1
【お題シチュエーション:部屋で女の子が一人泣いている。】他自由で書き始めた小説が少し長くなったので、投稿します。
あとで改定するかもです。
「うーん、やっぱり恥ずかしいからダメかな」
アトリエでキャンパスに向かい、こちらに背を向けた女性は、少し気恥ずかしそうにそう言った。
こちらを向いてないけれど、たはは、と困ったように笑う彼女の顔は容易に想像できた。
わたしは彼女のそんな顔も好きだし、そんな顔にさせるのも好きだ。だから、
「えー。いいじゃん! 今までで最高の出来なんでしょ。みせてよー」
とわたしは不満たらたらだぞ! 譲る気はないぞ! と食い下がってみせる。まあ、彼女が本当に嫌がったらあっさりと引くつもりだ。それに、椅子の背もたれを抱きかかえるかたちで逆に座り、足をぶらぶらとさせながらの発言だから声に真剣味はないだろうけれども。でも、彼女が描く絵は綺麗ですごい。風景画が主な題材だけれど、まるで吸い込まれるような錯覚を受ける。ただ観るだけなのに、気付いたら30分くらい経っていることもあるくらいだ。だから、そんな彼女がいい出来と言う絵なら尚更観たい。もちろん、今キャンパスに描かれていく絵もそれはそれで完成が楽しみだ。
「たしかに良い出来なのは間違いないんだけどね。いやー、そこはかとなく恥ずかしい。それに、夏休みの間に田舎の離れで描いて置いて来ちゃったからね」
こちらを振り向きながら、彼女は言う。それで、やっぱり、あの顔をしている。自然とにやけてしまう頬を感じながら、じゃあいつか絶対観せてよ。絶対ね。と言ってしぶしぶ折れてあげる。あの顔をみるとどうにも弱いなあ。いいよ。いつかね。と約束を交わした。
そのあともわたしは作業をする彼女とぐだくだと話をして、それからわたしたちはアトリエを切り上げた。




