第49話 訪問 土曜日午前
土曜日の午前十時。
久しぶりの自由時間を満喫するため、姉ちゃんに捕まった状態でゲームをしていると、インターホンが押された。
「誰だろ?」
「さあ? 那月とかじゃないかしら」
特に今日誰かが来る予定は無いはずなので、俺たちは首を傾げながらも玄関へ向かう。
「はーぃ……」
俺がドアを開けると、そこには見たくない人物が一人立っていた。
「あっ、優希。ちょっといい?」
そう言ってそこに立っているのは元幼馴染の神坂。
俺はよくないのでドアを閉める。
すると、ドアを激しく叩く音がし、「お願いだから開けて!」と叫ぶ声が聞こえてきた。
このまま五月蝿いのが居ても面倒なので、俺はもう一度ドアを開ける。
「…なんだ」
「あっ、ありがとう」
誰だコイツ、気持ち悪い。
これが今の神坂を見た率直な感想である。今まで散々俺の事を馬鹿にしてきたくせに、急に媚びるような感じで来られても気持ち悪くて仕方ない。
俺が顔をしかめていると、後ろから更に不機嫌そうなオーラが漂ってきた。
神坂がビクッとした事と、この冷たい雰囲気からすると、姉ちゃんなのだろう。
「用があるならさっさとしてくれ。俺はお前らに構ってるほど暇じゃない」
まぁ、暇ではあるのだが。
「その、も、もう一度やり直さない? また幼馴染だった時みたいに」
「「はぁ?」」
「私が悪かったの。だからもう一度元の関係になりたいなって」
頭が大丈夫なのか気になるが、謝罪もしないような奴ともう一度仲良くしろだなんて、無理に決まっている。
姉ちゃんもそう思っているようで、更にオーラが強まっている。
「あのなぁ、お前って俺に謝ったことあるか?」
「え?」
「ここまでお前から一言もそんな言葉聞いた覚えないんだけど。そもそも、言われたとしても元の関係に戻るつもりは無いし」
「そうね。今更何様のつもりなのかしら。優希と仲良くすれば自分の噂がどうにかなるとでも思っているのかしら」
姉ちゃんがいかにも不機嫌そうな声で後ろからそう言う。
俺としてもこれ以上コイツの顔を見ていたくないので、ドアを閉める。
「じゃ、もう用がないなら帰ってくれ」
「いや、待ってよ!」
「お前がどうなろうと、俺に関係ない」
そこまで言って俺は強引にドアを閉める。
これ以上何か言っても無駄だと分かったのか、ドアを叩く音は聞こえなくなり、代わりに「もう何を言っても無駄だからね!」と言う叫び声が聞こえてきた。
「はぁ…何考えてんだか」
「もう忘れましょ、優希」
そう言うと、また姉ちゃんは後ろから抱きついてきて、そのままリビングに向かい、ゲームをして午前中を過ごした。
次話、土曜日午後です。
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優希以外の視点に関しては、本編が終わったあとに書くつもりです。




