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アキラは必死に隣のビルへ飛び移った。
だが、すぐに背後から聞こえてくるのは、無数の咆哮と足音。
「……はぁ、はぁっ! なんであいつら、こんなに身体能力が高いんだよ!」
ゾンビたちは、まるで陸上選手のように軽々と飛び越えてくる。
中には壁に激突して地面に落ちるものもいたが、それでも数が多すぎる。
アキラは息を切らしながらも、頭の中で冷静にルートを組み立てる。
鉄骨の足場、配管、壊れかけの看板。
全てを利用しながら、彼は次々とパルクールの技を繰り出していく。
ビルからビルへ。壁を蹴り、手すりを掴み、狭い隙間をすり抜ける。
何度も死にかけながらも、ギリギリで足場に着地し続けた。
「ここで落ちたら終わりだ……!」
やがて、徐々に高度を下げていく。
屋上からバルコニーへ、そして非常階段を駆け下り、最後にはガラスを蹴破って飛び込んだ。
――そこは、薄暗いファストフード店だった。
床には散乱したポテトや倒れた椅子、そして乾ききった血痕。
すでに客も店員もいない。
ただ、外のうなり声だけが遠くから響いていた。
アキラは背中を壁に預け、荒い息を吐く。
「……っはぁ……助かった……のか?」
しかし、油断はできない。
ほんの少しでも音を立てれば、奴らはすぐに群れで押し寄せてくるだろう。
アキラは深く息を整えると、カウンターの奥に目を向けた。
そこにはまだ、冷蔵庫や食料の残りがあるかもしれない。
「よし……今のうちに、補給しておくしかない」
震える手でナイフを握りしめながら、彼はゆっくりと店の奥へと足を進めていった――。




