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【20話完結保証】冷徹な不倫夫にすべてを奪われた研究者の私が、16年前の小さな優しさに救われ、世界一愛されるまで。  作者: 杜英智


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第1話 夫は愛人を連れて帰ってきた

読みに来てくださってありがとうございます。


少しでも楽しんでいただけたら嬉しいです。


それでは本編をどうぞ。

第1話 夫は愛人を連れて帰ってきた


「本日は、旦那様がお戻りになります」


使用人の佐伯がそう告げた瞬間、菫の手が止まった。


「本当ですか?」


思わず聞き返してしまう。


佐伯は少しだけ困ったような顔をした。


「はい」


それだけだった。


期待してはいけない。


何度もそう思った。


それでも胸が高鳴るのを止められない。


夫の九条恭弥がこの屋敷に帰ってくる。


それは数か月に一度しかない出来事だった。


菫は急いでエプロンを整えた。


料理はすでに完成している。


恭弥の好物ばかり並べた。


結婚してから何年も経つのに、恭弥が食べてくれたことはほとんどない。


それでも作り続けていた。


いつか食べてくれるかもしれない。


そんな期待を捨てられなかったからだ。


「ママ?」


幼い娘の陽菜が不思議そうに見上げてくる。


「パパ帰ってくるの?」


「ええ」


菫は笑顔を作った。


「今日は帰ってくるみたいよ」


陽菜は嬉しそうに笑った。


その笑顔だけが救いだった。


夫から愛されなくても。


この子だけは愛してくれる。


そう思っていた。


やがて玄関の方が騒がしくなった。


帰ってきたのだ。


菫は陽菜の手を引いて玄関へ向かった。


恭弥は国内有数の財閥、九条グループの次期当主だ。


そして私の夫。


私たちの結婚は両家が決めた政略結婚だった。


九条グループが喉から手が出るほど欲しがった私の研究者としての才能と、実家の後ろ盾。

それらと引き換えの、冷え切った政略結婚。


けれど、私に不満はなかった。


私は幼い頃から恭弥を愛していたから。


結婚が決まった時は夢のようだった。


やっと大好きな人の妻になれるのだと。


だけど。


恭弥は違った。


彼には愛する女性がいた。


だから最初から、この結婚を望んではいなかった。


結婚して五年。


夫婦らしい時間を過ごした記憶はほとんどない。


帰宅するのは数か月に一度。


話しかけても冷たい返事しか返ってこない。


それでも私は諦められなかった。


いつか振り向いてくれるかもしれない。


そんな希望だけを抱いて生きていた。


そして。


その希望は、今日もまた打ち砕かれることになる。


玄関ホールへ足を踏み入れた瞬間、私は立ち止まった。


恭弥の隣に、一人の女性が立っていたからだ。

ここまでお読みいただき、ありがとうございます!


本作は毎日12時30分に1話ずつ更新予定です。


また、第5話・第10話・第15話・第20話ではイラストを掲載予定です!

ぜひお楽しみに!


「続きが気になる!」と思っていただけましたら、

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次回もよろしくお願いいたします。

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