表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
10/14

第二章 第4話 図書室の奥

 もっとだ。もっと何かあるはずだ……。


「ん……?」


 本棚を漁っていると、奥にもう一つ棚があることに気付いた。

 だが、その棚の方まで行く道がない。


「もう使ってない棚なのか?」


 いや、そんな訳がない。どうにか行く手段があるはずだ。


 よく観察すると、何個か分かった。

 一つ、向こう側の棚の隙間は、人が一人やっと入れる程度。

 二つ、棚は壁に接しているからか、全く動かない。

 三つ、上に登って向こう側へ行くことは出来なさそうだ。


 うーん、本を全部どかして棚を解体するしかないのか?

 とりあえず一番下の段の本をどかしてみると、棚の四方に大きな釘があった。


「あ、これで動かないのか……」


 そしてもう一つ、一番下の段の真ん中……そこに床にまで達する、大きな穴が空いていた……!


「何だ、これ……。待てよ、この大きさ、四方の釘と同じくらいじゃないか……?」


 つまり、つまりだ。四本の釘を全部外して、一本をこの真ん中の穴に捩じ込めば、この棚は回転するんじゃないのか……。そうすれば向こう側にたどり着ける。だが、普通の大きさのドライバーじゃ絶対に無理だ。


 どうする。


 今は諦めて、いつかここに来ることにするか、今とりあえず試してみるか。

 試してみよう。無理だったらそれはそれでいい。


「ドライバーなんて持ってないから、五百円玉でも使ってみるか」


 ……無理だな。大体何だよこの大きさ。取ったら武器として使えるんじゃないかって思うほどだ。


 仕方ない、諦めよう。何か思い付いたり、機会があったらまた来ることにしよう。頻繁に訪れるのは止そう。


 他に何かないだろうか?


 私立望月学園高等学校、この高校が現実にあるものだとすれば、俺のオリジナルはその生徒かもしれない。いや、俺だけじゃない、教師や生徒も、皆。


 校長はオリジナルなんていないと言っていたけれど……絶対に嘘だ。


 けれど、一体何のために、AI……Tera AIなんてものが生まれたのだろう。実験のためというのは、どこか嘘くさい。オリジナルもいるはず。つまり、校長が俺にしてくれた説明は、建前だ。


 真実を突き止めれば、このイカれた学園から脱出出来る。記憶が引き継がれたまま何度も高校生をやってたら、俺のがイカれちまう。


 そこまで考えて、笑いが込み上げた。

 とりあえず、今のところは教室に戻っかな。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ