勇者志望なのに勇者死亡だよ。
初投稿です!拙いところもありますが、ぜひ楽しんでください。
8年前、自らを魔王と名乗る、史上最強最悪の怪物が現れた。科学に頼りきっていた人類に、魔王の使う魔法に抗う術はなく、瞬く間に人類は魔王、及び魔族に世界の領土を4分の3も奪われた。
魔王はその後も事あるごとに人類の領土を奪い、遂に、残る国は一つとなってしまった。国の王は、ダメ元だと知りつつも、魔王に対抗するための勇者を集め、彼らに希望を託すことにした。
「あぁ………明るい、太陽が眩しい。何で太陽って明るいんだ?」
人類最後の王国の外れにある、しょぼくれた村、その中にあるしょぼくれた家の一室で、今日から勇者となる、ロスト・アシュリーはぼやいていた。
勇者と言えばこのご時世、最も敷居が高く、最も憧れる職業だ。なんか、皆んなから嫌われてるとは露知らずの裸の王様が指名してきたから、高い給料でるし行こっかな、というのが理由らしい。
王からの通達によると、街の酒場でパーティーメンバーと顔合わせをするから来いとの事だ。でも、交通費などは一切出ないので、正直なんかもう怠くなっているらしい。
しかし、一度引き受けたからには行かなければという、人として最低限の倫理観はあるらしく、何となく準備し、ゆらゆらっと出かけようとしていた。ふらふら〜っと家を出て、ズルズルと這い蹲る様に酒場に向かう。
思っていたより酒場は近く、貧血の勇者でも何とか辿り着ける所にあった。
見た目は、まぁ、このしょぼくれた街に会った外観だ。ロストは、人見知り特有の、少し挙動不審な様子で扉に手をかける。
「うぃ〜〜っす。よろしゅ〜っす」
まるで部活の朝練に出るかのごとく覇気の無い声で挨拶をする。コミュ障を極限まで極めた真髄がこれと言えるだろう。
「あ!遅かったね!君がラストの人かい?よろしく!僕はレイ・ライン!」
そう言って爽やかに握手を求めてくる、ほんのりイケメンなレイと名乗る青年に、ロストはコミュ障特有の気持ち悪い笑顔を浮かべ、手を差し出した。
「よ、よろしくっす、ロストっす」
「そうかい!よろしくロスト!ところで、君の職業はなんだい?」
軽く軽く自己紹介を済ませた後に、レイがロストに尋ねる。
「あぁ、その、【突撃剣士】……だけど」
「強そうだね!僕は【微魔法使い】!お役に立てると嬉しいなぁ」
「(微魔法使い⁉︎何それ⁉︎良くあったなそんな職業!ってかよくそれで魔王に挑ませようと思ったな?王さまチャレンジャーかよ!!)」
一瞬でそこまでツッコミが出てきたが、それを口に出すのはコミュ障としてはかなりのハードルなのであろう、ロストは誰にも見えないようグッと拳を握る。
「さあ!他のみんなも自己紹介しようよ!仲良くやってこうよ!」
正直な所、ロストはこのテンションが若干うざくなっていたが、まぁ、パーティーで長い事旅をするのだからこういうメンバーも必要だろうと割り切る。
「ホラ!立ってよメイト!こういうのは第一印象がものを言うよ!」
奥の方でゲームをピコピコしている、メイトと呼ばれた少年が、目はゲームをから離させず下半身だけをロスト達の方に向けて、いかにもゆとりって言うような挨拶をしてくる。
「あぁ〜〜、どもっす、メイト・ポーンです、確か職業は【御曹子の子】……的なやつだった様な気がします」
名前以外は的な、だとか、様な、であるとか、なんかフワッとしたもので片付けられたため、ロストはイマイチこの少年の事をわかることができなかった。
「おーい!シグレー!君の番だよーー!」
隣にいるにも関わらず、耳元で大声で叫ぶレイを見て、こいつ…やばいんじゃね?という感想を、ロストはは持ったが、彼はきっと大声を出さないと死んでしまう病なんだ!と自分に言い聞かせる。
「……………」
だが、耳元で叫ばれたはずの、シグレと呼ばれた坊主の青年は、手元の本に目を落としたまま、一向にこちらを見ようとしない。どんなにレイが大声を出してもダメなので、仕方なくレイが代わりにシグレの紹介をすることになった。
「この人はシグレ!僧侶だよ!」
驚くほどざっくりとした説明だった。しかし、この人にこれ以上の説明を求めたら、きっと日が暮れるだろうと思い、ロストはコミュ障の最大限の勇気を振り絞ってシグレの後ろに行き声をかける。
「あの〜〜、シグレさん?何読んでるんですか〜〜?」
「……………」
当然のごとくシグレからは何の反応もなく、どうにかきっかけを作ろうと思い、悪いとは思いつつもシグレの持っている本を覗き込む。
そこ写っていたのは、金髪や黒髪、果ては緑髪や赤髪といった様々な女性の、芸術的な角度からの写真や、布切れ一枚足りとも身につけていない、生まれたままの姿などの写真などが添付されていた。早い話がエロ本である。
「って!エロ本じゃねーか!(何が僧侶だ!煩悩の塊じゃねえか!なに袋とじすげえ綺麗に開けてんの⁉︎なんでページの端っこ折ってんの⁉︎しかもちゃっかり限定DVDの予約葉書書いてんじゃねぇ!)」
うっかりして少しツッコミが溢れてしまった。が、しかし今はそんなことは、ロストには些細な問題である様で、まだ何か言いたげだが、グッと拳を爪が食い込むくらい握りしめている。時折挟んでくる、ふぅ、と言って本を顔の上に乗せる動作が、ロストをより一層苛立たせる。
「さぁ!全員自己紹介は済んだね!じゃあ魔王を討伐にいこう!」
なぜか、魔法使いという、本来なら一番端っこで目立たずに居そうなキャラがこのパーティーを仕切っていた。まぁ、他の誰もこの異常なパーティーをまとめれるなんて思ってないだろう。
ようやくゲームを終えたメイトが立ち上がり、エロ本を読んでいたシグレは歴戦の勇者ばりの顔で本から顔を上げる。そして、暫し本を顔に密着させ十分楽しんだのだろう、本を机に置き、立ち上がる。
「さぁ!行こう!」
レイがそう言い放ち、皆んなが出発しようとした瞬間。
「いてっ!」コツンっと、軽い音が鳴りメイトが声を上げる。おそらく椅子に小指でもぶつけたのであろう。しかし、メイトはそのままうずくまり足をさすっている。
「……………だ、大丈夫かい?」
レイが優しく尋ねる。
「……………っ!ごめんみんな、どうやら僕はここまでの様です。精一杯僕なりに頑張ったんですが……っく!」
なんか変な事を言い出したパーティーメンバーを、ロストは冷めた目で見る。
「な、なんだって!大丈夫なのか⁉︎メイト!メイトォォォォ!」
恐らくこの場でこんなこんなマジになれるのは、この世で彼一人であろう。とロストは思う。
「待ってろ!メイト!この微魔法使いの全ての魔力をつぎ込んだ最終魔法!〔死者蘇生〕を使うからな!」
「(いや待てぇい!魔力全部って!ポーションも無いのに、それ使ったら終わりじゃん!ってか、微魔法使いじゃないの⁉︎そのレベルの魔法は微じゃ済まされないよね⁉︎賢者レベルだよね)」
「安心しろ、今の俺は賢者モードだ」
「(誰だよこんな変態、メンバーに誘ったの!王さまか⁉︎王さまなのか⁉︎王さま本当にこれでいけると思ったのか⁉︎そもそもなんでこんな煩悩で生きてる奴が僧侶になれたの⁉︎)」
アホ共の会話をただただ心の中でツッコミながら見守る事しか出来ないロストは、一つの感情が芽生えていた。
ダメだ。スライムにも負けるわ。と
かなり遅筆ですので、続きは相当時間がかかりそうです。




