第50話 選択
俺は家に戻った。家と言っても、夢子の家だ。
あの後も色々な事があったのだ。
あの家で、美羅とイチャイチャしたり等様々な事をしたのだ。
そして今、俺には直面しないといけない問題がある。俺は今から言わなければならない。そう、俺の宣言を彼女に伝えなければならない。
俺の選択を、だ。
「俺はお前に今から酷い事を言うかもしれない」
俺は開口一番に言った。
もう結論付けなければならないのだ。
「俺は、美羅を選ぶ。ごめんな」
俺は迷わずに行った。
最低だ。
その言葉が彼女をどれだけ悲しませるか分かってるのに。
次の瞬間、俺は痛みを感じた。
すぐに叩かれたのだと、理解した。
「ごめん」
俺はもう一度誤った。
美羅には今日何をしに行ったのかは、話していない。
だけど、美羅と話さなければならない。
転校、一緒に転校しようという事を。
俺と美羅は夢子の家を出た。夢子にあんなことを言った以上、家にいる事は出来ない。
夢子には本当に悪い事をしたと思っている。許してくれとも、思わない。叩かれて当然なのだ。
「美羅」
俺は美羅に声をかける。
「なに?」
「言ってきた」
「智也はこれでいいと思ってるんだよね」
「ああ」
俺の選択だそれに、今後悔しても仕方のない話だ。
それでも俺の中にモヤモヤは残ってしまっている。悔しい事に。
「美羅、俺はうれしいと思っている。これからお前と二人で暮らせることに」
俺たちは、小さな家を借りた。マンションの一室だ。決して大きいというには不十分ではあるが、決して不便ではない。
夢子の家を去り、ここに住む。
俺たちはベッドに横になった。
美羅の表情は暗いままだった。
悪い事をしたかのように思っているかのような表情だ。
もはやこれは仕方ないというしかない。
だけど、それでも申し訳なさを感じる。
それは俺の心にまだ善の心が残っているからなのだろうか。
その答えは俺には分からない。
美羅の表情は結局どこまで行っても明るくなることはなかった。
罪悪感なら俺にもある。だけど、仕方のないことだ。
向こうは夢子の彼氏が欲しいから俺の同居を許可した。
両親は家賃として仕送りをしていた。それだけの話。
それだけの話なんだ。
俺は、結局緑よりも夢子よりも美羅の事を選んだ。
それは確かに俺自身の選択だ。
美羅が責任を感じることはないはずだ。
学校では疎遠になった。夢子と話すことはめったになくなっていった。
そして、ある朝。俺たちが朝食を取っているとき。
美羅は相変わらず暗い顔をしていた。
「美羅」
俺は口を開いた。
「お前は罪悪感を抱いているのか?」
俺は聞いた。
「なんで」
美羅は答える。
「なんでそう思うの?」
「明らかにそうじゃねえか」
美羅は俺の言葉に、「当たり前じゃん」と答えた。
「逆にどうして罪悪感を持ってないなんて、思うの」
「そうだな。もしかしてみらにとって俺の好意は邪魔だったのか?」
「ううん、そんなことない。先に告白したの私だし」
「なら、どうして」
「夢子ちゃんの事を知っちゃってるからかな。だからだと思うの私が罪悪感を持ってるの」
「そうだなあ」
そして、俺は息をする。
「このややこしい状況を招いた俺は行ってもだめだと思うけどさ。仕方ないことだと思うよ。俺だって、どうしたらいいのか分からなかった。どの選択をしても、誰かを不幸にするんだ。そんな難しいことは他にないよ。ただ、俺は思うんだ。俺は美羅を選んだ選択は正しい選択だったって」
「ねえ、智也」
「なに?」
「だったら、夢ちゃんを幸せにしないとだめじゃん」
「いや、でも俺は美羅を選らん」
「それはそうだけどさ、全員ハッピーにしなきゃ」
「まさかのハーレム」
「炎上するし、私が許さないからさあ」
そして、唇を尖らせ、
「冗談は置いといて、私の話を聞いてくれる?」
「おう」
「夢ちゃんの恋人を探すの。そして、夢ちゃんとも関係修復してね」
「難しいんじゃないか」
「難しいと思うけど、やるしかないじゃん」
そういって美羅は笑った。




