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38話 選ばれた者、選ばれざる者

トガリの首筋に剣が当てられる。


トガリの身体が震えているのがわかった。

無理もないだろう。


元は一般人なのだから。


先輩は本気だ。

止めなければトガリを殺してしまうだろう。


「先輩、止めましょう。

今の話を聞いてオレはコイツに

同情してしまっている。」


「オレの弟はイジメで死んだんだ。

そんな奴を見捨てたくはないんですよ。」


「だから何だ?それがお前が庇う理由か?

今、この場それは関係あるのか?

ヒメジマ、お前がそう思っているだけの話だ」


「お前達の事情は

私にとっては関係がない。

私の部下が殺された事に対する

償いにはならない。」


「…………」


その通りだ。

トガリを殺して欲しくないのは

単純にオレの願望だ。


先輩の目は本気だった。

何事にも責任を求める人だ。


恐らく言葉では止まらないだろう。



「いいんだよ……

ヒメジマさん」


トガリがオレを制止する。


「僕はこの世界を作った経緯が

あるからどこか神様感覚で

暴れまくった。」


「けど、それに対して

怒りを感じている人がいるなら

止める必要はないよ」


「お前………」


オレ達との短い間のやり取り

つい先日までの子供じみた態度とは違い

随分と成長したように感じた。


「受け入れると?」


魔王がトガリに尋ねる。

トガリは静かに頷いた。


「こんな事を言うのはおかしいけど。

僕はこの世界を作った時に

理不尽なギミックは用意するけど

それに対しての登場人物たちの言動は

阻害しなかった。」


「それが自分の作品に対する。

僕にとっての愛だから」


「………そうか」


魔王の目元に少しだけ

敬意のようなものが見えたが


次の瞬間にはトガリの首は

地面に落ちていた。


濃厚で鼻につく血の匂いが

口の中にも侵入するかのようだった。



『あれあれ?

規格外の力を与えたのになんで死んでいる?

おお、勇者よ

死んでしまうとは何事じゃ』


何者かの声が聞こえた。



その直後にオレは信じられないモノを

目の当たりにする。


まるで逆再生の様に時間が巻き戻り

トガリの首がくっついていたからだ。



「………え?」


予想外の出来事に魔王も驚愕していた。


気付けばオレとトガリと魔王の3人は

白い世界にいた。


『うわ!!!やっば!!

まさかあの方が

こっちの世界に来るなんて!!!』


ピノの珍しく焦った声が聞こえた。


オレ達の目の前には女神がいた。

容姿からして先ほどトガリが話していた

フレイヤで間違いないだろう。



「勇者が弱すぎて叱るべきなのか。

それとも理不尽とも言える能力を

ものともしないアナタ達を褒めるべき

なのか…」



「どちらがいいかしら……ねぇ?」


フレイヤは美しくも意地悪く笑った。


その瞬間、オレは理解した。


この戦場は

――神々の机上演習ウォーゲームにすぎないのだと。



神、フレイヤとの対峙。


白く空虚な世界にもかかわらず

その異状とも言える様な

フレイヤの存在感にオレは

圧倒されていた。


いつの間にか

オレと魔王に付いている

リアとピノ両名のヴァルキリーの姿は

顕現し、かしずいていた。


「あんたは?」


オレはおそるおそる尋ねる。


「ワタクシの名はフレイヤ。

そこの残念勇者から聞いているでしょう?」



「困るのよねぇ、

この勇者はこの世界のシステムの一部。

まあ、特別性だから殺されても

死にはしないんだけどねぇ」



「褒美と言ってわがままを聞いて

あげるんじゃなかったわ。

まあ、ワタクシが言った事だから

仕方ないけど」


トガリはそれを聞いてシュンと

していた。





「フレイヤ様、本日はどうなされたのです?

なぜこのような世界でお戯れを?」


ピノがフレイヤに問う。


その態度はいつものおちゃらけた態度とは

違い厳粛なものであった。



「ふふふふふふふ。

そうねぇ。

ワタクシが与えた能力を持つ勇者を

打ち破ったという者達にも興味があるのだけど…」



「その人物に対して調べたみたら

とんでもない事が発覚したからね

それで来たのよ」


フレイヤがそれまで見せてこなかった

残忍で悲しいともとれるような

表情した。


ピノは気圧されるように震えている。


「ピノ、アナタ、ワタクシが現場に

不干渉なのいい事に

不正をしたわね?」


不正?

何のことだ?


「そ、それは……」


「ヒメジマ コウヘイは

本来、主神オーディン様へ

捧げられるべきもの」


はぁ!!!!?


「ど、どういう意味だよ?」


「本当はこの世界に転生する

予定だったのはあなた達の世界のアメリカの将官よ。

同じ国の指揮官同士を戦わせても

仕方ないでしょう?」


「大体、ヒメジマ、

アナタ日本での階級は士長

下士官もいいとこじゃない」



「ピノはそれを隠蔽して

無理やりこの世界に連れてきたのよ」


オレはピノを見る。


コイツ、何てことをしてくれてんだ!!!!



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