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第124話 ことの終わり

 魔族となったエイサム団長の退治について、ワシが斬りつけ、エイサムの副長が剣を突き立てたところを、アレックスとロアンが見ていた。


「終わりましたね」


とロアンが声をかけてきた。傍らにはヒースもいた。そういやコイツもいたんだっけ…。すっかり忘れてた…。マルタがワシの隣に来て腕を掴む。さて、エイサム領の混乱はこれで全て片付いた…と思いたい。まだ何かあるかもしれない。ミーシャがこちらを見て、


「ありがとう。領地内をまとめて、尚且つ魔族も退治してくれて…。全てが一気に片付くなんて…。殺されたこの子も浮かばれるわ」


と涙を流しながら、亡き友人の墓石に向き直った。 


「一旦、エイサムの領主館に戻ろう。報告書の作成もあるが、面倒だが、各部族の首長たちも集めてくれ。ことの顚末を説明する必要があるだろう。それと、怪我人の手当ても必要だ。救護チームを手配してくれ」


とアレックスに伝えた。すぐにロアンが動き出し、その後をエイサムの副長が追いかける。彼はこれからどうなるのか…。『魔族』とはいえ、元は騎士団長だった者が起こしたこと。類が及ばなければいいがな…。


 マルタにコーダの様子を聞いた。気を失ってはいるものの、息はあり、大事には至らないだろうとのことだった。ひとまず安心した。


◇◇◇◇◇


 我々が領主館に着いたタイミングで、各部族の首長たちも到着した。どうやら、ワシらがバタバタした姿を見て、留まっていたようだ。


 合議を行った部屋に集まり、ことの顚末を説明した。一同、驚きはしたものの、


『魔族に心を売り渡した不埒者』


と切り捨てた。そして話は、ワシの傍らに立つ、エイサムの副長の処遇に移る。即座に出た言葉は、


「ことを起こしたのは『魔族』であり、騎士団団長ではない。であれば、副長はおろか、騎士団に類が及ぶことはない。だから不問だろう。それどころか、トドメは副長が刺したと聞いた。ならば彼に、今後の騎士団を率いてもらえばいい」


副長は深々と頭を下げ、礼を言った。その姿を見てロアンもホッとしていた。思ったとおりの結末になったな。ワシもホッとした。


 あっという間に解散となり、ようやく各部族の首長たちは、自分たちの集落に戻って行った。ワシらも帰郷の準備をしなくては…。などと話しながら、領主館を退去しようとしたその時、王国首都からの早馬が来た。


「何事だ⁉︎」


「ナイトのマモル殿に、国王陛下からの親書をお届けに参りました!」


国王陛下からの親書…。イヤな予感がする…。遣いから受け取り、内容を確認した…。内容は、


・今回の働きに対する労いをしたい

・首都に報告に来るように

・エイサムの新領主は現エクランド公が就任

・エクランドはナイトのマモルが新領主となる

・領主就任にあたり、マモルに爵位を授与する


などが記載されていた…。頭痛い…。


「して、いつ頃王国首都からのお越し下さいますか?」


「え?今返事するのか?」


「はい。返事を頂いて来いとのことでして…。因みに、エクランド公は既に首都にお入りになっておられます」


そういうことなら、すぐにでも行かないとならんか…。誰を連れて行くか…。1人では行きたくないから…。


「ここから首都まで、馬車でどのくらいかかる?」


「ゆっくりしても、明後日には到着します」


「では、明後日に伺うと伝えてくれ」


と返事をした。マルタには帰ってもらい、みんなに状況を伝えてもらうことにした。アレックスは帰路の手配があるため、ロアンに同行してもらうことになった。


 首都に行く前に、気持ちを落ち着けようと、ヒースとロアンと飲むことになった。


「あ〜ぁ、なんか貧乏くじ引きまくりだなぁ…。なんでこう、面倒が降ってくるのかねぇ…。自分の人生がイヤになってくるよ。ロアン、代わってくれんか?」


「イヤですよ!なんで私が!今回の件は全部マモルさんが取り計らったことじゃないですか!」


「わかったわかった。なら騎士団には、ワシの下で今まで以上に働いてもらおう」


「理不尽だ!」


「冗談だよ。騎士団には感謝してるよ」


「しかし、ついこの間まで、ハンターとして活動していて、あっという間にAクラスになったヤツが、ナイトを経て今度は領主様か…。今までのようには行かんな…。アランもガッカリするぞ?」


「そう言わず、今まで通りにしてくれ。崇められるのはワシがイヤだ」


「「いや、ムリだ(ですよ)!」」


即答かよ…。ヒースが続ける。


「しかし、領主になるってことは、それなりの権力を持つということだ。羨ましい反面、変な連中から狙われるぞ?」


「マモルさんなら返り討ちでしょう」


ヒースが物騒なことを、ロアンがゴマスリを言ってくる。


「あ〜ぁ、ホントにめんどくせぇ!あ、嫁さんたち、どうするかな?」


「ノロケはいらないっスよ〜」


「領主館に住まわせればいいじゃねえか…」


何故か3人とも、ヤケ酒状態…。エールをガブ飲みしてる…。


◇◇◇◇◇


 明日は出発。エクランドに帰る、アレックス以下の騎士団とギルドからのメンバー。ワシとロアンは首都へ…。ヒースが、


「オレも連れて行け。護衛になる!」


「アホウ!お前は帰れ!帰ってギルマスの仕事しろ!アランを早く解放してやれ!」


と怒鳴った。そんな時にミーシャとカレンが来た。


「護衛代わりにアタシたちも付いて行くよ。いいよね?」


「ワシらは遊びに行くんじゃない。国王陛下の呼び出しに応じるんだ。ついて来て何になる?」


断ったつもりだったが、どうしても行くと聞かない…。マルタを連れて行かないのに、なんで他の女を?マルタに怒られるんだが…。


「マルタさんには護衛でついて行くことは伝えたよ。ちゃんと話は通した」


あら、外堀埋められてる…。ただ、女性が一緒となると、野宿はできんな。それこそ危ない奴らに狙われる。ヒースが、


「彼女らが行くなら、オレも…」


「…まだ言うか…?テメェ、シメるぞ…?」


スゴスゴとヒースは退散して行った…。


 エイサムの騎士団に馬車の手配を頼み、宿に戻った。首都への道中、何かあってもいいように、武器も手入れをした。そういや短刀はコーダに持たせたままだな…。とりあえず預けたままでいいか…。


 マルタと『エイサム最後の夜』を堪能して、いつの間にか寝落ちした…。

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