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第二十六話 古の悪魔


「うん? あれ……ここは、確か……」



 見覚えのある場所……いや、部屋だ。



「また会えたねアスト。じゃあやっぱり貴方がそうだったんだね」


「……そうだった?」


「うふふ」



 まだ記憶に新しい。意識体になった時に、僕はここに来た。

 確かミズクロを食べて、みんなに凄く喜ばれて……それで眠くなって寝たんだよな。

 あれ? その後はどうなった?



「この前と同じ、意識体だけここに来てるんだよ。でもすぐにまた戻れるから安心して」


「何でここに来たんだろ。僕には今やるべき事があって」


「そうだね。やるべき事やらないとね」


「…………君は、もしかしたらゼクトリアース物語に登場する〝あの女神〟なのかい?」



 ゼクトリアース物語には、勇者ゼクトリアースを天から遣わし、神剣を授ける女神が登場する。ユシアと言う名前は作中には出てこないけど。

 僕の問いかけには一切答えず、ただ優しく微笑んでくれる。

 とても心地良く幸せな気持ちになってくる。



「さあ、アスト。もうすぐ目覚めるよ。次はいつ会えるかな? うふふ」



 話が終わった丁度そのタイミングで、景色が真っ白になっていく。ユシアは最後までニコニコと微笑んでた。

 ん? 微かに何か声が聞こえて来る。

 誰の声? ユシアの声じゃない。別の……。



「……ス……ます……っ!?」



 声が聞こえる。誰かの声。何処から? 周りは真っ白で何も見えないんだ。



「アスト!! どうしたのですか!?」



 今度はハッキリと聞こえた。 ネファーリアの声なんだけど姿が見えない。と思ったのも束の間、真っ白の景色が一変した。

 黒みがかった夕焼けの空。その景色は僕が、いや……人間が想像している〝魔界〟そのものだった。

 時々、ゴロゴロと言う空から雷鳴のようなものが聞こえる。

 ここは過去の魔界か。視界にネファーリアが入って来ると要約、記憶を取り戻した。


 そうだ、確か……。


 ネファーリアがゲートを開こうとした時〝ゲートの性質〟を思い出したんだよな。


 何処へ通じてるか分からないし、魔界の何処かに繋がるのは分かってるけど何処につながるんだろうって、独り言みたいに口にした。


 すると、ゲートの使い方が間違ってるってレインベル経由でセレスティア様が言ったんだよな。


 ネファーリアやリラぐらいの魔力レベルを持ってるなら間違いなくゲートをコントロールする事が出来るって事で試してみたら、ネファーリアの領域ミリエティリスへとやって来たんだ。

 それで僕の意識は急にユシアの所に飛ばされたみたい。



「ここはわたくしの領域、ミリエティリスで間違いないと思います。しかしこの景色は……恐らく魔界神話時代の魔界であると思われます」


「魔界神話時代……?」


「うん。〝地獄〟って呼ばれてた時代の魔界だな。戦獣族にも伝説としてあるぜ。昔は地獄って呼ばれてて支配領域なんてなくてさ、めちゃくちゃだったって」


「アストさん! 空から何か来ます!」



 そう言ってレインベルが僕の前にスッと立って空の一点を見据える。

 分かってる。まだ姿は確認出来ないけど、巨大な魔力が二つもの凄い速さでこっちに向かって来てる。


 暫くすると、大きな翼を羽ばたかせながら、スピードに乗って急降下する魔族らしき者がニ体、視界に捉えた。



 ズドォォォーン!!!



 ド派手に砂埃を撒き散らせながら、現れた黒い怪物。

 大きい翼に、太く棘だらけの尻尾、赤く光る目が特徴的な魔族。



「ま、まさ……か。ガーゴイル……」


「魔界神話に出て来る悪魔だ……。やべぇ……マジでビビってるぜあたし……はは」


「おい! キサマら誰の許しを得てここにいるんだぁ? 奴隷ども!」



 しゃがれた低い声で威嚇するように吠える。

 友好的な魔族じゃなさそうだ。奴隷? どう言う意味だろ。



「おい、臭っせえ人間もいるじゃねーか! おいキサマ! どうやって地獄へ来た!?」


「ゲートを使ってさ」


「あぁ!? げえとぉ? 訳の分からん事を言いやがってよぉ!」


「おい、丁度いいじゃねぇか。見たとこ〝印〟もねえし、こいつら俺達の奴隷にしちまおうぜ!」



 もう一体の魔族が舌なめずりをしながら、ガシッと両手を合わせる。



「来るぞ! みんな準備はいいか? 僕が指示を出す!」



 導師の力を極力使わないようにしなくちゃいけない。

 竜族の魂をこれ以上減らす訳にはいかないんだ。

 

 ネファーリアには分析士と雷神術士、レインベルには魔法剣士を、そしてリラには次元術士を与えた。

 一応シードを与えると言う行動も、導師の能力の一つだけど、魔力をほとんど使わないから竜族の魂への影響はなさそうだ。


 リラに関しては今回初めてシードを与えるんだけど、戦獣祭の時期はまだ魔力が封印されてたし、呪いが解けてからは魔力に慣れてなかったしな。


 僕のシードでリラをさらに強化出来る事は、このパーティーのレベルが格段に上がる事を意味する。



「キッシェェイ!!!」


「ホォォォォウ!!」


「リラは左、レインベルは右で頼む! ネファーリアは遠距離から分析しながら、魔術で二人をサポート。霊神術はまだ撃たなくていい」



 三人は頷いてパッと三方向に散って行った。

 空から急降下して来た時に感じた事だけど、ガーゴイルはスピードがとてつもなく速い。

 霊神術のような詠唱が長い術は、タイミングを見て使わないと簡単に回避されるだろうからな。


 ん? 何だかネファーリアとリラの動きが鈍い。

 考えながら戦ってるみたいな……何か気になる事でもあるのか?

 レインベルを相手にしていたガーゴイルの一体が急にネファーリアの方に飛んで行く。スピードは速いが彼女達に捉えられない事はない。ちゃんと集中して意識すれば接近されても対応出来るはず。



「ネファーリア! どうしたんだ!?」


「あぁ……ぁ」


「ネファーリア!? 避けるんだ!!」


「アス」


「こっちじゃない!! 後ろだ!!」


「エッシャアァァ!!」



 バキィィィ!! 



「きゃあぁぁ!?」



 空中を飛んでたネファーリアの背後に現れ、地面に叩き落とされてしまった。

 何だ? 何で避けなかったんだ? 君なら十分対応出来たはずだ。



 ドガァァァン!!



「うあぁぁぁ!?」



 リラも? 二人共どうしたんだ……?

 

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