↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
「うちの猫、夜になると人間と戦ってます』 ~ルーン魔法とタロットが導く、猫と犬の異世界戦記~  作者: 雨宮ぐみ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
9/16

第9話「一匹で四つの力」

第9話「一匹で四つの力」


ヴァルドが消えたあと。


レオンたちは、古代ルーンの聖域に残された巨大な石碑を調べていた。


「なあ、ミレイ」


レオンが石碑を見上げる。


「さっきのヴァルド……どう考えても普通じゃないよな」


「ええ」


ミレイはタロットカードを一枚引いた。


「普通のルーン使いなら、あれほど多くの力を同時に扱うことは難しいわ」


ガルが首をかしげる。


「じゃあ、なんであいつはできたんだ?」


ミレイが答える。


「人間が作ったから……かもしれない」


「作った?」


その瞬間――


ドンッ!!


聖域の奥から、大きな衝撃音が響いた。


「また来たのか!」


レオンが振り返る。


だが、現れたのはヴァルドだけではなかった。


黒い魔法陣の中から、ヴァルドがゆっくり姿を現す。


「……まだ終わっていない」


ヴァルドの身体には、複数のルーンが赤く浮かび上がっていた。


レオンが目を細める。


「アンスズ……!」


ᚨ《アンスズ》の力で、ヴァルドの動きを読む。


――右腕。


次の攻撃が来る。


「ガル、右だ!」


「おう!」


ガルが避ける。


しかし――


ヴァルドの背中に、別のルーンが浮かんだ。


ᚱ《ライド》。


「なっ……!」


ヴァルドの身体が一瞬で横へ移動する。


「ライドまで使えるのか!」


ガルが驚く。


ヴァルドはそのままガルの背後へ回り――


ᛏ《ティール》。


拳に強烈な力をまとわせる。


「ぐあっ!」


ガルが吹き飛ばされる。


「ガル!」


レオンが駆け寄る。


すると今度は――


ᛒ《ベルカナ》。


ヴァルドの傷が、わずかに修復されていく。


ミレイが息をのむ。


「……四つ」


「何?」


「アンスズ、ライド、ティール、ベルカナ」


ミレイがヴァルドを見る。


「あなたたちが仲間と分担している四つの役割を……」


一呼吸置いて。


「ヴァルドは、一匹で使っている」


レオンの顔が険しくなる。


「つまり……」


「そう」


ミレイが静かに答えた。


「ヴァルドは、一匹で軍隊と同じ戦い方ができる」


「マジかよ……」


ガルが起き上がる。


「それ、ずるくない?」


「猫の俺に言うな」


「なんで俺に言うんだよ!」


ヴァルドが再び突進する。


レオンはアンスズで動きを読む。


「ガル! 正面から受けるな!」


「分かった!」


レオンがライドで道を作る。


ガルが横へ回り込む。


そして――


「今だ!」


ガルがティールを発動。


「うおおおおっ!」


ヴァルドに一撃を叩き込む。


しかしヴァルドは倒れない。


逆に身体に浮かんだルーンが、不規則に明滅し始める。


「……?」


レオンが気づく。


「待て」


ヴァルドの身体がわずかに震えている。


「さっきまでと違う」


ミレイもヴァルドを見る。


「ルーン同士が……干渉している」


ヴァルドが苦しそうに息を吐く。


「……問題ない」


しかし、その声は明らかに苦しそうだった。


「人間は……私に力を与えた」


ヴァルドの身体に、さらにルーンが浮かぶ。


「戦うために」


レオンが叫ぶ。


「だから、お前は強いのか!」


ヴァルドは答えない。


ただ、身体を震わせながら再び構える。


ミレイがタロットを引く。


出たカードは――


「節制」


「無理に力を重ねれば、いずれ壊れる」


レオンがカードを見る。


そして、ヴァルドを見る。


「……だったら」


レオンが拳を握る。


「俺たちは、あいつより長く戦えばいい」


ガルが笑う。


「俺たちは四匹……じゃなくて三匹で役割分担できるからな!」


レオンがツッコむ。


「三匹って言うな! 猫と犬と猫だ!」


ミレイが冷静に言う。


「私を頭数に入れて」


「そこは入れるのかよ!」


戦いは、まだ終わっていなかった。


だが――


ヴァルドの身体に刻まれた**ᛞ《ダガズ》**だけが、他のルーンとは違う光を放っていた。


ミレイが呟く。


「……あのダガズだけは、他のルーンと違う」


レオンが振り返る。


「どういう意味だ?」


ミレイは答えない。


ただ、タロットをもう一枚引く。


カードは――


「隠者」。


「この聖域のどこかに……」


ミレイが静かに言った。


「ヴァルドの秘密を知っている者がいる」


そして聖域の奥から――


「……待っていた」


という、誰かの声が響いた。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。