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第57話 真相

ちょっと長めです。

 詩織side



 あの日、私は日曜日の優希から少し恐ろしいものをかんじたため、少し心配になって優希に着いてきた。


 そして優希が轢かれ、私は急いで写真を撮る。車から降りてくる様子がなかったため、このまま逃がしては行けないと思ったのだ。

 警察に電話をしながら、優希の方を見る。


 優希は頭から血を流していて、意識はあるようだが目が虚ろだった。

 駄目、駄目よ優希。死んじゃ駄目。私たちを置いていかないで。



「優希、しっかりして! 優希!」



 電話をしているのも忘れて、私は優希に向かって叫ぶ。


 私が焦るのとは対照的に、優希はゆっくりと瞬きをしている。動く力が出ないのかもしれない。


 先に電話を終わらせようと思い、私は手短に電話をする。車のナンバーも伝えたし、直ぐに動いてくれるようなので、私は電話を切って優希の方に戻る。


 電話にそんな時間は掛かっていなかったが、優希はさらに虚ろな、何も見えていないかのような目になり、私は更に心配になる。



「優希、優希、置いてっちゃダメ。死んじゃダメよ」



 そう言ったことも聞こえていないのか、優希から反応はない。どうしようと私が戸惑っていると優希が口を小さく開いた。


 声が小さく聞こえずらかったため、優希の口に耳を近付ける。



「おおとり……アイツらが……」


「はぁ?」



 優希がそこまで言うと一言も発さなくなってしまったため、生きていることを確認してから私は急いで救急車を呼ぶ。





 救急車を読んだ後、私の中で一つの形(・)が見えてきた。

 どうせすぐに分かることなので、あくまで考察ということになるのだが。



 この事故の形、つまり全容はこうだ。

 まず大前提として、この事故はあのクソ野郎ども、鳳海星と神楽坂絵里と神坂瑠璃の計画したことであるということ。


 そして、計画は以前からあったのかもしれないが、実行に移ったのはここ数日ということ。


 恐らくこの土日か学校で発信機か盗聴器など、その類いの何かを優希の靴か何かに仕掛け、優希の位置が分かるようにしたのだろう。

 そうでなければ、今日このタイミングで事故を起こせるはずがない。


 もしかしたら以前からスマホやそれ以外の手段で盗聴や位置情報を得ていたのかもしれないが、実行のタイミング的にはココ最近の行動と見た方がいい。それまでアイツらは油断しきっていた筈だからである。


 アイツらは優希の今日の予定、つまりバイトに行くということを知り、その通り道をある程度予測し、その中で一番人が少なく確実に優希を狙える所を選んだ。


 その証拠に、この道は家からバイト先までの一番近道で、なおかつ人通りや車通りが殆ど無いところである。今も人の姿は殆ど見えない。


 そして恐らくGPSで優希の来るタイミングを計り、車で優希を轢いた。車の出処は誰かの家にあったものだろう。


 優希はその車に覚えがあったのか、それとも顔を見たのか。とにかくアイツらに関連する情報をあの時得て、それであの言葉を発したのではないか。



「……許せない」



 優希の頭を触ると、手にベッタリと血が付いた。血はもう既に止まってきている様だったが、優希が目を覚ます気配は無い。


 パトカーと救急車のサイレンが鳴る中、私は優希を見下ろしながらアイツらへの殺意を押し殺していた。




 ☆☆☆




 あれから優希は2日ほど目を覚まさなかった。今日もまだ目を覚ましていない。


 特に問題があるところは無かった。頭の傷も、そこまで深いものではなかった。意識が戻らないことだけが、唯一の問題だった。



 あの後、直ぐにクソ野郎どもは捕まり、それぞれに罪を擦り付けたことによって事件の全容が明らかになった。

 近くに監視カメラもあり、直ぐに車の行方は分かった。

 自白すれば罪が軽くなるとでも思っていたのか、愚かな奴らだ。




 今回の事故を計画したのは鳳。計画を立てたのは一週間ほど前、丁度鳳が慰謝料を鈴谷と言う人から請求されたあたりだ。


 親から金を盗み、盗聴器と発信機を買った。ネットの購入履歴も残っていたそうだ。


 盗聴器を私たちの家の玄関に、発信機を優希の靴に仕掛けたそうだ。盗聴器は日曜日に仕掛け、発信機は月曜日に学校の下駄箱で仕掛けたようだ。


 元々杜撰な計画だとは思っていたため、計画に時間をかけた訳では無いだろうと思っていた。


 土曜日に優希の態度を神楽坂と神坂に確認させ、最終確認として鳳が日曜日に優希の家に行った。

 そこで優希の反抗的な態度が分かり、実行に移すこととなった。


 日曜日や月曜日の朝にバイトに着いていく事は話していたため、そこからバイトへ向かうルートを考えたのかもしれない。

 そのルートから人気の少ない道を選び、親の車を勝手に使った。ちなみに、ナンバーは隠されていた。


 ちなみに、発信機だけではなくカメラを交差点に仕掛け、タイミングがズレないようにしたらしい。


 あとは、発信機とカメラから優希の行動を確認して、事故を起こしたという訳だ。


 おおよそ私の考えていた形は合っていた。




 今回の事故はかなり悪質なものなので、十分刑事裁判に掛けられる可能性がある。


 意図しての事では無いが、今回の事故によってアイツらの将来は終わったと考えていいだろう。


 優希が事故にあったのだから決していいことでは無いが、もう二度とあのクソ野郎どもの顔を見ることは無いだろう。


 私はそう考えながら、今日も優希の所へ向かった。




 ☆☆☆




「優希、入るわよ」



 放課後なので、私が行くと既に那月と莉子が来ていた。


 優希は相変わらず目を覚まさない。あぁ、このまま死んでしまうなんてことは無いだろうか。もし死んでしまったら、私はどうすればいいのだろうか。


 そんな不安が、胸の中に霧のように立ち込めていく。


 優希は、外見は特に変わったことは無い。頭に包帯を巻いているくらいだ。

 早く起きて欲しい。また優希と一緒に過ごしたい。



「ねぇ、詩織姉。優希兄は大丈夫だよね」


「大丈夫よ……私のせいで優希がいなくなるなんて無いわよね……」


「2人とも、優希くんは大丈夫だよ。きっと起きるって」



 全員、優希が起きることだけを祈って、優希の事を見つめている。


 すると、莉子が口を開く。



「私ね、私が何を言ってもいつも通りに接してくれた優希兄が好きだったの。思ってもないこと言っちゃっても、優希兄は優しくしてくれた。

 だから、優希兄が義理の兄だって分かった時は嬉しかった。だからね、早く起きてね。優希兄」


「莉子(ちゃん)……」



 莉子は優希に語りかけるようにそう言った。それに続くように那月が口を開く。



「優希くん、私は優希くんに救われたの。優希くんがあの時来てくれなかったら、私は今もこうしていられるか分からない。

 だから、優希くんを好きになったし、優希くんに恩返ししたいの。ようやくあの人達がいなくなったのに、優希くんが戻ってこないのは嫌。負けないで、優希くん」



 私も、それに続いて話し出す。



「最初は、優希の事はただの弟だと思っていたわ。でも、一緒に暮らしていく内に優希が可愛くて仕方がなくなったの。そして実は義理の弟だって分かって、優希をハッキリと異性として意識するようになったわ。

 恋なんて初めてで、暴走することもあるし、分からないことだらけよ。でも、優希を好きな気持ちは本当なの。私のせいで優希に怪我させちゃってごめんなさい。お願いだから、目を覚まして……」



 私たちは、それぞれの気持ちを初めて表に出した。今までは好きだとしか言っていなかった。

 だから、ここで初めて皆の気持ちを知った。


 私は、皆の気持ちを知ったからこそ、私が優希に怪我をさせてしまったことを悔やみ、気付くと涙を流していた。


 すると、2人は私の背中を擦りながら慰めてくれる。


 私は、この4人の関係を崩したくないと思いながら静かに泣くのだった。

次話、初めてで初めてじゃない、です。


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― 新着の感想 ―
[気になる点] 序盤では車のナンバーを伝えたと言っていたのに、中盤では、ナンバーは隠されていたと言っているのは矛盾しているのではないかと思います
[一言] この中で唯一妹とくっつくとやばそう。 私が何やっても許してくれるから~ってのが前提で我慢できなくなったらどうすんのっていう。 まぁそうなったら別の物語書けるからそれはそれで。
[一言] 捕まったクズ視点も読んでみたいです
2023/02/22 14:02 退会済み
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