tokyo zombie 2
アキラは恐怖に駆られ、思わず先ほどの部屋へ戻ろうとした。
だが、あの扉はすでに自分の体当たりで破壊してしまった後だった。
「くそっ……!」
行き場を失ったアキラは、決死の覚悟で屋上の端に駆け寄り、勢いよく跳んだ。
――ビルからビルへ。
風を切る感覚が全身を突き抜け、着地した瞬間に膝を曲げて衝撃を逃がす。
かつてパルクールのプロだった彼にとって、これは恐怖よりもむしろ快感だった。
「っしゃああああ!!」
思わず叫び声が漏れる。
ビルの下を見下ろすと、ゾンビの群れはまだ二十五メートルほど後方に取り残されている。
アキラは大きく笑い、周囲を見渡した。
そして、ちょうど手に馴染みそうな鉄パイプを一本見つける。
「おお、いいじゃねぇか……!」
それを侍のように背中へ差し込み、胸を張って叫んだ。
「俺はここだぁぁぁ!! 捕まえてみろよ、ハハハハハ!!!」
その挑発に群れは一層狂暴化し、凶悪な唸り声をあげながらアキラの方へ突進してくる。
しかしゾンビたちは愚かで、階段を使う知恵すらない。
ただ壁を爪で掻き、互いに押し潰し合いながら積み重なっていくだけだった。
やがて、一匹が屋上の縁に顔を覗かせる。
「来やがったな……!」
アキラは鉄パイプを振り抜いた。
鈍い音とともに、そのゾンビの頭が吹き飛び、隣のビルの壁へと叩きつけられる。
「うおっ……マジかよ!」
驚愕しながらも笑みを浮かべるアキラ。
だが、首を失ったはずのそのゾンビは、なおもよろめきながら動いていた。
「嘘だろ……!」
次の瞬間、彼は強烈な蹴りを浴びせ、ゾンビの体を屋上の外へと蹴り落とす。
だが、その直後――
「ガシャァァン!!」
背後で扉が粉々に吹き飛ぶ音が響いた。
アキラが振り返ると、建物の内部から新たなゾンビたちが這い出してきたのだった。
「なっ……! しまった、俺の叫び声で――!」
アキラの心臓は再び激しく脈打ち始めた。




