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6話 救世主、その名は国王ザムザ

魔王軍、人類侵攻部隊本部。


魔王軍幹部メイビス。

一つ目の女の魔物である。


豊満な乳房と黒みがかった肌を持つ彼女は

軍装すらしていない。


もう勝ちは見えているからだ。


机の上のチェスのようなボードは

今の戦場を表している。


天幕内には四人程の男の上に座り

苦しむ顔に愉悦を感じながら

彼女は優雅に茶を嗜んでいた。


「空中部隊ね、堅物のアンナの考えではないな。

最初は驚いたが数が少ない。対処は簡単だな」


「誰の部隊だ?」


メイビスは常駐している部下に聞く。


「国王ザムザの部隊の様です」


「ああ、あの私が懇意にしていたワルイを

切ったという男か」


「ワルイを切ってくれたおかげで

人間の奴隷が手に入らなくなったからな

お飾りでいればいいものを余計な事を」


今回の大規模な魔王軍の侵攻の一因でもある。



「前線のオークどもは死んでも気にせず

攻撃し続けて圧力をかけろ。」


「投石機の配置が終わったら

オークに構わず撃て、それで詰みだ」



「降伏するなら受け入れろ。

アンナは殺すなよ、私に傷をつけた女だ」


「ひん剥いて、犬の様に晒して扱ってやる。」


「はっ」


部下の1人が天幕から出ていく。


「なんという、機能美だ。

命令を下せばその通り動いてくれる。

魔王様に感謝しなくてはな」



「ククククククくくっハハハハハハハハハ

人間共!!!!希望なんてものはないんだよ!!!」



その時


天幕の上から突然、不可視の風の魔力の矢が

メイビスの胸を打ち抜いた。


胴体は跡形もなく砕け散った。



「えっ……?はっ……?な…?なんで?」


まったく訳の分からないまま。

メイビスの意識は途絶えた。






オレの全力で放った風の矢は

魔物の指揮官に命中した。



気配を探る限り、もう生きてはいない

だろう。



魔王軍に動揺が走るのを

肌で感じる。



命令系を一つに絞るのは

決断は早いが

その指揮官がいなくなった時の

影響は測り知れない。


今回の戦争の魔王軍側にとって

致命的になるはずだ。


ホント、ギリギリだな。

もう一回やり合ったら

今のままなら多分負けるだろ


オレは上を見上げる。



仇は取ったぜ、お前ら



オレは亡くなったオレの部隊に

黙祷を捧げ


味方陣地に帰ることにした。



王国の最前線で

兵士達が奮闘していた。


設置しているバリスタで

応戦しているが

重装甲のオークは

止めきれない。


「怯むなぁああああ撃てぇええええ」


アンナが叫ぶ。


「元帥、人質にされている者たちもいます!

兵達も動揺しています!!!!」


アンナの副官が叫ぶ。


「構わん、人質ごと撃ち殺せ!!!!」


「元帥!!!!!」


少し深いため息をつくとアンナは

副官に向き直る。


「責、咎は全て私が負う。

人質ごと殺せ。

でなければ死ぬ。

皆にそう伝えろ。」


「わ、わかりました」


副官は走り去った。



一部の城壁はあと少しで

破られるところまで来ていた。


制圧射撃が止まったとはいえ、

突破されるのは時間の問題だった。


(国王がまだ戦っているのだ

我らが諦める事は許されん)


アンナがそう思った

その時である。



ーーーーブォオオオオオオオン



角笛の音が魔王軍の方から

聞こえた。


アンナはその音に聞き覚えが

あった。


魔王軍の撤退の合図である。


撤退を決めさせる何かが

魔王軍に起こったのだ。



北の空から太陽を背負いながら

何者かが降りてくる。



ザムザ国王陛下だ。


神々しさすら感じる。


兵士達にとってその姿はまさに


救世主そのものであった。



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