第一話……見栄えのいい小説宣伝
SNSを眺めていると、ときどき猛烈に見栄えのいい小説宣伝が流れてくる。
美少女。浮遊戦艦。剣を構えた騎士。燃え上がる城。
「おお、格好いいな」
と思ってよく見ると、AI生成のイラストだったりする。
別にAI絵が嫌いなわけではない。むしろ私はAIの補助利用にて小説を書いている側なので、AIそのものを否定する立場でもない。
ただ、いざ自分の小説の宣伝にAI絵を使おうとすると、妙にモジモジするのだ。
世の中には、何十年も絵を練習してきた人がいる。
人体を描いては「腕が変だ」と悩み、背景を描いては「遠近感がおかしい」と直し、色を塗っては「光源どこだよ」と自分でツッコミを入れながら、少しずつ上達してきた人たちである。
そこへ私がAIに、「可愛い女騎士を描いてください。もう少し可愛く。背景も豪華に」などと言って、1分もたたず出来上がった絵をドーンと貼ったらどうだろう?
なんとなく申し訳ない。
申し訳ないのだが――。
宣伝として見ると、強い。
これが困る。
文字だけで、「宇宙帝国を舞台にした戦記SFです!」と投稿しても、タイムラインでは秒速で流れていく。
ところが可愛い美少女やカッコイイ剣士がドーンと出てくると、一瞬でも目が止まる。
底辺作家同士の戦いにおいて、この「一瞬目が止まる」は猛烈に大きい。
そもそも我々には知名度がない。
ランキングに載っているわけでもないし、フォロワーが多い書籍化作家でもない。
つまり我々の宣伝とは、「お願いだから0.5秒だけ見てください」という戦いなのである。
そこでAI絵が強力な武器になる。
……使えば有利。
でも使うと、なんとなく後ろめたい。
だから私は今日もモジモジする。
「別にいいんじゃないか?」
と思った五分後には、「いや、絵師さんの気持ちを考えるとなぁ……」となり、その十分後には、AI絵を使った他人の宣伝を見て、「やっぱり見栄えいいなぁ……」と羨ましがる ( ˘ω˘ )
そして最後には、「まあ今日は文字だけで宣伝するか」と投稿して、ほとんど反応がない。
……ぐぬぬ。
たぶん私は、AI絵を使うか使わないかについて、立派な結論が欲しいわけではない。
ただ単純に、「使った方が強い。でも使うのはちょっと気が引ける」という、その間でモジモジしているだけなのだ。
底辺作家の宣伝活動とは、作品を書くより妙なところで精神を削られるのである ( ˘ω˘ )
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