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新橋 時代劇好きの聖地

 新橋にある鬼平犯科帳が好きならのたうち回って喜ぶお店。


 ここはですね。実はあんまり人に教えたくない。なぜなら小さな店だから。

 店の名前でググると六人くらいしか入れない店なんてレビューがありますが、そんな事はない。その六人には女将さんも含まれてるし、六人入ったら隣の人と肩があたります。

 おそらく、三人がベスト。ほぼ、四畳半。


 鬼平の作者さんの名前からとった名前。そして提灯の前に菅笠? 三度笠? 区別はつきませんが、笠が出してありました。


 これ、作品のファンなら気が付くはず。

 街に潜んでいる手の者が、鬼平に情報を提供する際の合図の一つですよね?


 狭いところの奥にあるので、とても入りにくいし敷居も高いのですが、私はこれを見て迷わず入りました。


「なんでこの店来たんですか?」

「いや、笠が出てたので」


 店内に入って、いらっしゃいの後にこんなこと聞かれる店はここだけですよ。


 お店で出すお酒は、作者様が愛したという銘柄の他、戦国武将や大名などの名前を冠したものばかり。「推しと同じ名前だから」「推しの好きなものだから」そういう理由です。ファンの鑑。


 料理も、1巻でのあのエピソードで食べていたメニューですよ、とか。全てに女将のこだわりが光る。

 中でも九条ネギは……世間で流通している九条ネギじゃなくて当時の時代に食べられていた種を作っている農家さんから直接買い付けているとか。


 私は、実は鬼平よりも剣客商売の方が好きなので、素直に女将さんに伝えたところ、それもカバー範囲だったらしく。


「どのエピソードが好きなの」

「『狂乱』ですね。あの、誰にも認められることのなかった不遇な男が小兵衛さんにであって、少し心が緩んだところに魔が差す……幸せを掴みかけた所で全てを台無しにしてしまったが故の、最後のセリフのカッコよさ、痺れます」

「『新妻』とかもいいのよね」

「あれは良いですね!」


 ただのオタクトークです。

 小説も好きだけど、女将さんは映像派らしく、萬屋錦之介がいいか中村吉右衛門が良いかなど、熱く語られます。俺の注文した煮込み、よそったなら早く下さい……


 私はお酒とお漬物だけ注文してあとはお任せにしておくのですが、カボチャの煮たのとか蕪とかをつつきながら、鬼平の男の魅力と色気について語られ、グッズを見せられ、その話をスルーしながら小兵衛さんのカッコよさを勝手に語る。


 あれです。仮面ライダー好きが怪獣酒場とかのもっと濃いお店に行った時の振る舞い。

 カウンターしかないので、隣の見知らぬ常連さんとも話が弾みます。鬼平縛りで。


 鬼平が好きならとにかく楽しいお店なのですが、重要な点が一つ。

 「料理はめちゃくちゃ美味しい」んです。

 だから、ゆったり飲みに同僚を連れて行ったりしたいんですが、趣味が合わないとなかなか……という難しい店だったりします。


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