第一話 初めまして
恋愛ものを書いて見ました。
「うう、暑い...登下校中水買いにいくなとか昭和過ぎる...」私はうなだれてちょうど近くにあった公園の車止めに座った。頭がガンガンして道が歪んでいるように見える。熱中症になったかもしれない。部活も終わったのでさっさと帰りたいのだが帰る気力すら出ない。水もないしここは日陰ですらない。
「お前、大丈夫か?この水やるよ」
ちょっと暗くなったと思ったら、部活帰りだろう詰襟姿の男子がいた。水はありがたくもらって早速飲もうと思ったのだが力が入らない。ため息を付いた彼に取り上げられる。
「あっ」
「開けられねえなら開けてやるよ、はい」
キャップをく、とひねった彼はペットボトルをくれた。おいしい。ラベルをみると有名な塩入り飲料だった。
「それはお前にやんよ」
え、と思う間に日傘を押し付けられ彼は立ち去った。どうしよう、お礼すら言えていない。名前すらわからない。かろうじてわかったのは彼が同じ高校だということだけ。明日、友だちに聞いて誰か教えてもらおう。
次の日、私は彼がくれた日傘とちょうど昨日焼いたパンをカバンに忍ばせ登校した。教室に入った私は友達の元へと向かう。
「ねえ、探してる人がいるんだけど..」
友達_保美は目を瞬かせたあと、にへらぁとしか形容できないような笑みを浮かべた。
「気になる男子でもいるの?私に話してご覧なさいよ」「つ、ちがう。昨日ね_」
私は昨日の出来事を話した。保美は難しい表情をすると口を開いた。
「それ機工専攻してるデジクリの高平って生徒だと思う。ただ、お礼を言いに行くのはやめたほうがいいんじゃない?」
保美の情報力に感謝しかないのだが、お礼を言いに行かないほうがいいと言うのはどういうことだろうか。
「高平って生徒ちょっと問題があるのよ、対人関係に。しかもすごい痩せててブツブツ何かずっとつぶやいてたりするみたい。あとずっと機械いじってたりキーボード叩いたりしてるみたい」
だがお礼を言わないわけにはいかないので渋る保美から何処にいるのか(大体デジクリの部室にいるらしい)を聞き出した私は昼休みにデジクリの部室たる機械室に向かった。私が彼のことを校内で有名だった割に知らなかったのは私がいつも図書室に入り浸っていることと専攻している科目が違った結果のようだ。
ぼんやりしているうちに機械室に到着した。軽くノックをしてから入る。居た。彼は一番奥のPCの前に座って何かをタイプしていた。私には気づいていないらしい。彼の近くに向かおうとしたとき、彼がふらりと倒れた。反射的に走る。遠くて支えるのには間に合わなかったけれど、床はマットなので多少は大丈夫だろう。
「大丈夫ですか?熱っ」
脈を取ろうとして首に触れてあまりの熱さにビックリした。とんでもない高熱だ。持っている体温計で測ると30度もある。回復体位を取らせてペットボトルで首を冷やす。冷たすぎたのか少し目が開いた。
「ぅあ、はっ、はっ」
息も苦しそうだ。できるだけ優しく声を掛ける。
「水を飲めそうですか?歩けそうなら保健室にとりあえず行きましょう」
歩けないならば私が保健室に走って担架を取ってこなくてはならない。
「大丈夫、だ。このくらい別に大したこと、ないから」
自分のことを考えていない彼の言葉に頭の奥でブチっという音がした。
「大丈夫じゃないですよ、全然。放置して万が一死んだらどうするつもりですか?死んだら取り返しのつかないことになりますよ」
目を見開いた彼だったが尚も食い下がる。
「この、プログラムの完成は、絶対に遅れたらだめなんだよ!」
「何故!何故そこまでそれにこだわるの!」
ふっと笑みが浮かぶ。
「このプログラムは医療用ロボットのコアプログラムだ。このプログラムがコンテストで優勝すれば実用化されて多くの人の役に立てる。コンテストの期限は明日なんだ。」
起き上がってガバリと頭を下げる。
「頼む、見逃してくれ」
理由は分かったがこのまま放置ではよくない。
「分かりました。でもまた倒れられたら今度こそコンテストには提出出来なくなりますよね?」
カバンを引き寄せる。
「だから私はここにいて明日まで貴方の看病をします」
呆れたような呆然としたような顔が面白くてくすくすと笑いながら彼の額に冷却シートを貼る。
「でも15分は今から休憩してください。限界でしょ?」
お礼を言っていなかったと思い、口を開いた。
「昨日はありがとうございます。助かりました。」
彼は何かに気づいたかの様に笑う。
「これはそのお礼なのか?」
「いいえ、これはまた別です。お礼にパンを持って来たんですけど食べられないですよね。また今度焼いて持ってきます」
いつもここにいますよねと続けると彼は姿勢を正しておどけるように言った。
「では先生よろしくお願いします。俺は高平洸。貴方以外の呼び方だと嬉しい」
私も姿勢を正して笑う。
「私こそよろしくお願いします。高平さん。私は花屋敷唯綺。私は呼び方は何でもいいです」
優勝向けて頑張りましょうというと頑張るのは俺なと言われてしまった。
「ありがとう」
ぶっきらぼうに彼が言って、私は目を柔らかく緩めた。
意外とよく書けたかも。いいね待ってます。




