第39話 魔術師マリーン
「えぇこちらが、目の魔導書を見に来た魔術師のマリーンさんです。」
課長の横にトンガリ帽子にローブ、白い長いヒゲで丸眼鏡に杖を持った如何にも魔術師が立っていた。
「私が魔術師のマリーンじゃ。長年開かなかった魔導書が開いたと聞いて無理を言って見に来たのじゃ。早速…ん?」
黒川さんがコーヒー片手に目の魔導書を読んでいる。
「…彼女は魔導書を読めてるのかね?」
「さぁ…。」
「黒川さん、ちょっと目の魔導書借りていいかな?」
「…ん」
漫画の貸し借りか。
「では…。ん?開かん…。」
魔導書は目を閉じ、開かない。
「あぁ駄目なパターンですね。私もたまにこうなって開かなくなるんですよ。」
「なんじゃと?!わざわざ内容を確認するために来たんじゃ!魔導書よ頼む!少しでいいから見させてくれ!」
偉い人が土下座をしている…。
魔導書はマリーンさんと目も合わせない。
「頼む。…ちょっとだけ!ちょっとだけでいいんじゃ!ほんの1ページだけでも…!(ハァハァ)」
血走った目でマリーンさんが明らかに駄目な頼み方をしている。
「うわぁ…」
黒川さんもドン引きしてる。
その時、魔導書の目が赤く開き、マリーンさんに向かって赤い光が放たれた。
「ぐあああぁぁぁ!!!」
光を浴びたマリーンさんはスッと消えてしまった。
目の魔導書はプンプンしてる。
「あれ?!マリーンさん消えちゃいましたよ?!大丈夫なんですか?!」
「…どうしようかね…。とりあえず本社に報告しとくよ。」
何事もなかったかように課長は本社にFAXを送った。
お土産に用意したお饅頭はみんなで食べた。
翌日
「マリーンさん大丈夫だったよ。向こうに強制的に戻ってたみたい。機会があったらまた来るって。」
きっとマリーンさんが目の魔導書の中身をみることはないだろう。




