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21話 背後からの戦場

魔王軍を追い詰める秘策――

ユリシアはそう言い切った。


「しかしな、そんなことが本当にできるのか?

 正直、戦略も戦術も、やつらは圧倒的だぞ」


オレの持つ現代知識をもってしても、魔王は想像を超えてくる。

どんなアドバンテージも通じない強敵だ。


ユリシアは確かに凄い。だが――。


「ふむ、魔王の戦略と戦術の巧みさは認めよう。

 だが所詮は正攻法。同じ土俵で戦う必要はない!」


彼女は胸を張り(ない胸だが)、自信に満ちた笑みを浮かべた。

その姿が、今は妙に頼もしく見える。

初めて会った時は、何だこの女はと思ったものだが。


「で、その秘策ってのは?」


「後方の魔王領で――

 人間の奴隷と、魔族の貴族を一斉に蜂起させる!」


「……はぁ?」


思わず声が裏返った。


「今、魔王軍は大軍を率いて王国を攻めている。

 その間、奴隷を監視する者は当然少なくなる。

 言っただろう? 魔王軍の労働力の大半は人間の奴隷だ」


ユリシアの瞳が鋭く光る。


「奴隷たちが一斉に蜂起したらどうなる?

 魔王は戦争を中断せざるを得なくなる」


なるほど――考えもしなかったが、確かに理にかなっている。


「しかも魔王は、強硬策で魔族を吸収した。

 恨みを抱く貴族も多い。そこに反乱を促す」


「対処しようにも、肝心の魔王は前線だ。

 どうにもならん」



「王国が魔王にやられたことを、そっくり返してやるのさ」



ユリシアが冷ややかに笑った。

呆れるほど頭の切れる奴だ。



「なるほど……だから魔族領に密偵を放っていたわけか」



「その通り」


彼女は迷いなくうなずく。


「勝算はある。――私に任せろ、ザムザ!」


「ああ、わかった。オレはユリシアを信じる」


「やろう、その秘策を!」


ユリシアは普段見せない、人懐っこい笑みをオレに向けた。



魔王軍本陣山中


夜間の木々はざわめいており

大量の軍勢がひしめいているにもかかわらず

大軍らしい喧騒などは一切ない。



夜間だというのに

光は漏れず歩哨は常に交代し

敵に対して付け入る隙を与えなかった。



各指揮所などの重要な部分は

一網打尽にされない様ばらけさせ

全て地下に隠しており

隠密性を重要視している。


徹底した統制が取られていた。



その地下の一室に魔王エルナンデスはいた。


一室といっても大した広さはなく

簡易式の机と椅子、そしてベッドが

置かれた粗末なものだ。



魔王は一人の小柄な半獣のモグラの

ような魔族と対面していた。


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「此度の地潜族の働きも素晴らしいものであった!

これからも頼りにしているぞ、シャォディ」


「そうだ!!褒美をやろう!!何がいい?

今の余なら何でも用意してやれるぞ?」



目の前の地潜族の長であるシャォディは

小柄な身体を横に振りそれを拒否する。


「……ダイジョウブ、マオウサマ、イル

ソレダケデ、イイ」


シャォディ、彼女はニコリと笑った。


「そうか……全く無欲で純朴だな…」


魔王は少しため息をつきながら

笑顔を見せた・



シャォディは魔王に手を振りながら

その場を後にした。



地潜族は魔王の切り札の一つである。


戦闘能力は大してなく

弱肉強食のなか、滅びかけていた種族。


そんな種族に手を差し伸べたのが

魔王だった。


地潜族の地下施設構築能力には目を見張るものであった。


高度な土魔法の技術

自らの身体を使った掘削技能

それらの作業を迅速に行ってくれる。


特に魔王は地潜族の純朴な精神性を深く愛していた。


魔族間の抗争において

常に兵力劣勢を強いられてきた魔王は

地潜族にどれだけ助けられてきたか分からない。


魔王軍の構成にはある一つの指標がある。



ーーー諸兵科連合



各科の専門分野を統合的に高めて

お互いを補いつつ連携を高めていく運用方法。

自衛隊でも使用されているものだ。


魔王はそれをそのまま魔族に当てはめた。


地潜族はその先駆けだと言えた。


魔族が互いの存在を認め合い支え合う事。


部族抗争が絶えなかった魔族に対し

魔王は深い愛情からくる

その願いを胸に、この方針を選んでいた。




((マクシミリア…))


魔王は捕虜になったと聞いた

側近の一人の事を思う。


魔王軍も攻勢は上手くいってはいない。


補給線は守り切ったが


こちらも空挺部隊を潰され

お互いに決め手に欠ける。


消耗戦をするしかない状況。


本来、魔王が一番避けたかった状況に

せざるを得なかった。


とはいえ魔族は個体差で人間よりは強い。


このまま兵力で押し切れば

必ず勝てる状況まで

持ってきていた。



(待っていろよ!!!!

マクシミリア!!!!

余が必ずお前を助けてやる!!!!)



(魔族の子らの未来を守る為にも

この戦いに勝たねばならんのだ!!!)


魔王エルナンデスはそう決意を固くした。


二日目の戦闘が始まろうとしていた。




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