ep5 火乃香とエルゼ
隣街が落とされたことは街中全ての場所へ即座に通達された。
次はここが狙われるかもしれないと恐怖するもの。
友人や家族が殺されたことに対する絶望を感じているもの。
自分たちが狙われてなくて安心しているもの。
反応は様々だった。俺にとっては知り合いがいたわけでもないため特にだったが、神谷は安心しているようなやつらを見て悲しいような哀れむような目をしていた。
「ねぇ扇真くん」
「火乃香か。どうした?」
突然火乃香が話しかけてきた。
「なんでさ魔物って襲ってくるんだろうね。みんな仲良くすれば平和なのにさ」
「…」
…あぁそうさ。そうだよ火乃香。でもなそれが出来ないんだ。だからこそ、だからこそ俺は俺の部下が始めたこれを終わらせる。
そんな気持ちを心に秘めて俺は言った。
「本当にその通りだな」
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side四条火乃香
魔物と人間はなんで仲良くできないんだろう。
そう考え始めたのはいつからだっただろうか。私は殺し合いは嫌いじゃない。でもそれは相手が悪いことをしているときだけ。だから悪いことしてない人には攻撃しないし守る。それが魔物だろうが人だろうが関係はない。きっと扇真くんもそんな感じだ。
昔から扇真くんは強かった。私が魔物に襲われてる時も助けてくれた。でも魔物を殺すたびに複雑そうな顔をしてた。きっと殺したくないんだと思う。でも現実は冷たい。昨日まで笑いあってた友達だって次の日には燃やされて埋められてる。お花みたいにすぐに散っちゃう。
そんなことを考えていたら東門に着いた。
ここは嫌いだ。周りから私は厄介者みたいに扱われてる。
姉のコネでなったやつだ
姉よりも弱い
なに考えてるのかわからないし不気味
あいつの下につきたくなかった
そんな声しか聞こえない。私だって思うよ。こんなまだ成人もしていないような子供がいるのはよくないかなって。でも領主様が許可したんだからいいと思う。
「どーしたの火乃香ちゃん」
「、エルゼ」
「もっと笑ってないと~幸せが逃げちゃうよ」
突然話しかけてきたのはエルゼ。銀髪のポニーテールがトレードマークの女の人で私にとって第2のお姉ちゃんみたいな存在だ。そしてこの街の北と東担当。大抵は北側にいるけど東側に来てくれることもある。この東門で唯一信用できる人。
「いつもどおり歓迎されてないなって」
「そんなの気にしちゃだめよ」
「それもそうだね」
そんな感じの雑談をしてた時間。
《警報。警報。東門、西門方面から魔物の軍勢。警備にあたってください。》
「きたっぽいわね。火乃香ちゃんいける?」
「心配しないで。私これでも能力2つ持ちだよ」
「そうだった。じゃあ久しぶりの共闘しましょ」
「いいよー!さーて本気でかかってこーい!」
目の前には砂埃が舞っている。到達まであと2分経たずに始まるだろう。
「みんな!配置について!私より前には極力出ないように!」
いつもどおり返事はない。まぁ仕方ないね。お姉ちゃん大丈夫かな。あ、でも扇真くんいるからいけるね。
「ウガァァガァァ」
魔物が叫んだ。それを開戦の合図として戦いは始まった。
作者のお話
前回のこのコーナー?らしきものでの『???』はエルゼのことを指しています。どんな能力かは想像してみてください。




