表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異形の末裔達は利害の一致で恋をするか  作者: さえ
吸血鬼の末裔女子と淫魔の末裔男子の場合

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

3/16

③腕の中で良い夢を

吸血鬼対淫魔の回のラストです!

よろしくお願い致します

 凛の家にはまだ誰も帰ってきていなかった。家に上がり込むと彼女の部屋に案内され俺はベッドを背もたれにするように床に座った。ベッドにでも腰を掛けろと言ってくれたが何となく遠慮した格好だ。


「普段はどうしてんの?」


 俺の友達は新月は遠慮なく吸血出来る相手がいるから何も苦ではなさそうにしてる。貧血を起こさないように対策も出来ると言っていたが、その方法は聞いていなかった。


「薬があるのよ。でも一週間前から飲まなくちゃいけないの。今回はすっかり忘れてて飲み始めたのが三日前だったから、やっぱり効果はなかったみたい」

「家族は?皆で飲むんだから忘れないんじゃないの?」

「家族は症状が軽いの。薬飲まなくても普段の食事がちゃんとしてれば大丈夫なのよ。私はいわゆる先祖帰りってやつみたい」

「大変だよな。俺もそうだから」


 机の椅子に座る凛は複雑そうな顔で聞いてくる。


「自分じゃままならない症状があるのは同情出来るけど、夜神君のはその、どんな感じなの?」

「更哉でいいよ、俺も凛って呼ばせてもらうから。てか、こうやって話すの初じゃんな。ウケる」

「勝手に呼び捨てとか。まあいいけど。それで?」

「ああ、さっきも言ったけど夢見せて、その時の生気を吸わないとちょっとしんどいんだよ。新月が明けるまで悶々とし続けるの。息子は機能しないから発散できないし、もう一晩中拷問なんよ」


 先程までは同情の色も見えたがすっかり目は据わり表情はスンと冷めきっている。


「何だよその顔、ひでぇな。俺たちには対策するための薬も無いんだぞ!」

「はいはい」

「まあいいや。で、そろそろいいか?」


 俺が言うと、くる時が来たかと嫌そうな顔をしながら凛は体を緊張させる。


「一晩中、その、見なきゃならないの?」

「いや?見たいなら見せてやれるけど」

「すぐ終わらせて!家族が帰って来て起きなかったら心配させちゃうから」

「OK。まあさっき吸われた血の分だけ貰うつもりだったからそんなにかかんねぇよ」


 良かったと呟いて少し体の力を抜いたようだった。目が覚めた時も同じ言葉が聞けたら嬉しいが、無理だろうな。


「どうしたらいい?」


 覚悟を決めたのか俺の術を受ける体制を取ろうと凛は聞いてくるから俺は胡座をかいて腕を広げた。


「ここに来て」

「はあ!?」

「そうしなきゃ生気吸えねーんだもん。それともベッドに添い寝の方がいいか?」


 凛は俺の膝と自分のベッドを見比べてからおずおずと俺の向かいに正座する。


「こっちで、良い」


 俺は身を乗り出すと腕を掴んで凛の体を引き寄せる。組んだ足の上に横抱きにするような格好にして上から顔を覗き込んだ。凛は先程の青白さが嘘のように真っ赤な顔だ。俺はしっかりとその瞳を捉え目に力を集中する。


「おやすみ。良い夢を」


 真っ赤な顔で見開かれていた目が徐々にトロンと力を失って完全に閉ざされると、俺はその小さな体を抱きしめて首元に顔を埋め、大きく深呼吸を繰り返した。


「たまんねぇ」


 凛の首元でしばらくそうしてから顔を上げる。耳裏から首筋にかけて、なんて言うか凄く濃いんだ。フェロモンとかって言うやつなのかもしれないが、俺たちにとって非常に魅力的な気が流れ出てる。初めてだけどこれはやめつきになりそうでヤバい。


「そろそろ辞めてやらないとな」


 そう言いつつ凛の寝顔を覗き込む。眉根を寄せる顔は上気し、呼吸は浅く早く繰り返されていた。汗ばむ額に張り付く前髪をそっと掻き分けてやると軽く体が震える。


「ふっ、、ん、」

「かわいっ、どんな夢見てんのかなぁ」


 もう少し、気持ち良い時間が続いても良いだろう。あと少しだけ。俺は再び凛の首元に顔を埋めると大きく息を吸い込んで、ゆっくりと吐き出していく。掛かる息がくすぐったいのかまた体に力が入って小刻みに震えている。


「んぅ、、は、ぁ、、」

「はは、本当たまんねぇ」


 早く大人になりてぇな。そうしたら一緒に夢を見られるのに。


 顔を上げて窓に目を向ければ夕焼けも濃くなってきてた。名残惜しいがくれてやった血の量に対して少しばかり頂く生気がオーバーしたのもあって俺はそこで指をパチンと鳴らす。すると凛の荒かった呼吸が落ち着いて少しずつ覚醒し始めた。


「おはよう、凛ちゃん」


 最初は寝ぼけるようにぼーっとしていたがしっかりと目が開いたタイミングで声を掛けると物凄い勢いで顔を真っ赤にして飛び起きた。


「俺の見せる夢、どうだった?」

「知らない!覚えてない!」

「えー」


 やっぱり、良かったなんて言って貰えなかった。でも寝顔は十分気持ちよさそうだったからまあいいか。凛が逃げるように膝から離れてしまうと俺はスクッと立ち上がる。


「じゃ、俺帰るわ。また困った時はよろしくー」

「そんな時はもう二度と来ないし!さっさと帰れ!」

「ピンチを救ってあげた恩人に対してあんまりじゃ無いか?その態度」

「あんな夢見せておいて何が恩人よ!変態!」


 俺は凛の前に回り込むと、しゃがみ込んでニヤリと笑う。


「あんな夢って?覚えてないんじゃなかった?」


 既に赤い顔が更に赤くなる。すっかり血色も良くなって安心した。


「うるさい!」


 他人に対して怒った顔も可愛いとか初めて思った。俺は凛の頭をわしゃわしゃと撫でると乱れた髪で顔を隠してやって彼女の家を後にした。


 この日から俺は新月の夜の悪夢を見ることがなくなりぐっすりと眠れるようになったんだ。


「さっき相当顔色悪かったからなー。早く行ってやらないと」


 思い出に耽るのをやめて俺はもうすっかり通い慣れた彼女の家を目指して軽やかに歩き出した。





お読み頂きありがとうございました!

ところでR15ってどれくらいの表現まで許されるのでしょうか。。


次回から化け狸くん(ちゃん?)がアレな展開を繰り広げます〜

【目が覚めたら男友達に化かされました】お楽しみ下さい♪

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ