第二十五話 三姉妹ミーティング
次元術を使えばゲートを使わずに、簡単に魔界に行く事が出来る。
だから僕は、次元術でリラが住んでた領域と空間を繋げようとしたんだけどレインベルから待ったがかけられた。
「セレスティア様が言うには、竜族の魂が消滅しているのは導師の力が関係してるそうです」
「導師が?」
魂が削られる時は、導師の力を使ってる時だった。
この時代に来て何回か戦闘したけど、オーバードライブを使ったのは今回が初めてだった。
導師の力を使い過ぎると竜族の魂が削られていくんだな。
魂の安全が確保されるまでは、戦闘は控えよう。
「となると、やはりゲートを使って魔界へ渡りましょう。魔界へのゲートはわたくしか、リラティナスさんが開けますので」
「うん。この近くに魔素が溜まりやすい所はないかな?」
ゲートを開くには多くの魔素が必要で、だから魔素が密集してる所を探せばいいんだけど。
ラムリースにはそんな場所は見当たらなかった。
ただ僕は直ぐに有力候補を見つけ出す。
「そうだ! エスハイムだよ! 一番最初に魔界へ行ったあの森だ!」
「はい! 覚えてます! メアを追跡したあの森ですね!」
「……な〜んかつまんねぇーな」
「分かるよリラティナス。あたしも全く同じ事思ってる……」
リラとレインベルが二人でブツブツ話してるけど、何がつまんないんだろう。
でも今は先にエスハイムのあの森へ急ごう。
導師の力が使えないから徒歩で向かわないとな。
ここからエスハイムのトリークまでは、大体十日くらい。
トリークは前にシャドウ討伐の件でお世話になった街。
この時代に街が存在するかは分からないけど、まずはここを目指して、トリークから南下して行くと確か〝あの森〟に辿り着くはず。
◆
エスハイム領に入り、トリークへやって来たけど街はなかった。そのまま通り過ぎて南へ向かう。
それから六日が過ぎ今日で七日目。明日一日で森まで行けるな。
道中、何度も魔物に遭遇したけど、三人が対応してくれた。サイクロプスみたいなレベルの高い魔物はいなかったし、仮にいたとしても三人なら問題ないだろう。
「今日はここで野宿しよう」
「待ってたぜ先生♪ 今日は何作ってくれるんだぁ?」
ラムリースからここへ来るまで、街や村に寄る事なく直行して来たから毎日野宿だったんだけど、晩御飯は僕が担当してたんだ。
何となくだけど、みんなに料理を振る舞いたかった。
現地調達で食材は満足出来るものじゃなかったけど、みんな美味しいって言ってくれたんだよな。
それで調子に乗って毎日料理を作るようになったんだ。
「ふむ。妾も旦那様の手料理が食べたいぞえ」
「も〜ばぁちゃん、まーた出て来た……いい加減姉ちゃんにも代わってやれよ。先生の手料理ってなるとすぐばぁちゃんが出てくるんだからぁ……」
「なあに、それなら心配いらん。レインベルにも了承済み……な、なんじゃ……一日の内ほとんど支配しとるのはお主なんじゃ! この時ぐらい良いじゃろ!」
「アスト、わたくしにも何かお手伝い出来る事ありますか?」
「あぁ大丈夫、ありがとうネファーリア」
「あ……は、はい」
ん? な、なんで顔が真っ赤になってるんだろ。
まいっか。早く食材見つけて来ないとな。
「じゃあ、食材集めて来るよ」
彼女達から離れて、食材を探しに近くの川へと向かう。
確か前にエスハイムに来た時に、川にミズクロが泳いでたの見たんだよな。
ミズクロって焼いても美味しいし、唐揚げにしても美味しいし、生でもいけるし、だからみんなに食べさせてあげたいなって思って、毎日川へ釣りに来るんだけど中々釣れないんだよな。
今日はまだ日も高いし、頑張ってみようかな。
◆
-Liratinas side-
あたしはリラティナス。魔界で二番目に大きな支配力を持つ戦獣族って言う魔族だ。
そんで先生のメルトナの一人♪ あー早く帰ってこねえかなー先生……⭐︎
ネファーリアは魔王の娘でお嬢様育ちだし、あんなかったい喋り方で、なんかやっぱお姉さんって感じ。
レインベルやティアばぁちゃんは竜族で、リア姉よりもさらに大人っぽいから長女。
普段はほんと三姉妹って感じで仲良しだし、戦闘じゃ連携もバッチリ決まるけど、先生の話になったら敵になるんだ。
あたしの先生なのに、リア姉もベル姉もティアばぁちゃんもみーんな譲らねぇし……。
「べ、別にポイントを稼ぐなんて考えていません!」
プイッと腕を組んであたしにそう言う。
「この前も言ったけどさ〜! 先生はあたしのなんだよ! 姉ちゃん達はただのおまけ、ついでなの! 分かった?」
「つ、ついで……!?」
「リラティナスよ。まだそんな事を……やはり子供じゃのう。それに、お主らまだ気づかんのかえ?」
気づかねぇのかって何の事だよ……。
「お主ら魔族は人型に変わるじゃろう? 旦那様はの、人型状態のお主らを受け入れておるんじゃよ。それに比べて妾のこの体は常にこのままじゃ。つまり全てを受け入れておるのは妾だけなのじゃよ」
「う、うるせぇー! あたしは先生と唯一ハグした女だぜ? ぎゅーってされた事あるか?」
「そ、それ……は……」
「ふふふ……勿論、妾はあるぞえ。ギューとも、優しくも抱いて下さった……さらに言うと接吻もあるからのう。あぁ旦那様♡」
「せ、せせ……」
「で……では、ギュッとされた事がないのは…………わたくしだけなのですね……」
「違う! ばぁちゃんのはどれも記憶を共有する為にやった事だろ? ベル姉が前に言ってたし、知ってんだよーだ! 愛されてんのはやっぱあたしなんだよ!」
「ぬ、ぬう……レインベルめ、余計な事を……」
先生が興味あるのは絶対あたしなんだ。だってめちゃくちゃ優しいし、戦獣祭の時だって……あ、そうだ思い出した。
「やっぱ先生は、若くて乳のデカいあたしが好きなんだよ! だって、前にあたしの乳を見てたもん。修行の時、一回チラッと見た事もあったし」
「そ、それでしたら……わ、わたくしも見ていただきましたよ! わたくしの場合は全て見ていただきました!」
「す、すべ……全て!?」
「な、なん、なんじゃと……ネファーリア……お主、それってまさか……」
「…………え? ………………あ!? ち、ちち……ちが、違いますよ!? そうではなく、お風呂場で……見られ」
「な!?」
「ふ……風呂場で、じゃとぉぉ!?」
「だ、だから違いますって〜!!」
「なんで!? ガリガリのリア姉ちゃんの何がいいんだよ!? ほら乳はあたしのが大きいのにぃぃ!!」
「大きければ良いと言うものではないぞえ。妾の胸は適度な大きさじゃ。ほれ」
「そ、そうです! 大きければ良いと言う訳ではありませんよ。リラティナスさんのはただ大きいだけなのです! 形も大事だと思います!! これぐらいがアストの好みなのです!!」
「ただいま! みんな見てよ! ついに釣れたんだよ! ははは! これが話してたミズクロって魚でさ!」
って、先生が魚をあたし達に見せながら固まったんだ。
「な、なに……してるのみんな……」
あたし達は乳に手を当てながら、暫く先生と目を合わせたまま、時間が止まった。
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