#044 私の能力
フレデリックは私に拒否られるとは夢にもおもっていなかったようで、びっくりしたような顔で私を見た後
「・・・ごめん」と呟いた。
あれ?私って加賀くんの事が好きだったんだよね・・・?どうだっけ?
私は○○ちゃんも××ちゃんも大好き!選べない。とかほざく男を心底軽蔑している。
そりゃあ人間なんだし、複数の人に魅力を感じたりときめいたりするのは仕方ない事。
でも開き直って「みんな大好き!愛してる。」なんて言う人を異性として信用できるはずがない。
落ち込んで俯いていたフレデリックがよく見ると下を向いたままニヤニヤしている。
「なっ、なんで笑ってるの?怖いんだけど!」
「だってさ、もう理々沙には会えないのかもしれないって絶望してたんだ。また会えた!しかも俺の妃になる予定の令嬢だったなんてこれ以上の幸運があるか?理々沙もメリッサも好きなんていったら、理々沙に軽蔑されるのはわかっている。でも俺はいま凄く嬉しいんだよ。だって姿かたちが違っても理々沙だったからメリッサを好きになったんだ。そうだろ?」
「・・・そう言われればそうなのかもしれない。なんか騙されているようなきもするけど。」
「騙してなんかないさ。俺は理々沙の外見より中身にひかれていたって事だろ!だからハグ・・・」
「コルネリスは最上君だよ。」
「えっ!はぁ~?よりによって最上だったとは!しょっちゅう一緒にいたけど変な事されていないだろうな?」
「・・・」
されたといえば、キスをされたけど、この先共闘しなきゃいけない仲間になるんだから黙っておいたほうが良いよね・・・
「なにもされてないよ?」
「なんなんだよ、今の間は!」
「何もないよ。だって私は転生してすぐから皇太子の婚約者なんだから侯爵令息であるコルネリスが不敬な事できるわけないでしょ。そういえば私達って同じ爆発事故で転移したわけだけどなんで転生した時間がこんなに違うの?私はメリッサになってからまだそんなに経っていないけど、加賀くんも最上くんもこの世界にきてからずいぶん経っているよね?」
「う~ん。それはたぶんだけど、同じ爆発事故によって同じワームホールに吸い込まれたとしても飛ばされた道筋によって重力が違ったんじゃないかな?」
「あぁ、重力によって時間経過が異なるっていうやつね!なるほど。さすが量子力学の権威っ!」
「はははっ。まぁね。」
よしっ!話がずれた。
「で、私の封印された能力はいつ解呪してもらえるの?」
「食事でもしてからって思っていたけど、メリッサは魔力酔いで気持ち悪くなったことがあるんだったな。じゃあ今やっちゃおっか?食事の前に。」
「苦労して得た研究結果なのに簡単に披露するんだね。」
「だって理々沙に気取る必要ないだろ?メリッサには気に入られたくて必死に画策してたけど。じゃあこの魔法陣の上に乗って魔力流して!」
あぁ、うん。なんだろうこのちょっとイラっとする感じ・・・
私も人の事は言えない。フレデリックのことはまぁまぁ信用していたけれど、加賀くんのことはかなり信用している。ってくらいの差があるし。
言われた通りに用意されていた魔法陣の上に立って魔力を流してみた。
かなり複雑な数式を反転したのだろうその魔法陣はとても複雑で魔力をかなり要した。
突然、初めて転移ゲートから天使したときのようなオーロラ色の嵐が体中を竜巻の様に上がっていく感覚がしたあと嵐の海が凪いだ後のような感覚がやってきた。
「なんか、気のせいかもしれないけど身体が軽くなった。」
「うん。たぶん負のオーラのようなものが抜けたんだと思う。成功したのかな?わからないね。」
「ところで、絶対に言わなかったフレデリックの能力ってなんなの?理々沙にも言えないとか言わないよね?皇族や上位貴族は1つじゃない人も多いって聞いたよ。」
「いや、内緒にしていたわけじゃなくてわからないんだよ。皇帝はマナの多い子供が生まれると反逆を恐れて封印することがあるらしい。つまり俺はたぶん本当は力が強くてそれを危惧した皇帝が一時的に封印したんじゃないかと思う。封印について調べてみたけれど、それも呪いや黒魔術の一種らしい。だから俺は自分の身を守るために呪いの反対式の研究をしていたんだ。」
「そういうことだったのね。私はそれに便乗できてラッキーって感じなわけね。この魔法陣は自分で使ってみたの?」
「使ってみた。だけど効果ないみたいだ。理々沙は能力が何かわかったから呪いの種類を特定できて反対式が作れたんだ。」
「じゃあ最上くんを呼んで私の能力で増強して解呪の数式を導き出してもらおうよ?」
私がすぐに通信の魔術具のコルネリスの魔法陣の触れて魔力を流そうとした。
すると流そうとした右手から魔力以外にも強風が巻き起こってフレデリックの部屋に置いてあった資料や研究結果、メモなどの紙がぶわっと渦巻いて竜巻の様に舞い上がった。
「な、何っ?!」
私が魔力を流すのをやめるとすぐに風はやんでぐちゃぐちゃに散らかった部屋でフレデリックがフリーズしていた。
「ごめんね、かたずけるから!纏めるのも手伝うから!ほんとごめん!私もわざとやったわけじゃないんだよ?っていうか、今の何だったの?私、風なんか起こせないはずだけど!」
「それもメリッサの能力の一つかもしれないな。隠されていたのか開花したのかはわからないけど。」
やっと再起動したフレデリックがぼそっと呟いた。
「あ、やばい!ネオブレス壊れた。」
「風の能力か風属性の何かはわからないけど、それもどんなものがあってどんなことができるのか調べてみないと。」
「私のネオブレス壊れちゃって通信できなくなっちゃったからフレデリックがコルネリスに連絡してよ。」
「もう少しだけ二人でいないか?というよりこの惨状に他の人呼べないだろ?」
「そんなこと言ってる場合じゃないよ。できることはどんどんやっていかないと!私たち命狙われているんだよ?」
その風が部屋の中だけではなく外にも渦巻いて空に上がっていく様を北塔の主が見ていて
「あの子はとうとう覚醒したのか・・・使いこなせるようになる前に排除しないとな。」
と呟いたことは誰も知らなかった。




