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想造世界(イマジンワールド)  作者: あらんじょー


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第41話 役立たずの空に雨が降る

僕はなんとかやつらから隠れた。


 やつらから逃げる時に一瞬だけ窓をみた


 ここは奴らの宇宙船だった。


 上も右も左も夜空しかない。


 そしてしたには真っ青な海に緑の地。


 もう僕は二度と帰ることができないと分かった。


 それならせめて知りたい。


 なぜ僕達は殺されなければいけなかったのかをせめて


                 少年の日記




「…どっ、どうしよう…。」


 焼け残った跡に立っていたセイブルは気まずそうにロイターを見た。


「気にするな。これはほぼ事故だということにしておこう。」


「そこで何をしている。」


 後から冷たい雰囲気の女性の声がした。


 振り返ると軍服を来た女性がいた。


 同じ軍服を着たゴンリとは大きく違い顔立ちは力強く、服装は宝石や金と豪華な装飾品をした出で立ちで荘厳華麗とは彼女のためにあると感じられた。


「─っ!ロイター。貴方なのですか?」


「クララか!」


 クララと呼ばれた軍服の女性の顔や声はあまり感じられなかったがいくらか彼女の緊張が解けたと感じられた。

 その雰囲気を感じ他の一同も肩の力が抜ける。


「今はヨハネ楽団の少将だったか?」


「ええ、貴方がいなかったらこの地位に立つことはできませんでした。全て貴方のおかげです。」


「確かに吾輩は楽団に紹介はしたがその後の地位は全て君の実力だ。何も感謝されることはしていない。」


「それで?もう少しで出来るのか?」


「ええ、金も同胞も土地の目処も運営するノウハウも出来た後は彼に伝えるだけです。」


「よかったな」


「えええええぇええあえええええ!!!ヨ、ヨヨヨハネ楽団ってあの国境なき自警団んのあのヨハネ楽団でありますかああああ!!!???」


 2人の会話にゴンリが見たことのない取り乱し方をした。 

「ヨハネ楽団とは?」


「はい!ヨハネ楽団は国籍、人種、年齢、性別問わず実力さえあれば誰でも入隊できる自警団であります。普段は自警団として戦争を未然に防ぎ戦争が始まったら傭兵として参加し早々に終わらせる終戦屋として──」


「それがどうしてこんな所に。」


 興奮しているゴンリをイヅミは遮る。


「不可解な電波をこちらで掴んだので調査としてやってきました。目標の位置で巨大な爆発が起こりここをみつけたといったところです。ここで何があったのですか?」

「それが─」


 イヅミ達はこれまでの経緯をクララに説明した。

「なるほど事情は分かりました。それと先ほど月光街でも星人が襲撃を行なっていたそうです。それと合わせて詳しい事情を聞かせていただいてもよろしいでしょうか?」

「それなら無傷な吾輩が行くとしよう。貴公らは帰って傷を癒やしてくれたまえ。」


 そう言ってロイターとセイブルはクララとともに去っていく。



2人は部屋に戻るリオは部屋を開けているようだった。


 部屋には2人いるのだが誰もいないかのように静寂に包まれていた。


「少し出ていく。」


 シブキは緊張に耐えられずか歩き出した。


 イヅミは追わず何も言わずただ静かに見送った。


 少し傾いた太陽を背にただただ不安定な足取りでシブキは意味も目的もなく歩く。 


 歩く。歩く。歩く。


 なにもないところで転げそうになる。


 平面にも関わらず今のシブキには全ての地面がゴムの床のように感じてバランスが掴めなかった。


 今のシブキにはただの空気が毒ガスのように息苦しい。


 今の季節はまだ夏なのにシブキには冬の北国のように寒く震えが止まらない。


 


走った。走った。

 何度も倒れそうになりながら走った。

(役立たず役立たず役立たず役立たず役立たず役立たず役立たず役立たず役立たず役立たず役立たず役立たず役立たず)


 シブキの頭はその言葉で埋め尽くされていた。


(ここにきてオレはオレ一人の力で誰を守れた!!一番初めのトルボのときか?倒せてねぇじゃねえか役立たず!!会社の襲撃のときか?目立った活躍してねぇよ役立たず!!雪山のときか?全部見誤って心臓潰されたじゃねえか役立たず!!)


「ここに来たときだけじゃねぇだろ!!オレ…は、おじさんも、あいつも、助けてくれたお兄さんも、全部…が、ボクが殺したようなもんだったじゃねえか!!」


 靴が脱げる電柱や壁に何度もぶつかり手足は血だらけだった。

 しかしシブキはその痛みに気づくことが出来ない。心の痛みが身体の痛みを上回っていたからだ。


「ああ…あああああああああああああああああああああ!!

あああああああああああああああああああああああああ!!」

 叫んだ。

どうすることも出来ない絶望がただシブキの身体的な痛みを誤魔化す。

 気がついたら雨が降っていた。

 その雨が冷静にさせたのかシブキは辺りを見渡す。

 遠くへ行ったと思ったが途中で一周したのかそれほど時間がかからずに月桜城に戻っていた。


「うっ!」


 扉を開けようとした時自分の足の状態に改めて自覚したのか急に痛みが走り転ぶ。


「はぁ。クソ!」

 その時シブキは後に気配を感じ振り返る。

 そこには傘をしたツキミがいた。





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