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異世界、ダメ、絶対!!もう誰も異世界には行かせません!!  作者: 榊 珠江
開花編

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おれたちの戦いはこれからだ

 富士の裾野に歓声が響く中、国防軍からの通信が入る。各地で隣国の攻撃が止んだとのことだ。各国の魔導兵器のパワーの源泉は魔岩だったため、レッドドラゴンを討伐したことで無力化されたようだ。敵国は撤退をはじめ、国防軍は防衛の成功を報告している。


 ハルモニアも現在は投稿したベイル兵の収容を始めていた。ベイル人達は、レッドドラゴンによって傀儡にされたことを理解しており、むしろ中核世界やラークス人にお礼を伝えていた。争うことなく、戦争の事後処理が進んでいく。


 俺はハルモニアの仲間とと共に、臨時で設けられたキャンプ基地で、体を休めていた。戦いに次ぐ戦いで、疲労はピークだ。いくら拒絶の力でも、こう気が緩むと疲労の拒絶まで気が回らない。俺の隣では巴ちゃんが寝息を立てていた。


「室田、すまん。少しこちらへ来れるか」


 銀から呼び出しがかかる。巴ちゃんが起きないようにそっと毛布をかけ、銀の元へと向かう。


「すまんな、疲れてるだろうに」


「いや、休ませてもらったし、それよりみんなも休めてるのか?」


「オスロからも支援が来たから、順次休み始めている。が、ちと来客でな。例の神々がお前に話があるらしい」


 なんと、これはまた断れないお客様だ。基地の外れの森の中に、すでに小林君とエステルが待っていた。その手には、天から舞い降りたコスモスの花が握られていた。


『待っていました。室田さん』


 花から声が聞こえた。コスモスの女神の声だ。花はエステルの手を離れ、空中へと浮かび上がると、花からコスモスの花びらが舞い、女神の姿が現れた。


『みなさん。此度の戦い、誠にご苦労様でした。レッドドラゴンの魂は我らの世界へと還り、禍津凪の元、罪を贖っています』


「そうか。これで、世界は平和になって落ちつていくんでしょうか」


『我らは、この世界を良き方向へと進ませるつもりです。ですが、実際に世界を進ませるのは、この世界に住まうあなた方一人一人の心の在り方次第です』


「おっと、これは耳が痛そうな話が始まりそうだ」


 軽口を叩く小林君の足をエステルはきゅっとつねり諌める。


『中核世界人にも魔に魅入られた者は大勢います。魔にたぶらかされ、戦争を引き起こした彼らをどうするかは、同じく中核世界の人々が決めるべき事です。ですが、この世界を超えた大きな流れがこの世界に及んでいることもまた事実です』


 いまいち、要領を得ない話だ。何が言いたいのだろうか。


「女神様。ひょっとして、この動乱はまだ終わっていないということですか?」


 一同がギョッと反応する中、女神は静かに頷いた。


『魔岩は、一つではありません。そして、その魔岩に魅入られた神々もまだ多く存在するのです。今もなお異次元の世界から虎視眈々と我らの世界を狙っているのです』


 これは困った話だ。耳ではなく頭が痛くなる話だ。あれほどの強大な存在がまだまだいて、こちらを狙っているなんて。一度に来られたらたまったものじゃない。


「女神様、だとすれば、私たちは一体どうすればいいのでしょうか?」


『エステルよ、まずはこの世界を平和と繁栄に導きなさい。そうすれば、魔の力が忍び寄ることも防げます。魔岩は人間のエゴや欲に反応しするもの。自分を信じず、仲間を信用せず、労せずに他者から豊かさを奪い取ってでも己の欲するままに生きるもの達から魔岩の餌食になります。まずは、一人一人が、自分の人生を生き、他者を助け、幸せに生きられる世界を目指すのです』


「つまり、人に優しく、自立して、真っ当に生きればいいってことでしょうか?」


 俺の素朴な感想を聞いて、女神は満足そうに頷いた。


『いずれあなた方と志を共にする共となるべき世界が現れるでしょう。その時に備え、どうか共に良き世界を作っていきましょう』


 その言葉を残し、女神は姿を消し、花も霧のように消えてしまった。異世界だけではなく、異次元の世界まであるとは、なんとも壮大な話だ。だが、かかる火の粉は振り払わなければならない。それより何より、俺たちは、いい世界を作っていかなければならない。


 今回の大規模な騒乱によって、魔法や異世界の存在も隠し通せるかわからないらしい。いずれ情報公開の上、正式に異世界との国交することもあるとかないとか。


 問題だらけで不幸が蔓延るこの世界で、どこまでやっていけるのかわからないが、それでもやれることをやるしかないだろう。


 つまり、俺たちの戦いはこれからだってことだ。

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