔物に襲われそうになった私をリーヴェルさんが助けてくれました
最初に彼を見た時の外見は、本当に男の子?と間違えそうなほど女の子の容姿をしていました
でも、戦っている時の姿はかっこよかった
私はこの時からリーヴェルさんの事が好きになったんだと思います
リーヴェルさんと彼に従う神獣たちによって、ザーク地区は犠牲者が10人ほど出したものの大きな被害は出ませんでした
そして、彼は戦った後なのに街の復興に尽力してくれたのです
彼の姿を見て、私にはただの好きではない感情が出てきたのです
自分の力におぼれず、他人のために有効に魔法を使い、神獣たちからも信頼されているリーヴェルさんに恋心を抱いたのです
この感情に気付いた時の私は少し恥ずかしい気持ちでした
叙勲式当日、リーヴェルさんをはじめとする4人がそれぞれ称号や報酬を受け取りました
お父様に私の名前を呼ばれてから、胸がドキドキしていました
私はリーヴェルさんにお礼を言わないとと思っていました
でも、恋している人と面と向かってちゃんとお礼が言えるかどうか不安でした
しかし、リーヴェルさんの顔を見て、あ、リーヴェルさんも緊張してるんだってすぐに分かりました
そこから私の緊張は一気にほぐれました
いつものように話しかけて
お礼と言いながら
私は、彼に、・・・き、キス・・・をしてしまいました
言葉だけでは私が彼に恋しているとは伝えきれないと思って、とっさにリーヴェルさんとのファーストキスをしたのです
この時は動揺してはっきりとは覚えてませんが、リーヴェルさんとのキスの感触は鮮明に覚えてます
彼の唇柔らかかったなぁ・・・
それを見ていたシーナが怒鳴りに来ました
まぁ、彼女も彼に恋しているのかしらとうすうす気づいていました
それだけでなく、私の婚約者でブラルト伯爵の一人息子でもあるヘラルドさんもリーヴェルさんに抗議してきました
しかし、リーヴェルさんはすでにヘラルドさんの異変に気付いていたようです
リーヴェルさんはヘラルドさんが本物かどうか確かめるために、照合魔法を使って
その結果、叙勲式に来ていたヘラルドさんは魔族が変身魔法でヘラルドさんに化けた偽物でした
では、本物はというと
魔族に殺されていた・・・というのです
その一言が私にとってショックが大きく、ただ悲しみと涙で頭がいっぱいになりました
ここからの私の記憶は全くといっていいほど覚えていません
お父様や執事のエルスに聞いたところ
殺された息子の無念を晴らそうと、ブラルト伯爵は魔法を使って魔族に立ち向かいましたが、魔族は伯爵の奥様のリュピアさんに化けたそうです
リュピアさんも、魔族に殺されたというのです
魔族がこれほど貴族の人たちを殺すのには一つの理由がありました
それは、私やお父様、お母様といった王族や貴族、さらには平民を殺し、このディーレスト王国を魔族だけの国にしようと企んでいると聞きました
魔族は人間と比べて魔力量が圧倒的に多く、王国兵を集めてもかなわないほど恐ろしい存在です
しかし、その魔族を瞬殺したのがリーヴェルさんの神獣、白虎でした
しかも、一瞬何が起こったのかが分からないほど素早いものでした
魔族はそこで息絶えてこれで終わりかと思いましたが
ブラルト伯爵が殺された家族2人を追うようにナイフで自分の首を斬ったという衝撃的な結末を迎えてしまいました
リーヴェルさんは止めることが出来ず、悔やんで謁見の間の床に拳をぶつけました
私はショックのせいで、食事もとらず
今は私の部屋のベッドに横たわり、隣にはリーヴェルさんも付き添ってくれています
私が泣き止むまでいてくれましたが、落ち着いたころに部屋を出ようとしたリーヴェルさんを私は止めました
このまま一人で寝るのは正直怖い
でも、あの時あの時リーヴェルさんは私を優しく抱きしめてくれて、頭を優しく撫でてくれていた感覚が気持ちよかったのを覚えています
私はリーヴェルさんに
「私の頭を撫でてください」
とお願いをしました
リーヴェルさんは優しく
「分かりました」
と言ってくれて、あの時と同じように頭をなでなでされています
あぁ、この感覚・・・
気持ちいい・・・
気持ちが落ち着いてくる
なんだろ・・・、ずっとこうされていたい
そんな思いも芽生えました
そうこうしているうちに、私はいつの間にか眠りについていました
目が覚めると、外は朝を迎えていました
そして、目の前には寝ているリーヴェルさんの顔が
ずっと、私に付き添ってくれていたんですね・・・
「すぅ・・・、すぅ・・・」
可愛い寝息を漏らしながら寝ています
本当に、可愛い
リーヴェルさんを優しく抱きしめてあげると
「んっ・・・」
少しもぞっと動きましたが、起きる気配はありません
それに、男の子なのにいい匂いがします
男特有の臭いが一切ないのです
髪の毛を触ると、サラッとした髪
ごわごわとした髪ではありません
次にほっぺを触ります
プニッ
とした柔らかい感触
「んにゅ・・・」
男の子らしからぬ声を出すリーヴェルさん
こ、これは・・・
いけないことをしている・・・かも
私が次に目を向けているのは、唇
あの時のキスの感触は今でも忘れられません
もう一度・・・したい
そっと近づき・・・
また触れることが出来ました
この感触、クセになりそうです
もっとしたい・・・
そう思い、またそっと近づき・・・
コンコン
ノックの音が聞こえ
ガチャッ
と勢いよく開くドア
ノックの主は執事のエルスです
「おはようございます、姫様とリーヴェル様」
シャッとカーテンを開き朝日が部屋を包み込み
その光に照らされているリーヴェルさんはまだ起きません
「もう落ち着かれましたか?」
エルスが優しく訊いてきます
「ええ、リーヴェルさんが付き添ってくれたおかげで」
「それはようございました」
「んん・・・」
リーヴェルさんも起きたようです
「・・・あ、おはようございます、姫様・・・。それに・・・」
「お初にお目にかかります、リーヴェル様。わたくしは執事のエルス・ハーデと申します」
「ハーデ?・・・もしかして、ミルスさんのご兄弟・・・ですか?」
「わたくしは、ミルスの兄になります。そうでしたか、ミルスのことを知っていましたか」
「知ってるも何も、僕はシーナさんの屋敷に泊まった時にお会いしたんです」
え・・・?
シーナの屋敷に・・・泊まった・・・?
「リーヴェルさん、どういう事ですか?」
「え?」
「シーナの屋敷に泊まったって・・・」
「ああ、それは・・・」
「まさか・・・、まさか・・・、2人はもうできていたんですか・・・?」
「はぁあ!!?違いますよ!!」
「じゃあ、何だっていうんですか!?」
「ちゃんと説明しますから、落ち着いてください」
リーヴェルさんから詳しい事情を聴いて
「はあぁぁあ・・・、シーナって子は・・・、大胆過ぎですね・・・」
「あの時は本当に困りました。まさか、あんな事をしてくるとは思いもしませんでした」
「じゃあ、私が同じことをしても困りますか?」
「当たり前じゃないですか!」
「そうですか・・・、シーナの体は見たのに私の体は見たくないのですか?」
「へっ!?」
「それに、シーナにはため口で私には敬語っていうのも不公平です」
「いやいや、僕はただの平民で、シーナさんや姫様は貴族と王族ですから、ため口なんて言える立場では・・・」
「そう言いながら、シーナにはため口なんですね」
「・・・あ、あれは、公爵様からシーナさんに対しては敬語を使わなくてもいいと言われてますし」
「では、私がため口で話していいといえば、あなたもため口で話してくれますか?」
「・・・」
「どうしてすぐに返事しないのです?」
「さっきも言ったようにですね、僕は・・・」
「その言い訳は通用しませんよ。立場はその時のであって、今この時間は立場は関係ありません」
「・・・そうですね・・・、では、公の場でない限りは姫様にはため口で話してもいいですか?」
「今この瞬間からため口で話しなさい!」
私ははっきりとした口調で命令します
「・・・わ、わかった・・・。えっと・・・」
「ジュリアナでいいわ。呼びにくかったらジュリーでもいいわ」
「じゅ、ジュリー。僕の事も呼びにくかったらベルと呼んで」
「じゃあ、ベル。そろそろ朝食の時間だから、行きましょ」
「うん」
私はリーヴェル、いえ、ベルの左手を繋いで王宮の廊下を歩いていくのでした
どうも、茂美坂 時治です
ジュリアナ姫のとリーヴェルいい雰囲気になりましたね




