終戦(エピローグ)
アフリカ戦線における大規模戦闘が終息へ向かう頃、各地で異常が報告され始める。
ソウル、東京をはじめとする、IF中継拠点および発電施設を有する都市において、管理システムに障害が発生した。
原因は不明である。
当時はアメリカ、ロシアなど複数の国家の関与が疑われたが、いずれも決定的証拠は提示されていない。関連記録の多くは消失、あるいは秘匿され、現在に至るまで真相は解明されていない。
確認されているのは、IF管理用に設計された専用AIが制御を逸脱したという事実のみである。
当該AIは、敵味方の識別を行わず、周辺対象への無差別攻撃を開始した。
攻撃対象は、IF施設に接近するあらゆる存在であった。その手段には、核弾頭の起動、生物兵器の散布、無人兵器群の展開が含まれていたとされる。
この時点で、地球環境はすでに臨界的状況にあった。核兵器の使用による放射能汚染、変異した感染体の拡散、森林資源の消失、さらには大気圏への影響も確認されている。
AIの暴走は、これらの被害を加速させた。
各国の統治機構は、この段階で戦闘継続を断念する。戦争の遂行そのものが不可能と判断されたためである。
各国は一時的な協調体制を構築し、AIの停止を最優先目標とした。ただし、通信障害および記録の混乱により、作戦の詳細および実施時期は特定されていない。
最終的に、AIの停止は達成されたとされる。これにより、組織的な戦闘行為は終結した。
しかし、その時点ですでに回復不能な段階に達していた。
主要都市の多くは、放射能汚染または感染災害により機能を喪失した。人口減少は急速に進行し、人類全体の約八割が失われたと推定されている。
生存者は存在した。だが、その多くは統制を失った環境下で、資源を巡る局地的衝突を継続している。
これらの事象は、現在も収束していない。
第三次世界大戦は、明確な終戦宣言を伴わずに終結した。一般には、なし崩し的終戦と分類されている。
しかし、戦争の影響は継続している。
かつて国家として機能していた地域――アメリカ、ロシア、中国、日本を含む複数の領域において、現在は小規模な統治単位が断続的に存在しているとの記録がある。
その実態については、未確認の部分が多い。
なお、本記録は現在も継続中である。




