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家族に家から追い出されたので、悪役令嬢を矯正します!  作者: 雲乃琳雨


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18/40

18、復讐の結末

 メアリーの話では、薬はエビが用意した。そしてなんと! 私がお父様に会っている間に、エラが私の部屋のドレッサーの引き出しに、薬を隠したそうだ! あいつめ……。薬はワンスが行って、すぐに回収してきた。


 ワインとグラスは、エビが前もって用意させたものを部屋に隠していた。

 後日、持って行ったメイドに話を聞くと、部屋に入ったときになかったので、他の者が片付けたのだろうと思ったそうだ。


 ワインを運んだかごと、上に掛けたナフキンは屋敷の備品で、それぞれ別の日にエラがエビの部屋に持ってきていた。

 メアリーは今日の午前中に、執務室から一室挟んだ使っていない部屋に掃除道具を置いた。


 私が執務室に呼ばれると、かごを持って空き部屋に待機し、私が廊下からいなくなるまで待った。私がゆっくり歩いていたので、イライラしたみたい。

 その後執務室に入った。


『ピニーお嬢様から、ワインを持って行くように言われました』

『サイドテーブルの上に置いておいてくれ』


 メアリーは、薬をグラスにだけ入れてサイドテーブルに置くと、かごを持って部屋を出た。空き部屋に入りかごを置いて、掃除道具を持って出て行ったということだった。ワンスがまた空き部屋に行って、かごを回収した。

 お父様が倒れたあと、グラスは机の上で倒れていたので中身は残っていなかった。私の部屋から持ってきた薬を見せて、メアリーに同じ量か聞いていた。


「はい、……同じぐらいです」


 メアリーは素直に答えた。先生が書類を書いて、マイクに渡し内容を確認する。


「ではメアリー、証言書が正しいとサインしてください」

「はい」


 メアリーは証言書にサインした。次に伯爵が証人のサインをし、マイクと先生もサインした。結局、メアリーへの復讐はマイクが代わりにやってくれた。

 マイクがメアリーを連れて出てくるので、私たちはまた隠れた。メアリーはよろよろと歩いた。衛兵が戻って来たので、メアリーを鍵のかかる部屋に連れて行った。

 私はマイクのところに行った。


「証言が取れましたので、これでお嬢様は隠れている必要がなくなりました」

「ありがとう、マイク」


 私はワンスに、夕食を食べてくるように言った。それと、客人三人の夕食を用意するように頼んだ。


 今度は、エビとエラが呼ばれてやってきた。エビは険しい顔、エラは不安な顔をしている。衛兵をまた一時下がらせる。私は衛兵がいなくなると戻ってきて、ドアに張り付いた。ドアは少し空いてるけど、顔までは見えないわ。マイクの声がする。



「こちらは弁護士の先生です」

「子爵から不測の事態が起こった時の書簡を預かっています。今回は、職務を遂行できない事態の場合の書簡になります」

(何それ。旦那様は、事前に準備していたということ? 本当に用心深い人だわ)


 ソルビエは苛立った。弁護士は立って封筒を二人に見せると、封を開ける。


「この書簡が見れるのは、封筒に宛名がある者のみとなります。一部を読みます。

 執事マイクに管理の一切を一任する。以上です」


 そう言うと、座った。マイクが一任されたので話し始めた。


「では、話を進めます。メアリーが自供しましたので、あなた方が首謀者であることは分かっています」

「何ですって! そんなの嘘よ!」


 ソルビエが声を荒げた。


「ここにメアリーの証言書があり、署名されています」

(そんな! メアリーが……)


 メアリーはまだ若い。厳しく言われたら、言ってしまうだろう。エレオノーラは悲壮な顔をした。


「私は旦那様から、不測の事態には代わりにお二人に事実をお伝えするようにと言付かっています。

 旦那様とソルビエさんは、ご婚姻されていません」

『え?』


 マイク以外の全員が驚いた。弁護士も知らなかった。伯爵も驚嘆した。


(とんでもないことだな)


 マイクは続けた。


「旦那様はソルビエさんに、


『君たち親子を支援したい。君には私の妻の()をしてほしい』


 とおっしゃいました。

 お二人とは、子爵家の使用人としての契約になります。今までかかった費用はすべて使用人報酬となります」

(そう、旦那様は確かにそう言った)


『では、手続きはこちらで済ませる』


(……あの男は、私たちを騙したのね!)「旦那様は何でそんなことをしたんです!?」

「それは、私が言うことではありません」


 マイクは静かに言うと、二人にかかった費用が書かれた書類を掲げた。


「これは、使用人に払うには相当以上の額です。先生ご確認を」

「はい」


 弁護士に書類を渡す。


「そのように確認しました」


 弁護士は書類をマイクに返す。マイクは二人に告げる。


「何かあったときは、旦那様にも責任があるということを踏まえ、お二人とは契約を打ち切り、不問に処すということです。ですが、マクレガー家に不利益なことをしたり、他に罪を犯せば、減刑は取り消され今回のことと併せて罪を償うことになります。

 明日の午前中に荷物をまとめ、午後すぐに出て行ってください。購入された家具なども持って行ってよいので、住まいが見つかり次第お運びします。二人には報酬として、中級アパートの家賃3年分に相当する額をお支払いします。

 そして、今後この屋敷に入ることは禁止します。他の使用人にも契約の件は伝えます。もし入れば不法侵入で警備署に通報します。

 この使用人契約終了書にサインしていただければ減刑され、報酬が受け取れます。拒否された場合は、メアリーの証言書と共に警備署に突き出します。どうされますか?」


 メアリーの証言書があるので、二人はもう罪を犯すことができない。

 マイクは二人に契約書を見せた。サインしなければ貴族への障害で死罪だろう。ソルビエとエレオノーラは震える手でサインした。


「お二人は元より平民です。

 対外的には当分は離縁したことにしますが、時間が経った後に使用人であることを公表します」

(それなら、しばらくは貴族のふりができるわ。支援してくれる貴族を見つけることができるかもしれない)

(嘘だわ、平民のままだったなんて。今までのことはなんだったの?)


 ソルビエはエレオノーラを見た。エレオノーラは泣いていた。


(エレさえいれば大丈夫だわ!)



 ピニオンは部屋の外で話を聞いていた。


 終わった……。ただそれだけだった。メイド長がやってきた。私は中から見えないように脇に隠れる。メイド長が応接室に入った。


「部屋を探しましたが、怪しいものは見つかりませんでした」

「ご苦労」


 マイクがメイド長を下がらせた。


(私たちの部屋を探したのね! 薬はピンの部屋にしかない。追加の薬は、ジャンの家にあるわ)


 伯爵はソルビエの変化を見ていた。


(また気力が戻ったな……)


 マイクはソルビエとエレオノーラに告げた。


「では、部屋に戻りなさい。明日の午後にモントルからの借り馬車を用意します。それまでに荷物を準備しなさい。今後の食事は部屋で取ること。衛兵が監視に付きます」


 去り際にエレオノーラは伯爵を見たが、冷たい視線で一瞥されるだけだった。


 衛兵が戻って来た。私は、また見えないところまで移動した。エビたちが連れて行かれるのを見届けて、応接室に戻った。ワンスも戻って来た。私がマイクに伝える。


「遅いですが、お客様に夕食の用意をしました」

「分かりました。先生、遅くまでありがとうございました。夕食はどうされますか? もう遅いので泊まっていかれますか?」

「はい、馬車は返したのでそうします」

「では、こちらに」


 マイクは先生を案内した。マイクは去り際に私を見てウィンクした。うっ……。


「伯爵はどうされますか?」

「私は帰る。明日行くところがあるし、夜道は慣れている」

「そうですか。ではお見送りします」


 裏口から馬をつないである木まで歩いた。


「お前は知っていたのか?」

「あ、ええ。今日伯爵と会う前に知ったんです。その後に私のせいだから、反省していたんです。もう悪役令嬢でもないし」

(それで泣いていたのか)「そうだな」


 伯爵のカバンは馬に付けたままだった。きっと防犯用の魔法石を使っているのね。盗めばその場で串刺しになるだろうけど……。伯爵はカバンからお菓子を取り出して、私の頭の上にポンと乗せた。


「ほら」

「あ、ありがとうございます」


 もう、何で上に置くのかな? ちょっと不満だ。箱を見ると、王家御用達の高級チョコレートだった。


「わぁ、食べたかったんです。ありがとうございます」

(もう私には関心がないな)


 伯爵はフッと笑った。


「じゃあな。また来る」

「はい、お気をつけて」


 伯爵を見送った。今日はいろいろあった。着替えたらお父様に会わないと。

 でも、あの二人がもうこの家を自由にうろつけないと思うと、枕を高くして眠れるのが、すごくうれしかった。


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