神国の行方
黒髪と共に森に帰ってきた俺が見たのは
5人の女神ーズに囲まれている着物を着て懐剣を自身ののど元に突き付けている
正に元の世界の日本女性であったがなんか違う
俺だって結婚式や正月とかで着物姿は見た事があるが
どうも俺が知ってる着物姿とは違うようだ
打掛というのか着物の上にコートの様に羽織って
裾が広がりその打掛の中で正座をしている
「主様、お帰りなさいませ
お呼び立てして誠に申し訳御座いませぬ」
「ん、いいよ
それでこの人はどこから来たんだ?」
「神国の召還には違いありませぬが
如何やらその場召喚ではなく過去からの召還の様で
御座います」
「え、過去からの召還?」
「はい、如何やら主様の世界の過去からの召還の様です
この通りなにを言っても武器を首に当てて自害しようとするので
致し方なく見守っている状態です」
「ふーん、珍しい事もあるもんだな
普段のお前たちなら死ぬならさっさと死ねと言いそうだが」
「それは往生際の悪い者に対してで御座います
我等も一応は女神で御座いますゆえ
死を喜ぶモノでは御座いませぬ」
「そうか、で、何か言っていたか?」
「本人が申すところでは、数日後に自分の城で戦がある
その為に自分が居なくてはならないと
戻れないなら辱めを受ける前に死ぬと申しております」
「まあ、聞いてみるか」
「あー、そこのお嬢さん
俺はハジメと言うんだが
あんた名前はなんと言うんだ?」
名前を聞かれた着物の女はびっくりしたような顔で
「そなたの黒い髪、黒い目
まさかそなたは我が国のお方か?」
「んーん、まあそうだなあんたと同じ国から来たと言えばいいのかな?
それよりもそんな物騒な物を外したらどうだ?
落ち着いて話も出来ないだろう」
そう言って着物の女を見ると
きっぱりと懐剣を下し鞘に仕舞うと懐剣をひざ元に揃えて
その先に両手を揃えて頭を下げる
「妾は筑後の国山本郡の産にて誾千代と申しまする
此度の驚天動地の出来事に肝をつぶしましたが
こちらにおられる女御方にお世話をかけてしまいました
これ以上の抵抗は致しませぬゆえ
どうか一息にこの身を成敗してくだされ」
いや、見事なご挨拶を頂きまして有難う御座います
筑後の誾千代さんか
ん、もしかしてだけど
「もしやそなたは立花誾千代と申すか」
名前を呼ばれた誾千代は驚愕しながらも頷きながら
「はい、私は立花誾千代と申しまする
何故あなた様は私の事をご存じなのでしょうか?」
そう言った誾千代に向かい声を掛けたのは
アフロディーテだった
「控えなさい、人間の分際で主様にお声がけするなど無礼も甚だしい
命がいくつあっても足りませぬよ」
そう言ったアフロディーテに向かい誾千代は
「失礼ですがあなた様は異国の方の様にお見受けいたします
わたくしは死を覚悟した身で御座います
今更この命を惜しみは致しませぬが御仏の御慈悲にすがり
生き延びる事が出来ましたならばお寺を寄進して深く仏門に入る所存で御座います
また、死しても御仏の御慈悲により転生して我が民の為に戦い抜くので御座います」
アフロディーテは再びくちを開こうとしたが
「もうよい、横から口を挟むな」
「は、申し訳御座いませぬ」
慌ててアフロディーテは跪いて詫びを言う
「すまんな、うちの女神ーズが横から声を掛けて」
「いえ、わたくしは囚われの身でありますれば
ご査問は致し方なき儀に存じます
わたくしの世界に戻れぬのなら未練は御座いませぬ
どうぞ、さっぱりと御成敗くださいます様伏してお願い申し上げます」
そう言って、先ほどと同じように両手を添えて頭を下げる
「誾千代、いや誾千代殿と呼ぼうか
俺は物凄く怒ってるんだ
俺の間違いにな
誾千代殿がここへ来たのも俺のせいだ
めんどくさがりの俺のせいだ
すまなかったな、この通りだ」
そう言っておれは頭を下げる
それを見るなり女神ーズは慌てまくり
同じ様にあたまを下げながら
「誾千代殿と申されるか
妾達は、ここにおわせられる主様にお仕えする者
主様に詫びを言わせた誾千代殿に我ら始祖の女神一同
そなたに詫びをしよう
そしてそなたの覚悟見事なり」
そう言って女神ーズはさらに頭を下げて詫びをする
「いいえ、そのような詫びは必要では御座いませぬ
わたくしは何時でも死を覚悟する様に生きてまいりましたゆえ
ただ、元の世界に帰って共に死にたいので御座います」
「お前ら、頭を上げろ
お前らも大概やばいはずだが
流石にこの時代の女傑は心持が違うな」
「恐れながら申し上げます
主様、これなる誾千代殿を以下がなされるおつもりか
妾達が連れ戻ってその戦とやらを終わらせてまいりましょうか?」
「いや、誾千代殿を送り返すだけでいいだろう
但し、送り返すのは明日にする
今宵は誾千代殿を交えて宴会としよう
誾千代殿、あすはそなたを筑後に送り返そう
せめて今夜はわが屋敷にて休んで頂きたい
大した屋敷ではないが疲れは取れよう
食事も口に合わぬかもしれぬが勘弁してもらおう」
「お前ら、俺の初めての客だ
大切に扱えよ
送り返したら神国に罰を与えるからな」
女神ーズは一斉に跪いて頭を垂れる
「主様のお心に添えます様力を尽くします!」
「誾千代殿、食事はどの様なのもがお好みであるかな?」
「わたくしは好き嫌いは御座いませぬゆえ
何でも大丈夫で御座います」
「誾千代殿、温泉はご入浴頂けぬが内湯があるので
そちらであせを流していただこう」
「その様なお気遣いはご無用に願いまする
わらわは囚われの身なれば如何様に扱われても
仕方なき身なれば夜露に塗れて草を枕に致しましょうぞ」
いや、それは困るな
俺の大事なお客様だし
ちょっと待てよ、なんか肝心な事を忘れている気がするが…




