第二話 婚約者と顔合わせしました!?
ステラ・フィア・ラクンドラ
『魔導書が紡ぐ恋物語』という
ド○クエと乙女ゲームを足したようなゲームに登場する優しすぎる悪役令嬢である。
優しすぎるのに悪役令嬢とはなぜに?となる人が多いが
その訳は大きく分けて二つ
一つは公式が設定ミスった?と疑うレベルで強い裏ボス。
完全ローテーション行動とはいえ
挫折する人が多いのだ。
二つ目はゲームではNPCや攻略対象等から頼み事とされるクエストが出てそれをクリアすると報酬が貰えるといったイベントがあるのだが
彼女が出すクエストの難易度がまたおかしいのだ。
物語の最初の主人公レベルは1であり
他のNPCから出されるクエストは
レベル1で難なくクリアできる。
モンスター討伐のクエストもあるが
自然とレベルも上がり苦労するとは程遠い。
だがステラから出されるクエストの難易度は
レベル1~3程度の主人公には倒せない
レベル15辺りでようやくクリアできる
クエストを物語の最初に出してくるのだ。
悪役令嬢だから報酬の内容は弱いのかと思うと
真逆でものすごく美味しい報酬なのだ
その報酬はなんと主人公の最強装備になる物で
主人公が装備できる
剣・上下の服・指輪・イヤリング・ブーツ
でありその中から選ばせてくれる
選ばなかった装備はまた少ししたら出される
クエストの報酬で貰えるのだが
また高難易度なのだ…
そんな事もあり悪役ではないのに
悪役令嬢等と呼ばれている
ラクンドラ邸
四種類の本と薬草で埋まった一室で
少女が鏡を見ながら自分の顔を弄っていた。
「幼さが見えますが…何度見てもステラですのね」
そうステラに転生した星宮である。
「…五年もステラを演じてしまったからかしら…口調も完全に馴染んでしまったのね」
ステラに転生して五年
元演劇部部長の演技力でステラを完璧に演じてきたのか口調が完全に移ってしまった。
逆に今度は前の口調をやるときは
平民の女の子を演じることになってしまう。
「…なぜですの!!?
なぜよりによってステラに
転生してしまいましたの!!??
推しではありますが推しに転生したいのとは
全くの別ですのよ!!」
たまにステラは自分の部屋で嘆く事があるが
本人が防音魔法を部屋全体に書けているので
誰かがこの部屋に隠れていない限り
ステラの両親やメイド執事達には怪しまれないのだ。
「ぜぇ…はぁ…ぜぇ…はぁ…お、落ち着きましたわ…そろそろ魔法の訓練のお時間でしたね
準備をしませんと」
部屋にかかっていた防音魔法を解除し
部屋を出るとステラの側付きメイド
イニスが部屋の前で待っていた。
イニスは薄茶色のロングヘアーをした
平民の女性であり平民では珍しく
火属性の魔法を得意とした異才である。
この世界は主に全ての国民全員が
一つの魔力を持っており
17歳になると全国民に魔導書が渡される。
魔力の強い順に王族、貴族、平民だ。
そして強い順とは別に魔導書の表紙に星が現れる。
その基準は本人の魔力の量や技量で決まり
平民の星の数は一つ…多くても二つであり
ステラのような貴族や王族は
星が最低三つ現れ最大で五つ現れる
イニスは平民では珍しく星が三つ現れており
平民の中では頭一つ抜けているのだ。
「お嬢様本日は…」
「魔法の訓練、その後剣術の訓練でしたわね
わかっていますわ」
「いえ…本日は訓練をお休みしなさいと
奥様と旦那様から言伝てを預かっております
そして部屋から出てきたら私達の元に来て欲しいとも」
「お母様とお父様から…?」
「はい、こちらでお待ちです」
何についてだろうかと悩むステラ
本物に遠いとはいえ数種類の魔法薬的な物を作った事だろうか
はたまた二人やメイド、執事達に隠れて
材料を拝借しお菓子を作った事だろうかと
心当たりがあるが悩んでいても仕方ない
早々に二人が待つ部屋に向かう。
二人が待つ部屋の前に来て
部屋を三回ノックする。
「どうぞ」
ステラの母ウェリサが答える
扉を開けると同時に
男性がステラに飛び付いてくる…が
「ヘブハッ!」
ウェリサが一歩早く拳を落とし沈める。
「お母様、お父様お待たせしました」
「待っていないので問題ないです」
「ウェリサ…!酷いじゃないか!愛娘に抱きつこうとしてたのに!」
飛び付いて来たのはステラの父サックであり
親バカ過ぎてたまにうざったくなるのだが
大概ウェリサが一緒の時には
抱きつく前にウェリサが脳天に一撃入れて
サックを沈め大人しくさせる。
「サック…貴方は少し大人になりなさい
今年で26でしょう…?
ステラを見習いなさい5歳というのに
既に成人済みの大人しさがありますよ」
前世含め22になるのだ大人しくもなります
と心の中で呟くステラ。
「流石ウェリサに似ただけあるな!」
「坊や私の年齢知ってますか?」
「658歳でも相変わらず綺麗で可愛いぞ!!」
「余計なお世話!そして正解!!」
少し顔を赤らめながら
今度はかなり強めに拳を落とし沈め
威力が強かったのか気絶するサック。
「まったく…」
服を直しながら椅子に座るウェリサ
見た目こそ人間の20代前半だが異種族なので
年齢は三桁に行っている。
「えっと…」
イチャイチャしないでくださいと心で呟く。
「そうだ!ステラ三日後客人が来るので
身だしなみをしっかり整えておくこと
とても大切な方が来るので粗相のないように
…って言っても貴女なら問題無かったわね」
「はい、わかりましたわお母様」
「サックは地下室に監禁しておくので安心して大丈夫です」
「ウェリサ流石にそこまでしなくてもいいだろう」
目覚めたサックが間髪入れずに突っ込む。
「目覚めるのが速いのね…まぁ流石にお客人相手に粗相はしない……ですよね…?」
「え…まって僕って信用ない?」
「三日後なら今日はなぜ休んだ方がいいと…?」
「ねぇまって僕ってそんなに信用ない…?」
「貴女ほっとくと訓練の時以外
魔法薬の調合ばっかりじゃない…
たまには小説を読んだりお菓子を作ったり
ゆっくりなさい」
「わかりました」
ステラの得意分野かつ趣味だからやってると落ち着くんですよね…それよりお菓子作ってたことバレてますのね…とまた心で呟く。
三日後
家の前でサック、ウェリサ、ステラ、使用人達で来客を待っている。
「もうすぐ来るハズですね」
「道中で襲われてないといいが…」
「(大事な客人……心当たりがあるとすれば
この国ガルテン王国国王
ミルド国王陛下の子供の一人
ステラの婚約者であり第二王子でもある
プロメリア・フィアルド・ガルテン殿下ですね)
お母様、お父様、お客人ってもしかして
ミルド・フィアルド・ガルテン国王陛下のお子さんプロメリア・フィアルド・ガルテン殿下ですか?」
「流石ね正解です」
「そしてステラの婚約者になるお方だよ」
「(やはりですか…しかしショタプロメリアくん
いったいどんな可愛い子が来るのでしょうか
ゲーム内に登場する17歳になっている彼は
かなり好青年といったイケメンでした
回りからの期待が高く甘えられる人が
ほぼいなかったのですがゲーム内では
主人公とステラにだけは甘えていましたね)
楽しみです…一度お会いしてみたかったので
…しかし本来であればこちらから出向いた方がよかったのではないですか?」
「本来であればそうよ
けれど国王陛下がこちらから伺いますと仰られましたので…おそらくプロメリア殿下の
弟君ウォルト殿下が体調を崩されて貴女に移らないようにしたのかもしれないですね…っと馬車が見えてきましたね」
白色でかなり豪華な馬車が馬に引かれ
走ってくるのが遠目に見える。
少し待っていると馬車がステラ達の前で止まる
扉が開いて執事服を着て
腰に剣を下げた茶髪の女性と金髪の少年が出てくる
その後に二人の執事が出てくる
「お待たせして申し訳ございません
私はプロメリア殿下の側付き兼護衛のフロウです
そしてこちらのお方が
プロメリア・フィアルド・ガルテン殿下になります」
「よろしくお願いいたします僕が
プロメリア・フィアルド・ガルテンです」
「ようこそいらっしゃいました
私はサック・フィア・ラクンドラです
こちらは妻の…」
「ごきげんようプロメリア殿下、フロウ様
サック・フィア・ラクンドラの妻
ウェリサ・フィア・ラクンドラです
そして私達の娘の…」
「ごきげんようプロメリア殿下、フロウ様
ステラ・フィア・ラクンドラです
よろしくお願いいたします殿下」
プロメリアがステラをジーッと見つめる
「…な、何か粗相がありましたでしょうか?」
「君が僕の婚約者になるんだな」
「は、はい…」
「風の噂でステラ…君は剣術をやっていると聞いた」
「はい…剣術以外にも近接武術や最近は弓や銃の訓練を…」
「殿下は剣術を得意としていて
剣術の名家であるローズ家の現当主のお墨付きなんです」
フロウが口を挟んでステラに伝える
「ローズ家のお墨付き!それはすごいですね!
私はローズ家の剣術を学んでいたイニスから教わった物にオリジナルも入っているので
あまり綺麗…とは言えませんが…」
「ステラは謙遜ですね
ローズ家の剣術に匹敵するくらい綺麗ですよ」
同じくウェリサが口を挟む
「ふふ…ありがとうございますお母様」
「さ、こんなところではなく
そろそろ家の中にどうぞ
ステラもプロメリア殿下とゆっくり話をするといい」
「はい、お父様」
サックが家に案内をし
プロメリアと使用人達、ステラ達も移動する
「ステラ・フィア・ラクンドラ!」
「はい、殿下…どうなさいましたか?」
移動してるときにプロメリアが大声を上げる
それにステラが反応して問いかける
「殿下?」
フロウも少し驚く
サックやウェリサ、使用人達も?が浮かぶ
「この私プロメリア・フィアルド・ガルテンは
ステラ・フィア・ラクンドラに決闘を申し込む!!」
フロウと二人の執事が顔を真っ青にする
「…は…?」
サックもかなり驚く
「あらあら…」
ウェリサも少し驚きの表情が見れる
「えっと…殿下…?私が何か殿下の気に触るようなことをしてしまいましたでしょうか?」
「違う!私個人が気になったんだ
もし仮に僕が負けるような事があっても
今回の婚約関係は無効にしない」
「で、殿下!なんと言うことを…!」
フロウがかなり小声で慌てる
それもその筈、プロメリアは
「もし仮に僕が負けるような」と言った
これはステラが「勝った」場合の話であり
あり得ない話になるが
ステラが「負けて」しまった場合
またあり得ない話になるが
ステラが負けた事でプロメリアと
婚約破棄なんてしようものなら
プロメリアは王位継承権を破棄したも同然になる
別の貴族とまた婚約関係は築く事はほぼ不可能
貴族間の噂は速く広がる
プロメリアが勝ちステラが負けて
婚約破棄なんて事になり
別の貴族と婚約関係を築こうものなら
プロメリア殿下は節操なしという
風評被害が出てしまう
「ふふ…承りました殿下…いえ
プロメリア・フィアルド・ガルテン様
私ステラ・フィア・ラクンドラは
殿下との決闘の申し込み
確かに受け取りました」
「ステラ!?」
サックも慌てる
それもその筈
そもそもプロメリアがステラに
決闘を申し込んだ事自体が
ラクンドラ家にとってもガルテン王家にとっても
かなり問題がある
殿下の機嫌を損ねるような名家なのかと
そして殿下との決闘これは
勝っても負けてもまた問題が起こる
勝ってしまった場合
「殿下に花を持たせる事ができない家の娘」
負けてしまった場合
「殿下の機嫌を損ねただけでなく無様な姿をさらしてしまった家の娘」
これでステラが負けてしまった場合別の貴族と
婚約関係は結べるのかとなるがまた少し厳しくなる
「では互いに準備が出来たら
隣の訓練場で決闘をしましょう」
ウェリサがステラとプロメリアの間に割り込む
「ルールはシンプル木剣と木剣と3本勝負
魔法は禁止で使ったら即失格です
武器は公平にこちらで用意いたしますが
よろしかったでしょうか?」
「はい、わかりました」
「ああ、それでかまわない」
二人が準備を初める
互いに勝っても負けても問題が起きてしまう
この決闘にフロウとサックがお腹を抱え悶える
はい、第二話です
次回はプロメリアとステラの決闘です
じゃあキャラ紹介です
今回は使用人二人イニスとフロウです
ではどうぞ
イニス・イージス(20)
ステラの側付きのメイド
身長 160センチ
体重 55キロ
魔法属性 火 星三つ
ラクンドラ家に使えている平民の女の子
平民の中では頭一つ抜けて魔法が強い
ラクンドラ家に使えているのは
昔路頭に迷ってた時に
ウェリサに拾われた事があり
その時からずっと使えている
武器は扱えず主に魔法を使って戦う
フロウ・エーテリス (21)
身長 159センチ
体重 56キロ
魔法属性 風 星二つ
商人の家の三女に生まれ割と自由に生きている
商人の家で生まれお金に困ってはいないが
給金のいい王家の使用人として働いている




