転生者VS転生者 前編
社畜営業マンから異世界へ転生し、種族『鬼人』となったヘリウス(元・斉藤啓鬼)。
初期位置の溶岩湖へ飛び込んだことでチートスキル【絶対再生】を獲得し、さらに【精霊召喚】で呼び出した『初代炎精霊女王・シリウス』との勝負に見事完封勝利を収める!
営業で鍛えた手際で溶岩から完璧な肉体(依代)を作り上げ、シリウスと正式な契約を結んだヘリウス。頼もしくも美しい最高の相棒を得た彼は、いよいよ思い出の溶岩地帯を脱出し、人里を目指すことにするが——。
「なあ、そろそろここを脱出しないか?何もなくて、飽きてきたぞ。」
結構悩まれると思っていたのだが、結構即答だった。
「よいぞ。」
食い気味だな。まあ、同じことを考えていたのだろうと思うことにした。
ということで、シリウスという信頼できる仲間もできたし、そろそろこの思い出の溶岩湖を脱出することにした。
「ここを脱出するのなら、南の村に向かうことにせぬか?」
む、村だって!?こんな溶岩だらけの荒れ地に!?村だって!?
これが文明化...なんだか感動だな。
「よし!じゃあ、そこに向かうことにしようか。」
目指すは先ほど女王が言っていた南にある村!
じゃあ、まずはここを出ないといけないな。
防御壁をつかって橋を作るのだが、この技術の範囲じゃ絶対に足りないが、シリウスの固有技術の【技術強化】で範囲がめちゃくちゃ伸びたので、結構楽勝で作ることができた。
(思ったよりも早く脱出することができたな...)
「ところで、ここからその村までどんだけかかるんだ?」
(まあ、どうせ長くても1時間程度だろ。)
という、甘い考えはダメだったを思い知った。
「ここから10時間程度じゃ。その程度、簡単であろう?」
10...10時間!?どんだけ遠いんだよ!その村!?
「ごめんシリウス。どうにかして時短できない?」
マジできついんだ。どうにか許してくれ。すまない、シリウス。
「ん?なぜ歩くことを前提でしゃべっているのだ?」
え?全く想像していないんだが、ほかの方法があるのか?
「その方法を教えてもらってもいいか?」
「私は精霊女王じゃぞ?転移魔法を持っているに決まっているであろう?」
あ。精霊女王なの完璧に忘れてた。そりゃ、強者からしたら転移魔法なんて誰でも持っているものだと思うのもしょうがないか。
じゃあ、お言葉に甘えて転移させてもらうことにしよう。
「じゃあ、お願いしてもいいか?」
「よかろう。では、行くぞ。しっかり範囲に入っておくのじゃぞ。」
そういった瞬間、大きな魔法陣がシリウスの周囲に出現した。
俺は範囲から出ないように心がけていた。
「転移」
といった瞬間、目の前に広がっていた景色は溶岩だらけの荒れ地から家だらけの村に変わった。
その瞬間、村にいた人々から悲鳴が響き渡る。
「きゃあぁぁぁ!」「うわあ!鬼人だ!討伐組合に通報しろ!!」
ああ。何だ差別か。やっぱりなんかあるだろうとは思っていたが、やっぱり差別だったか。
まあ、鬼人だし、モンスターだから驚かれるのは大体わかっていた。
(まあ、罵詈雑言なんて前世でさんざん言われてきたからな。この程度慣れっこだ。)
その瞬間、目の前に何かが出現した。
人だ。どうやら転移魔法を使ってきたらしい。
「通報を受けてやってきた。お前が突然現れた鬼人か?」
「ああ。そうd...」
そう言おうとした瞬間、シリウスが前に出る。
「ほう...?貴様、名乗りもなく偉そうじゃな?」
すこし機嫌が悪そうだ...せっかく依代ができてからご機嫌だったのに。
「ああ...これは失敬。まだ名乗っていなかったですね。私は討伐組合の副リーダーで、転生者のノダ=カズキです。失礼ですが、あなたたちのお名前をお伺いしてもいいですか?」
は!?転生者だって!?うっそだろ!?しかも名前的に俺と同じ日本人っぽいし。
でも、一目見て分かる。こいつ、めちゃくちゃに強い。
「ほう。少しは礼儀がわかったようじゃな。よかろう。私はシリウス=メルリールである。」
その瞬間、ノダと名乗る転生者は驚いた顔をうかべた。
「驚いた。初代精霊女王の1柱がなぜ鬼人の仲間に...?」
これがどうやらシリウスの逆鱗に触れたらしい。
めちゃくちゃむかついた顔してるもん。
「ほう。よかろう、殺してやる。」
そして目に追うことのできない速さで間合いを詰めるシリウスだったが、目の前にいるノダの姿が変わっていくのに気が付く。
角の生えた少しむかつく表情。1目見て分かった。
あれは俺だ。
どうやらシリウスも気が付いたらしく、攻撃を瞬時にやめた。
その瞬間、強力なカウンターがシリウスに直撃する。
「ぐはっ...!?」
結構なダメージだ。
でも、それよりも、なぜあいつは俺に変身した?
理解ができないが、1つだけわかることがある。奴はシリウスでさえ勝てるかわからない相手であると。




