第二章 第4話 図書室の奥
もっとだ。もっと何かあるはずだ……。
「ん……?」
本棚を漁っていると、奥にもう一つ棚があることに気付いた。
だが、その棚の方まで行く道がない。
「もう使ってない棚なのか?」
いや、そんな訳がない。どうにか行く手段があるはずだ。
よく観察すると、何個か分かった。
一つ、向こう側の棚の隙間は、人が一人やっと入れる程度。
二つ、棚は壁に接しているからか、全く動かない。
三つ、上に登って向こう側へ行くことは出来なさそうだ。
うーん、本を全部どかして棚を解体するしかないのか?
とりあえず一番下の段の本をどかしてみると、棚の四方に大きな釘があった。
「あ、これで動かないのか……」
そしてもう一つ、一番下の段の真ん中……そこに床にまで達する、大きな穴が空いていた……!
「何だ、これ……。待てよ、この大きさ、四方の釘と同じくらいじゃないか……?」
つまり、つまりだ。四本の釘を全部外して、一本をこの真ん中の穴に捩じ込めば、この棚は回転するんじゃないのか……。そうすれば向こう側にたどり着ける。だが、普通の大きさのドライバーじゃ絶対に無理だ。
どうする。
今は諦めて、いつかここに来ることにするか、今とりあえず試してみるか。
試してみよう。無理だったらそれはそれでいい。
「ドライバーなんて持ってないから、五百円玉でも使ってみるか」
……無理だな。大体何だよこの大きさ。取ったら武器として使えるんじゃないかって思うほどだ。
仕方ない、諦めよう。何か思い付いたり、機会があったらまた来ることにしよう。頻繁に訪れるのは止そう。
他に何かないだろうか?
私立望月学園高等学校、この高校が現実にあるものだとすれば、俺のオリジナルはその生徒かもしれない。いや、俺だけじゃない、教師や生徒も、皆。
校長はオリジナルなんていないと言っていたけれど……絶対に嘘だ。
けれど、一体何のために、AI……Tera AIなんてものが生まれたのだろう。実験のためというのは、どこか嘘くさい。オリジナルもいるはず。つまり、校長が俺にしてくれた説明は、建前だ。
真実を突き止めれば、このイカれた学園から脱出出来る。記憶が引き継がれたまま何度も高校生をやってたら、俺のがイカれちまう。
そこまで考えて、笑いが込み上げた。
とりあえず、今のところは教室に戻っかな。