第39話 どうして
玄関が近かったので、ドアを開けると、そこには那月が立っていた。
「那月? どうして…」
「しばらく会えなかったから寂しくて…迷惑だったかな?」
そう言って首を傾げる那月に迷惑だと言える訳もないし、なんなら助かったかもしれない。
姉ちゃんと莉子を説得して欲しい。
「いや、大丈夫。むしろ嬉しいよ」
「本当? あと、入ってもいいかな?」
「別に構わないよ」
「ありがと、じゃあお邪魔します」
俺が話していることに気付いたのか、後ろから姉ちゃんと莉子が覗いている。
特に断る理由も無いので那月を家に入れ、リビングに連れて行く。
リビングには朝食が用意されていて、今日は俺と一緒に食べる日だ。
リビングに俺が入るなり、莉子は俺の手を掴んで強引に椅子に座らせ、その上で俺の上に座ってきた。
何故か那月を睨んでいる気がするが、気の所為だろう。
那月はというと、その光景を見て少し驚いた後、姉ちゃんと何か話しているようであった。
出来れば止めて欲しかったのだが、仕方ない。
ここ1週間、習慣になって来ている朝食を終え、俺は那月と姉ちゃんの所へ向かう。
「待たせてごめん。まだ食べてなかったから」
「ううん、大丈夫。…それより、今の状況聞いたんだけど」
「そうか」
今の状況を聞いているということは、助けてくれる可能性があるんじゃないか?
そう期待してはいるのだが、那月の様子がおかしい。
目を輝かせている。
「優希くん、私もそれに混ぜて?」
「……は?」
「2人だけイチャイチャ出来るなんてズルいもん。それに、私は優希くんに自由時間作ってあげるよ?」
助けるという選択肢が無いことは少し残念だが、自由時間と言うのは悪くない。
2人が3人になったところで、もう正直変わらない気がする。
「まぁ、それなら…」
「「優希|(兄)、自由時間が欲しいの?」」
俺が那月を受け入れようとすると、聞いていた2人から息ピッタリに質問された。
勿論、自由時間が欲しいに決まっている。
折角の夏休みなので、楽しんでおきたい。
…今後、楽しむことが出来るのが何時になるかは分からないのだから。
「あぁ。流石に欲しいよ」
「そう。そういうことなら…」
そこからは早かった。
結局俺は最後まで捕まってはいたのだが、3人が1周したら一日自由時間を貰えることとなった。
その代わり、それぞれと過ごす際は、より捕まっている時間が増えることとなった。
那月は、自分の日だけ朝から家に来ることになった。
そんな感じで、俺の夏休み後半は、姉ちゃん、莉子、那月の3人に捕まって終わった。
一応、自由時間にアニメを見たり、ラノベを買いに行ったりすることは出来たので、まだマシだっただろう。
さて、二学期が始まる。復讐の二学期が。
☆☆☆
ひんやりとし、明かりの一つも無い真っ黒な空間。
その中心に、僅かに中から光を放つ箱の様なものがある。
俺はその箱を開けようとするが、開けることが出来ない。
箱をよく見ると、幾つもの南京錠のようなものが付いていて、一つだけそれが外れているところから光が漏れ出ている。
その光を見ると、どこか懐かしいような、何か分からない感情に襲われた。
その箱には、何か大事なものが入っている気がしたが、俺にはそれが何か分からなかった。
お待たせして申し訳ありません。二学期から、優希の復讐が始まります。
次話、二学期初日です。
誤字脱字、アドバイスなどよろしくお願いします。
R6.3.7追記 皆様、いつも誤字脱字の報告ありがとうございます!




