クラーケン
船は穏やかに出発した。
帆は風を受けて、順調にマリーノ王国へと向かって行った。
「なあ、イーシャ」
「なあに、サージュ?」
「いまさらだけど、マリーノ王国ってどんなところなんだろうな?」
「そうね。『海の王国』とか『海の都』とか言われているけど、実際にこの目で見てみないとわからないんじゃない?」
「まあ、そうだな……マリーノ王国か……」
「サージュ、その右腕のアザ」
「ああ、生まれつきらしいんだ、このアザは……このアザも何かの印なのかもしれないが……」
その時、船に振動が走った。
「何だ!?」
「あっ、サージュ……」
サージュはイーシャを抱きしめた。
サージュは素面だった。
イーシャはドキッとした。
巨大な怪物が海の上にその姿を現した。
この怪物は触手を持っていた。
「こいつは、クラーケン!」
サージュは剣を抜いた。
クラーケンはその巨体を船に乗せた。
「きゃああああああああ!?」
「うわああああああああ!?」
「ばけものだああ!?」
「にげろおおお!?」
人々は逃げ惑った。
「イーシャ! おまえは雷の魔法でこいつを攻撃してくれ! 俺はまず、こいつの触手を片づける!」
「わかったわ!」
「行くぞ! 聖光剣!」
サージュは聖なる魔力を剣に注いだ。
サージュの攻撃はクラーケンの触手を切断した。
クラーケンが触手でサージュを攻撃してきた。
クラーケンは触手を叩きつけるつもりだ。
「聖光斬!」
サージュは聖なる斬撃でクラーケンの触手を斬り飛ばした。
「サージュ、下がって! 雷電よ!」
雷電がクラーケンの頭上からクラーケンに直撃する。
「ギジイイイイイイイ!?」
水が雷電を通して、クラーケンの全身にダメージを与える。
「まだまだ、行くわよ! 電光線!」
雷電が直線状に放たれた。
クラーケンの頭に直撃する。
水で濡れていることによって、クラーケンは通常以上のダメージを受けていた。
「グギイイイイイイ!?」
「いいぞ、イーシャの雷が効いているな! 俺も負けていられない!」
サージュは船の上に乗り上げていた触手を聖光剣で切断して回った。
クラーケンの触手はサージュによってすべて切断された。
再び雷電がクラーケンの頭上に落ちる。
「ギジャアアアアアア!?」
クラーケンの全身が硬直した。
「今だ! 聖光突!」
サージュは聖なる光の突きを放った。
聖剣が深々とクラーケンの目に突き刺さる。
剣はクラーケンの脳にまで達していた。
「これで決めるわ! 雷光破!」
雷の衝撃が大きく広がる。
「ギイイイイイイイイ!?」
クラーケンは海に叩き落された。
「やったな、イーシャ!」
「サージュがクラーケンを抑えてくれたからよ」
かくしてアクシデントは一掃された。