表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
137/293

番外編⑵ 富士山大噴火

こんばんは。1本ですが、番外編を追加します。本編を補うようにするつもりです。


皆さまのおかげで、30,000PVを突破しました。ありがとうございます。


これからも頑張ります。

 新幹線の車内から見える、あるはずのない光景。キレイに晴れた空に、富士山頂から立ち上がる『火柱』…。何とも言い表せない、見事なコントラストだ。空の青に真っ赤な火柱…。美しいとさえ思う。写真を撮った後に、とりあえず冷静になり、もうダメだろう、とSNSで元嫁とヒトミに最後の連絡をした。撮った写真とともに


「ワシ、終わった。ごめん、さよなら」


新幹線の車両に噴石が、音を立てて降り注いだ。ごめん、玲ちゃん…。連絡もできないし、帰ってからデートも無理っぽいや…。大きな赤い球体が見えて、次の瞬間、何も見えなくなった…。


◇◇◇◇◇


 リビングのTVで、このところの地震のニュースを流してる。東京は多少揺れる程度。父親が名古屋にいるけど、両親が離婚してからは母と一緒に東京にいる。


「ここん所、中部地方辺りで地震多いね。オトン、大丈夫かな?」


「大丈夫でしょ?今のところ、震災規模の被害はないんだから」


揺れた。そこそこの高層階だから、揺れは大きく感じる…。そんな時に速報のテロップが流れた。


「誰よ、こんな時に」


母が毒づきながらスマホを操作している。


「名古屋、震度5弱、東京、震度4…。結構揺れたな…。え?富士山が⁉︎ お母さん!富士山が噴火したって‼︎」


母を見たら、リビングのキッチン寄りで座り込んでいた。


「どうしたの⁉︎ 大変なことに…」


母の顔は、血の気が引いたような色をしてる…。母が震えながら、自分のスマホの画面を私に向けた。そこには父からの


「ワシ、終わった。ごめん、さよなら」


の文字と、火柱を上げる富士山の写真があった…。


「お父さん⁉︎ なんでこんな…。……いや〜‼︎‼︎」


母のスマホを奪うように取り、父の番号をコールした。つながらない!こんな時に!とイラつきながら再コール。鳴った!でも、電話の相手が出ることはなかった…。


◇◇◇◇◇


 あ〜ぁ、アタシは何してるんだろ…?一緒に住んでる『バカな男』は、突然の出張で東京に行った。土日に久しぶりに遠出する予定だったのに…。バカやろ…。地震が多くなってる、こんな時にアタシを置いて…。


 もう何年になるのか…。たまたま友人と一緒に入ったバーで、1人で飲んでた『オッサン』…。わりと渋めで、いわゆる『チョイ悪系』だった。席が近かったこともあり、一緒に飲むことに。話も上手く、友人と2人、あっと言う間に引き込まれた。話が上手いから営業かと思ったら、IT系のエンジニアだという。今度パソコンのことを聞いてみようか、などと考えていた。


 何度か、友人と2人で『オッサン』を誘い出して飲みに行った。話しをしてるうちに、


『バツイチ』


だと知った。その時は、どうでもよかった、はず…。あまり深く考えていなかった。


 ウチのパソコンが不具合を起こして、起動しなくなった。大事なデータもあるのに…。休みの日に『オッサン』に連絡して、パソコンを見てもらうために呼び出した。その時も深く考えていたわけじゃない。


 起動できるようにしてもらい、問題なく使えるようになった。お礼として晩ごはんを作ってあげたら、


『久しぶりの手料理だぁ!』


と喜んでくれたな。その言葉と食べっぷりに


『キュン』


と来てしまった。その後、いい感じになり、付き合うことに…。付き合い始めて4年ほどかな…?一緒に住み始めて1年くらい…。


 で、久しぶりに土日に遠出のデート、なんて思ったのに、あのヤローは仕事を取りやがった。土日を挟んだ出張…。バカやろ…。楽しみにしてたのに…。泣きたくなってきた…。


 TVでは、連日中部中心の地震の報道を流してる。出張行けなくなって、帰ってくればいいのに…。なんて思ってたら、スマホの緊急速報が鳴って、揺れた。最近頻繁に鳴るもんだから慣れてしまった。慌ててTVの速報のテロップを確認した。


『名古屋、震度5弱』


結構揺れた。正直、怖かった。そう思っていたら、スマホからSNSの着信音が…。TVには、新たな速報のテロップが流れた…。


『富士山が噴火。詳細は不明…』


スマホの方は、


「ワシ、終わった。ごめん、さよなら」


の『オッサン』からメッセージと、火柱を上げる富士山の写真があった。


その後の記憶は、ない…。


◇◇◇◇◇


「あ〜ぁ、次長、今日から出張かぁ…。いないんだから休めばよかったかな?」


「おはようございます。玲子さん、早くないですか?まだ8時ですけど…。いつもは9時ギリギリなのに…」


「何よ!私が早く来ちゃいけない⁉︎ 次長がいないから、その分やらなきゃって、気張っちゃったのよ!」


 倉澤次長の部下になって2年弱…。プロジェクトの立上げ当初から一緒にやってる。プロジェクト管理に関しても、次長から丁寧に教わった。倉澤次長は私の師匠であり、頼れる上司であり、片思いの相手…。片思いと言っても、もう次長には告ってバレてるけど…。


 次長は今頃どの辺だろうか…?などと考えながら、自販機のコーヒーがドリップされるのを待っていた。昨夜一緒に飲んだ、プロジェクトの中核メンバーは、しっかり来てる。次長の教え、宿酔いでも来い、酒飲んだ翌日に休むな、ということが我がプロジェクトには浸透していた。まぁ、宿酔いになるほど飲んでないけど…。


 始業まで、まだ時間があるからネットニュースをポチポチと…。このところ多発している地震の記事が多い。そういえば大岩くん、大丈夫だったのかな?彼だけはまだ来ていない…。子どもの頃に、関西の震災を経験したと、次長から聞いた。私もニュースで見てたけど、あの現場にいたら、確実にトラウマになるわね…。


 ニュースをいくつか読んで、コーヒーを一口飲んだ時に、スマホの緊急速報が鳴り響いて、ビクッとした。何度聞いても慣れない。しばらくして、わりと大きなな揺れが


『ドンッ』


と、突き上げるように来た。かなり大きい…。怖いくらいに大きい。揺れがおさまったところて、TVのニュースと連動してるサイトを開いたら、速報が出ていた。


『名古屋、震度5弱…』


結構揺れたな…。ビルが免震構造だから、ゆっくりした揺れがまだ続いている。気持ち悪い…。そんな時に、新たな速報のテロップが画面に流れた。


『富士山が噴火』


「えぇ〜⁉︎ 富士山が噴火ぁ⁉︎」


思わず、大きな声で叫んでしまった!時計を見たら、8時20分程を指している。次長が7時30分過ぎの新幹線に乗っていた場合、今頃は富士川の辺り…。慌てて次長のスマホの番号を出して、鳴らした。出ない!かけ直してもダメ!


「どうしたの、玲子?顔が真っ青よ?」


誰に声をかけられたかもわからない…。やっとの思いで口から出た言葉は、


「…次長が…、倉澤次長が、富士山の噴火に巻き込まれたかも…。次長が死んじゃったかも知れないの‼︎」


私はパニックになってそのまま崩れ落ち、その後の記憶がない…。



* * *



 未曾有の大災害となった『富士山大噴火』…。富士山周辺の街はもとより、鉄道や自動車等も富士山からの溶岩流、反対側の海で発生した津波に飲み込まれ、死者・行方不明者の数は数万規模にのぼり、類のない『甚大災害』となった…。


 溶岩流ともなれば、その高温によって焼き尽くされ、遺体の発見は困難だろう。不明者の大多数はそのまま死者数に含まれることになる…。


 富士山麓の風穴等の洞穴は全て崩れ、まるで『龍脈』のように、そこかしこに点在する断層は活発化した。地形は変わり、本州は2つに分断された…。


 そしてこの事実を、ワシは知らない…。

巷では、新型コロナが猛威を振るっています。お気を付け下さい。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ