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僕は動物が昔から苦手――嫌いだった。
お隣の厳ついドーベルマンが逃げ出した時も、近所では凶暴だと噂されていたデブ猫と目が合った時も、僕の身体には冷や汗と鳥肌が出てきた。
そんな僕の動物嫌いは誰もが知っている事なのに、ある時『可哀想』と言う理由で妹が子犬を拾ってきてしまった。それも僕の誕生日の日に。
動物が大好きな家族は、僕の意見なんかまるで無視して、拾ってきた犬にサクタと言う名前を付けてすんなり家族の一員にしてしまった。
しかも名前の由来はオスだから『桜+太』でサクタにしたとかなんとか言ってたけど、かなり後になってサクタは実はメスである事が発覚。サクラにしてやればいいのに、家族は未だにサクタと呼び続けてる。