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豆腐と肉には豊富なタンパク質が含まれている

「ところで、お前好きな食べ物とかあんの?」

 妹様だけじゃなくて幽霊少女の分も今日は作らなければいけない。

「とくに」

「へぇ好き嫌いはないのか」

「とうふ」

 あ、特に豆腐が好きなのね。確か冷蔵庫にあったはずだな。

「豆腐ね。朝飯だから味噌汁にでも入れるか」

 ウンウンと二回頷く少女。喜んでいるのだろうか?

「こーいち」

「ん? まだ何か好きな食べ物でもあるのか?」

 欲しがりな神様だな、と思ったら少女は首を振っている。違うようだ。

「ましろって、よべ」

「急に命令系!?」

 え、どうした? 

「あっそうだ! 名前と言えば! 昨日の夜ってお前起きてたのか?」

「ましろ」

 お前の質問なぞどうでもいい、と言わんばかりの返答。

 変わらない表情に変わらない口調なのに強い圧力を感じる……。

「えっと真白さんは、昨日……」

「ましろ」

『さん』でも不満のようだ。

「真白ちゃん?」

「……ましろ」

 少し間があったな。ちょっと迷ったか?

「真白様」

「ましろ」

 迷う間がない。嫌なようだ。

「マーシー」

「……だれ?」

 自分のあだ名だと分からないのか。

「よんで」

 命令ではなくなった。依然として偉そうではあるが。

 勝手につけられた名前に、そんな愛着が湧いたのだろうか?

「分かったよ真白」

 それでいいんだ、と言うように首を縦に大きく振った。

「で? 結局、昨日の夜は起きてたのか?」

 真白は首を傾げている。いや、何故とぼける? 

 名前を付けてから俺は一度も真白と呼んでいない。

 起きていないのなら付けられた名前を知っているのはおかしいだろ?

 なんて疑問に思っていたら、再びドア勢いよく開く。

「兄ちゃーん! 弁当! 今日、弁当もいるから頼むぜ!」

 再びけたたましく鳴る楽の声。俺の妹はスヌーズ機能も備えているらしい。

「ん、オーケー」

 まぁ細かい事を気にしても仕方ない。

 この幽霊少女、真白が何を考えているなんて分からないし。

「お前も行くぞ」

 真白は小さく頷いて後をついてくる。ん? お前と呼んでも普通に反応したな。

 別に呼ぶ時、全部を名前で呼べと言っているのではないみたいだ。

「なぁ兄ちゃん。今日の朝飯なに? ステーキ?」

「朝からそんな重いもん食えるか。まぁ、とりあえず豆腐の味噌汁だけは決まってる」

「な、なんで汁物からなんだぜ? 普通メインからじゃ?」

 何か似たような事をさっき考えていたような。

「いや、真白が豆腐好きなんだってさ」

 後を振り向くと真白はピースをしている。

 無表情だけど意外と感情豊かな奴なのだろうか?

「へぇ豆腐が好きなのか! まぁアタシはやっぱり肉だけどなぁ! タンパク質は筋肉にもなるからな!」

 流石バカでもアスリート。タンパク質が筋肉になる事は知っているらしい。

「真白さんも豆腐なんか食ってるから、そんなに細くて弱々しくなるんだぜ?」

 流石アスリートでもバカ。豆腐にタンパク質が豊富に含まれているのは知らないらしい。

 まぁ真白が楽に比べて子柄で、華奢なのは確かだが。

「うるさい、ばか」

「ば、バカだと!?」

 驚くな。バカだ、お前は。

 というか真白が言い返している事に驚きだ。弱々しいって言われたの怒っているのか?

「とうふを、なめるな」

 そっちか。少しキレるくらい好きなのね……。

「真白さんこそ肉をなめ過ぎだぜ? なにせ肉は―旨いんだぜ!」

 想像を絶する浅さである。

 俺も食事なんて健康面を考えなかったらそれが全てだとは思うが。

「ステーキじゃないけどソーセージくらい焼いてやるから、変な事で張り合うんじゃねえ」

「え、マジ!? ヤッタぜ!」

 ガッツポーズを決めている。

「じゃあ、出来るまで二人で待ってろ」

 二人をリビングに残して台所に向かう。

 準備しながら二人の様子を覗うと楽がずっと喋り、たまに真白が一言返す感じだ。

 何だかもう一人妹が増えたよう……いや、これ以上手のかかる妹はいらないか……。

「ふふーん」

 なんて思う反面、鼻歌交じりに朝飯を作ってしまうところを見ると、ほんの少しくらいは嬉しく感じているのかもしれない。

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