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素直な王女と天才奴隷の恋物語〜政略結婚が決まった大国の王女は、異世界から来た奴隷に溺れる〜

作者:雨 杜和
 大国ラドガ辺境国で生まれた王女マリーナ、十八歳。彼女は執政官である最高権力者ヘルモーズ卿のひとり娘だった。
 首都から離れた郊外の城で、家庭教師や使用人たちとともに暮らし、大切に育てられたマリーナは世間を知らない。自分で買い物もしたこともなかった。外部との繋がりといえば友人のグルヴィアひとり。美しく世間知らずの深層の令嬢である。
 十八歳の誕生日が近づき成人としてお披露目舞踏会が、父の本城で開催されることになった。王女ははじめて田舎の城を出て都会に向かった。
 首都に到着してすぐ大通りで自分の名前を呼ぶ美しい声を聞く。
 それはリュートを片手に歌う「アヴェ・マリア」の曲。はじめて聞く、その曲と歌声に彼女は心惹かれた。
 歌っていたのは、奴隷に落ちた異世界からきた男ユーセイ。日本の音大で将来を嘱望されたエリートだった彼は、意図せずこの世界に転移してしまった。二酸化炭素が多い異世界の空気に、彼は意識を失い、気づいたときには奴隷として売られていたという。
 一方、マリーナは父親が開いた舞踏会で多くの求婚者と出会う。
 その一人、北の大陸にある小国フレーヴァング王国の王子との結婚を父は望んでいた。
 フレーヴァング王国は長い間、シオノン山の降灰に悩まされ作物が枯れ、国民は飢えていた。しかし、一年前に、この国に救世主「炎の巫女」が現れ、ドラゴンとともにシオノン山の怒りを鎮めた。ドラゴンの力を持つ、かの国は列強の興味の対象に躍り出た。
 王女であるマリーナの結婚は政略であり、北の大陸に足がかりの港湾を持ちたい父と、隣国のシルフィン帝国の脅威に、豊かな国ラドガ辺境国の力と資金を得たいという王子、両国の思惑が合致する結婚である。
 世間知らずの王女は、そんな状況にも関わらず奴隷であるユーセイに恋してしまった。
 友人グルヴィアや、母親代わりの使用人の助けを経て、マリーナはユーセイを奴隷から解放する。
 ふたりはラドガ辺境国から逃げ、フレーヴァング王国の山にある一軒家に愛の巣を作る。それから、半年、異世界から来たユーセイとの愛に溺れる王女。
 しかし、異世界とこの世界は空気が違う。ユーセイの身体は徐々に……。
第1章
姫君への手紙
2021/08/03 20:00
社交界へ
2021/08/04 09:00
王子との出会い
2021/08/04 20:00
華やかな舞踏会で
2021/08/05 11:00
奴隷の歌
2021/08/05 20:00
マリアの歌
2021/08/06 11:00
再び出あった彼
2021/08/07 20:00
彼の歌声にうずく日
2021/08/09 20:00
王子の訪問
2021/08/10 20:00
第2章
奴隷を買う
2021/08/11 11:00
奴隷を買う 2
2021/08/11 20:00
彼との、はじめての夜
2021/08/12 20:00
冷えた心
2021/08/13 20:00
恋のゆくえ
2021/08/14 11:00
第3章
逃避行
2021/08/16 20:00
愛しています
2021/08/17 11:00
ご褒美のキス
2021/08/17 20:00
焚き木での抱擁
2021/08/18 11:00
官能の日々
2021/08/19 20:00
暴漢に襲われて
2021/08/23 11:00
王子との交渉
2021/08/24 11:00
王子を誘惑
2021/08/24 20:00
彼の元に帰る
2021/08/25 11:00
最終話
2021/08/26 11:00
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