2026年3月短歌まとめ
2026年3月短歌まとめです。
木漏れ日のゆれる公園指先が捲るページの言葉ときたら
のんびりと過ごす休日粉末のスープに注ぐお湯も宝石
憧れも夢も詰まった物語アンパンマンをリアタイで観る
くりかえし祈るあなたの幸せを傷つくこともない桃源郷
仄暗い部屋に座って目を閉じる風が運ぶは春の道のり
誰からも見向きもされずひとりきり孤独を望む日々が恋しく
大切にしてきたものも日が経てば見向きもせずに捨てられていく
風鈴の音色の通る金魚鉢泳いで想う夏の足音
説教のように心配する母と電車のベルの別れの合図
点Pは動いて人を惑わして僕は動かず人を困らす
もう少し笑える人でありたいと出会いに恐れ背中を向ける
あの人のようになるにはどうすればいいの神様あなたは居ない
勾配に慣れることなく息切らせ額を拭い見下ろす景色
遠足に心躍らす園児たち河津桜の咲き誇る日に
甘酒を嗜みほっと一息を雨の冷たいひな祭りの日
横を向きそっと微笑むお雛様来世もふたり愛の在り方
菜の花を眺めるだけで花粉症寝たいだけでも邪魔をしてくる
背伸びして見上げるようなお雛様指差し教えてくれる子ども
出てみればノイズの混じる君の声海に消された最期の言葉
溢れ出すほどに優しい存在が春に吹かれて消えないように
思い出を振り返る夜最期まで居場所はここに在っていたんだ
筋書きを綴る宵からふと逸らす窓の隙間にこぼれる光
教科書を詰め込むリュックから探すどこかに消えた筆箱とメモ
軽くなる心はすぐに沈むけど切れば切るほど道はなくなる
ちょっとだけ抱いた希望でもすぐに空に手放し星にならせる
円を書き縁を切っての繰り返し明日は君も誕生日だね
今までの道が決して正解であったわけでもないこれからも
十七も最後の日ですまた明日また明後日と生き延びていく
レモネード夏を吸っては息をつく明日もきっと蝉は遊びに
芽を出して春を思わす草花と視線を合わす通学前に
異端でもいいよあなたが生きていてくれるのならば自由で在って
金属の部分を溶かしぴったんここれで離れず一生一緒
蛇口から流れるものはなんでしょう夢か希望かそれとも明日か
十八になってしまって立ち止まる夕日の差したあの頃の色
これからも続く人生春の待つ方へゆっくり行ってらっしゃい
穏やかに流れる時に身を任せ雲の隙間に春を感じる
あくびして布団に入る午前二時バイクの音が木霊す部屋に
この広い世界で君に会えたことそんなキセキを胸に抱いて
弟のように親しくしていた子気付けば抜かれていた背丈を
秘密だと指を当てられ赤面と化してしまった木の上に春
思い出と言えるのならば苦しみも涙も全部人生になる
青空の広がる下で切り取った景色もいつか形を変える
懐かしいあの日の記憶空を飛ぶしゃぼん玉すらはじける陽気
閑静な住宅街に思い馳せ友とはしゃいだ遠いおもいで
風呂場から滴り落ちるひと雫春の別れに背中は震え
消すこともできず呆然立ちすくむ一度燃やした過去の欠片に
人生を遠回りしてみることも大切だって君が云うから
あの日々も決して無駄でなかったと思えるならばそれは幸せ
雨の降る夜の冷たい道を行く裸足のままで彷徨う風に
人並みになりたかったよ絡まった心を赦すあなたの瞳
早歩きしながら逃げる過去の日を受け止められる優しさはどこ
春風のようにやさしい君の手の温度は麻酔のように効いてく
すっきりと散髪をして帰る夕薄くなりゆく影を踏みつつ
憧れを隠せずに見る宇宙服今にも空に行きそうな子と
ここはまだゴールじゃなくてこれからも足を進める道は続いて
もうとうの昔に死んでいるはずで今年も映る桜吹雪に
じゃあまたね来世は君の左手に手を添えられる人になるから
これからは別の道へと歩くけど疲れたときはのんびりと寝て
相性がよかったんだね夢なのに話せなくてもこんなに好きで
たんぽぽのゆれる季節になりました今年もどうか何処かで生きて
割るなよと念を押される授業中プレパラートをつまむ緊張
サンキューと言って立ち去る君の背を笑って追える最後の春に
ふわふわと空に流れる綿毛たちふと浮き上がるような身体と
寄せ書きを見返す春の夜は更け短くなった髪の面影
蜂の巣を遠目で見つけ足早に立ち去る子らの姿を見つめ
ええきっと依存症ですいつまでも君の言葉を離さずに居る
風の吹く崖からついに飛び降りて夢を掴んだ最期の記憶
砂糖より甘いその声溶けていく脳は再起もできないくらい
生きていることが不思議でたまらない傷の残った左腕撫で
頬をなで過ぎる風より愛したいものは砕けた硝子のラムネ
青空を遮るビルを仰ぎ見て春の居場所もわからぬほどに
雨だれの鳴らす音色を聞きながら宿題をする畳の部屋の
土下座してまでも欲したその声の優しいことよその背中すら
無意識に探す大事な人のこと命を繋ぎ止めた言葉と
どれだけの駄菓子を買って帰れるか悩む放課後なき公園に
知らぬ間に広がる春の青空を仰ぐ寂しさ握った拳
優しさを突っぱねたのは浅はかな考えを持つ自分自身で
ため池の近くに宿る新しい芽を避け歩くスカートの裾
耳かきをしながら好きを確かめるそんな時間のくだらないこと
水鏡澄んだ空気にふとゆれるものが涙のせいであるなら
トンネルを抜けた途端に見たこともない雪景色同じ世界に
公園の隅で占う恋心ゆらぐなにかを差し押さえる手
描いてもいない未来に立ちすくむ今から見える景色の青さ
考えることもできずにただ流す涙は毒の一部となって
返せずにしまったままの優しさを林に埋めて還らせてみる
黙々と口にぶどうを放り込み切れ目のなさに涙のゆれる
無知なのになぜか知ってる人がいるそんなすごさに気付くでもなく
別れから十分時も経ったのに淡い期待を拭えずにいる
お願いがあるのあなたに五百歳まで生きてもらっていいものかしら
春が来るというのにどうも埋まらない心を捨てたあの日のことを
本棚に眠るひとつの物語そっと寄り添う埃とともに
倍にして返すと契るその小指期待を消して微笑むわたし
ベランダの向こうに見える眠る山白い吐息は心を焦がす
さえずりに耳を澄ませる春の日のサナトリウムの白い天井
憧れた人物像に苦笑する大人になった小さき命
窓際に座り流れる旋律に目を閉じ生きる力を握る
ねこ歩く道にゆれるはすずらんの流れる風と春の鳴る場に
ねえなんであなたが泣くの灯火の消えるときまで寄り添う人に
振り返る道にあなたの残像が見える気がして思わず駆ける
偶然にすれ違う春足を止め声もかけずに余韻に浸る
塗りつけたわさび醤油に目頭を押さえる冬の笑えしときに
公園を横目に過ぎる夕方に影をつくってゆれるブランコ
禁止する事柄は増え歯止めすらいつか効かなくなって滅びる
本当の自分で在れた一瞬の時は心に残って過ごす
いいですね学生さんは苦笑いしながら無職だとは言えない
犯人として生きていく選択も案外悪くないから泣くな
アカシアと目線を合わせしゃがみ込む日差しに透けたその白い肌
関係を壊して去っていくだけの孤独を愛す春の夜中は
気付くでもなく過ぎる道そこに居たことを知るのは満月の朝
死を望む少女にそっと近付いて契りを交わす海の瞳は
木漏れ日を浴びて開いたお弁当心を照らすたまごとトマト
ああなんで生きているのかわからない幾度と巡る春の誘いに
夕暮れをふたりで望むこれも過去へとなるのかな重ねる右手
憧れと夢の詰まったユニコーン空も可憐に駆けるのでしょう
熱を帯び抱きつく君をなでながら冬を越すまで毛布にくるむ
盗んでも心は満ちず君からの笑顔をもらう度に懴悔を
職業を問われる度に誤魔化して濁る文脈ひとになりたい
死ぬときも白紙で出した解答の紙は炎魔の懐に居る
せっかくの再会なのに毎日のように願った瞬間なのに
放課後の静けさに酔い手のひらを重ねればほら下校のチャイム
星屑の中から僕を見つけ出すそんなあなたの瞳はゆれて
大切なものは両手に抱え込み愛想振りまくラッコの見せ場
匿名の手紙を道のゴミ箱にひらりと舞わせ眠りにつかす
音楽を流して夢のなかに行く愛を知らないあの日の君へ
もらうだけもらっておいて切り捨てるそんな生き方だから独りで
勝手にも結びつこうとする記憶死というものが救いなのだと
結露する聖なる夜の窓際に立ってサンタを待とうとする子
新しい手帳を手にし道端の雪柳愛で歩む人生
あの人のほうが優しくしてくれて愛してくれて君なんかより
ひねくれたことしか僕の頭にはないよほら見ろ幻滅したろ
春を浴び蕾を愛でて彷徨って今年は君と花見をしたい
鶯の声の聞こえる散歩道命の芽吹く愛しい季節
息をして今を歩いていることが特別なんだ空は蒼くて
紫陽花の知らせる春は少しずつ淡い緑の葉を世に放つ
レッテルを剥がし自分で貼り付けるそんないつもの苦しみを負う
詩を書いて見返すまでの道のりに花が咲いてることを願って
走らせて遊び終わったトミカ踏み悶絶しだす母の赤面
少しでも笑って終える日があれば幸せだって言えるでしょうか
こぼれゆく梅と涙とその心気付かぬふりももう終わりにす
気持ちだけ受け取っておく優しさが痛いくらいに心に残る
番犬の吠える帰りの道のりの途方のなさに幽霊になる
呼び鈴を押すまでのこの緊張が恋だとすれば私は君を
見返していくフォルダから削除する懐かしささえ振り払う夜
追いかけて気付かず踏んだ水たまり靴の隙間に染み込む毒気
窓際に止まるすずめはまた空へ飛んで自由の逆さまにいる
私だけ取り残されたみたいだわ春の向こうにみんな走って
目を閉じてみても姿は見えないし声もいつかは忘れてしまう
雛鳥の鳴く声のする駅前に訪れたのは春と命と
目指しても届かぬものもあるのだとくぼみにはまる言葉はなくて
あの夏の日から変わった声優の声の見方と儚さだとか
二十四時魔法は解ける振り払う涙とつくる最期の記憶
ここだけのお天気ですが雷は次はお前と言っております
思い出すこともできない頃を観るビデオに映る今はなき笑み
素晴らしくないのでしょうかあの頃に描いたものと違うこの今
残された時間を生きる余命より随分長く迎えし春へ
潮風に吹かれて空を舞う傘は海の向こうの世界へ旅を
思い出にふける花咲く暖かな春を大事に抱えて歩く
骨壺も墓も要らないこの海の静かなことを知らない君へ
これからは普通ばかりを目指さずに未来を生きていってくれれば
ブランコを一人寂しく漕ぐ夜の湿気を含む冷たい風に
生きていることが一番恨めしく後悔をする暇も余裕も
蝶の飛ぶ春の香りに寄せられて心に残る生きる実感
ほころびをみせていた頬気が付けばいつもの真顔そんな貴方が
指紋すら愛しいくらいそういえば昨日の夜はどこでなにして
噂ではホスト通いのあの少女困ったものね今も隣に
雨の降る前の朝日を浴びながら傘立てにある黒のコウモリ
ねえ誰か同じ景色を仰ぎ見てくれないかしらどうも孤独で
睡魔との戦闘中の険しさを誰よりも知る膝に寝転び
またいつかそんな明日を待っている桜の芽吹くあたたかいこと
鼻筋の綺麗なあなた横顔も正面からも写真を残す
切り株になった街路樹いつまでもここで守ってくれていたのに
サンプルを眺めるだけで昼は過ぎ腹をすかせて戦をやめる
温室で育った花の行く末は誰かの愛も受け取れず散る
もう少し君の隣に居たかった誰も時間も許さなくても
幸せをたくさん感じさようなら私はどうもふさわしくない
風鈴の音色の纏う寂しさを言葉にできる人になりたい
ファミレスで駄弁る思い出いつ振りに会えただろうか生きている今
沸き立ったお湯を注いでくるくるとスプーンで混ぜる生姜湯の味
桜咲く道を歩いているだけで思い出せるの君の背中を
悪ばかり目を向けられるそれならば命を捨ててみれば誰かが
馬鹿みたいこんな想いを抱きながら生き続けてることがほんとに
見放してくれたらいいよ傷つけて迷惑ばかりかけるだけだし
どこまでも美しい人その声も微笑みすべて愛してるのに
ブランコに座ってあける酒の缶星を仰いで視界の滲む
エフェクトもなにもないから人生はこんなに色がやさしく見える
雨になり想いも全て地に返す声も言葉もない世界へと
サイダーを飲み込む夏のことでしたあまりに汗が光って見えて
もう遠い記憶になっていくものをいつか笑って見返せるなら
ほころびを見せる桜と閉じこもる命を繋ぐ窓の境目
桜散る道に佇むある少女髪をなびかせこちらに顔を
言いにくい事柄なんだ気が付けば大問題に発展してる
くしゃみして笑い誤魔化す君が居て幸せなんだ今日という日が
簡単に作れないからこの朝も鏡の前で笑みを浮かべる
少しずつ打ち解けていく春の日の淡さにゆれる瞳の奥は
海を行く小瓶もいつか人の手に渡るだろうか映るだろうか
前日に気付く今まで培った居場所をひとつ失うことを
頂上を目指してからの道のりは前より長く険しい道へ
鉄壁で守る心を溶かそうと熱い思いを伝えるあなた
ベランダにゆれるオクラを収穫し今年の夏の襲来を知る
借りた手の体温伝う雨の日のことを覚えているよ私は
野望でも生きる理由があることは何より強く美しいもの
暖かくなっていく部屋窓を開け吹き込む夢の春の訪れ
またいつかお会いしましょう今よりも成長できた姿を見せて
今までの恩を返せることはなくそれでもここに感謝で終わる
卒業し変化の春を迎えても縁は切れずに残って光る
ペリカンの愛しい姿人間も空を飛べたらなんて思って
深夜二時まだ起きている正午過ぎまだ夢の中狂った時計
たくましくなった背中に気合い入れそれでもどこか幼い貴方
雨の降る日の仄暗い部屋に座しひとつふたつと夢を数える
さようならあの日の私元気でね頭を撫でて踵を返す
感謝して別れる春の夕暮れの静かな風は背中を押して
いつかこの想いが胸か腑に落ちてくれたらきっと寂しさを知る
明日から見える景色も変わるけどありがとうだけ抱えていたい
2026年3月計220首
2026年計639首
自選短歌月
レモネード夏を吸っては息をつく明日もきっと蝉は遊びに
風鈴の音色の通る金魚鉢泳いで想う夏の足音
素晴らしくないのでしょうかあの頃に描いたものと違うこの今
風の吹く崖からついに飛び降りて夢を掴んだ最期の記憶
骨壺も墓も要らないこの海の静かなことを知らない君へ
こんにちは、雨宮雨霧です。
もう桜も咲いて、あっという間に満開に近付いていて驚きしかない毎日です。
これからライフスタイルも随分と変わりそうなので創作活動も調整しないとな、と思います。
変わらずにやる可能性も全然ありますが。多分しばらくは変わらないだろうと踏んでいます。
無理せず頑張りすぎず。よろしくお願いします。




