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TAKE TIME WORLD  作者: areafa krain
19/20

第19部

57編

「アイアンシールド!」

「大文字焼き!ゴォォォォォォォォォ!」

「くっ!俺の鉄壁の盾で防ぎきれるか…⁉︎」

「時生さん!私達には何も出来ないの?」

「時生さんが身を(てい)して戦ってくれて

いるんだ。最悪の場合は美春のリバイブを

使って蘇生してくれ。それぐらいの覚悟で

望まないと勝機はない!」

「そうね。蘇生できる美春と時生さんさえ

死ななければ、最悪私達が死んでも

何とかなるわよね。

私も死を覚悟で行くわ!」

「そうか…。その方法があったよね。

私達3人が死んでも蘇生すれば、また

戦えるもんね。美春!頼んだよ!」

「皆…。分かった。私も覚悟を決めるよ!

3人が死んだらいち早く蘇生して回復して

みせるね!行こう!」


「ファイブアトリビュート五連撃からの

ジャンプ斬り!突き!」

「一刀両断!」

「ホーリーライト!」

百花繚乱(ひゃっかりょうらん)!」

「君達!何を戦場に出てきてるんだ!

俺が持ち堪えられるまで下がっていろ!」

「それは出来ません!

時生さんばかりに助けられてばかりでは、

私達の力でこの街を守れません。

いや、守らせてください!」

「胡桃ちゃん…。皆…。分かったよ。

最悪蘇生は美春ちゃんと俺でするから。

美春ちゃんだけは死なせるな。」

「分かっています!

俺は妹を守り抜きます!」

「お兄ちゃん…。」

「あらあら。カッコいい事言っちゃって。

雷太らしくないわね。」

「うるせーぞ!」


「そんな事より敵の攻撃が来るぞ!

全員回避だ!」

「ちょこちょこと目障りだな。

まとめて殺してくれるわ!

これで終わりだ!斬撃の雨!」

「ブシァァァァァァァァァ!」

「何だこの鋭い針のような雨は!

こんな攻撃、俺の時には無かったぞ!

避けるんだ!」

「キャァァァァ!全身が痛い!まずいわ…。

このままじゃHPが尽きる…。バタッ!」

「麗華ちゃん!蘇生しなきゃ!

リバイブ…。キャァァァァ!

ダメージを受けて

それどころじゃ無いよ…。」

「美春!俺が庇ってる間に蘇生しろ!

仁王立ちからのアイアンボディ!」

「お兄ちゃん!ありがとう!リバイブ!」


「パァァァァァァァ!生き返ったのね…。

でも半分のHPしかないわ。」

「ウグッ!俺もそろそろ限界だ…。

後は頼んだぞ…。バタッ!」

「雷太くん!クソっ!俺も自分の身を

守るだけで精一杯だ…。美春ちゃん!

早く蘇生を!」

「お兄ちゃん…。私を守ってくれたんだね。

本当にありがとう。リバイブ!

そして、私ももう力が残ってないみたい…。

バイバイ。」


「パァァァァァァァ!生き返ったか…。

美春!何でお前が死んでるんだ⁉︎

まさか自分の回復もせずに

俺を蘇生させたんじゃ…。

時生さん!早く美春に蘇生を!」

「分かってる!

もう少しで隙を突けそうなんだ!

すぐに行く!」

「あぁ…。やっぱり私も蘇生出来たけど、

半分のHPじゃ持たないみたい。

ごめんなさいね。

後は任せたわよ…。バタッ!」

「麗華ちゃん!麗華ちゃんまで死ぬとは

マズイな…。一旦、全員蘇生だ!」


「フハハハハハハハ!そうはさせるか!

要のお前が死ぬば全ては終わりだ!

渾身の一撃!」

「グァァァァァァァァ!

まさか俺を標的に絞ってくるとは…。

読みが甘かったな。2人共すまない。

俺ももう終わりだ…。バタッ!」

「時生さん!雷太、どうしよう⁉︎

蘇生出来る2人が死んじゃった…。

私達だけで戦うしかないの?」

「胡桃!お前には俺が居る!

命を張ってでも守ってみせるからな!」

「雷太…。逆境になっても

(くじ)けちゃいけないよね。私も戦うよ!」

こうして、美春も麗華も時生さんも失った

私達は2人だけで戦う事になったのである。


58編

俺は未来の魔王幹部戦で悪夢を見せられた。

胡桃を失う夢だ。確かにばあちゃんとの

後悔をずっと引きずっていたが、

俺にとって一番怖いのは

胡桃が居なくなる事だ。

その想いは気付いたら芽生えていた。

誰にも言った事は無い。

俺だけの心の中で暖めてきた気持ちだ。

今回の戦いでばあちゃんとの後悔を

どんな形であれ晴らせたのは良かったが、

胡桃が戦いの中で危険に(さら)されたり、

ましてや死ぬなんて事があったらと

考えると俺は気絶しそうになった。

それ位俺にとって、胡桃という存在は

大切なものだ。

自分の命を張ってでも助けたい愛しい人だ。

この絶望的な状況で、

必ず胡桃を守ってみせる。

例え俺が死ぬ事になったとしても…。


「胡桃!俺が敵の攻撃を全部引き受けるから

代わりに攻撃してくれ!」

「雷太!何言ってるの⁉︎

回復手段が無いんだよ?

雷太まで死んだらどうするの!」

「俺の事は気にすんな。

最悪、無双モードもカウンターもある。

何とかなるさ。それに…。

俺に守らせてくれよ。胡桃を。」

「雷太…。分かった。

無茶だけはしないでね!行ってくる!」

「胡桃!頼むぞ!

仁王立ちからのアイアンボディ!」


「美しい愛の形を見せてくれるんだな。

しかし、愛などという物は所詮(しょせん)(もろ)いものだ。

自身を強くするのは支配欲のみだ。

それをそこの男に分からせてやろう。

渾身の一撃!」

「グァァァァァァァァ!

パキィィィィィィン!

俺のアイアンボディが解けただと⁉︎クソっ!

まずは無双モード発動!からの

カウンター!」

「パァァァァァァァ!

バギャァァァァァァ!」


「グァァァァァァァァ!

ダメージを与えただと?

この全知全能の神に楯突こうなど

100年早いわ!これで死ね!

かかと落とし!」

「胡桃!これで一定時間は物理攻撃も

魔法攻撃も無効化されるはずだ!後は

お前に託す。頼んだぞ!相棒!

グァァァァァァァァ!バタッ!」

「雷太!嘘でしょ…。雷太まで死ぬなんて

私1人でどうやって戦えばいいの…。

許せない…。雷太まで奪うなんて

絶対許せない!私だけでも倒してみせる!」


私はそう叫んだ瞬間、身体中が

今までにないくらい熱く燃えそうになった。

(何これ…。今までの無双モードとは

違うの?凄くエネルギーが(みなぎ)ってくる!)

精霊が頭の中で言った。

「胡桃ちゃん!このモードは

もしかして胡桃ちゃんだけに与えられた

特殊なモードかも!これなら敵を倒せる!」

(これなら…。

これなら全知全能の神だろうが倒せる!)


「仲間も奪い、雷太も奪ったこの憎しみを

全身全霊でぶつけてやる!」

胡桃の本当の戦いはこれからであった。


59編

美春も麗華も時生さんでさえも

死んでしまった。

私を守ると言ってくれた雷太まで

私を(かば)って命を落とした。

私は込み上げてくる怒りを()き出しにした。

その瞬間に今まで感じた事の無いくらい

身体が熱くなり、燃え上がりそうになった。

(何この状態は…。熱い!だけど、

凄く力が(みなぎ)ってくる!)


「胡桃ちゃん!聞こえる?これは

もしかしたら胡桃ちゃんだけが使える

特殊なモードかもしれない!

一度だけ耳にした事があるんだけど、

歴代のモンスターを倒してきた

勇者的存在の中でも、

際立って才能溢れる勇者には超無双

モードっていうとてつもない力が

発動するんだ!それを使えば恐らく、

全員蘇生出来てHPもMPも満タンの

状態になるよ!」


(嘘でしょ…。全員生き返って、

しかも全回復するっていうの?

それが本当なら

(わら)にもすがる思いだわ!)

「分かった!使ってみるね!

超無双モード!」

「パァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!」

今までに見たことの無いくらい眩い光に

包まれた。


「凄い…。死んでいった皆の元に魂が

戻っていく…。」

「あれ?私、結局蘇生出来なくて

死んだはずじゃ…。」

「私も斬撃の雨を食らって

死んだはずだけど。」

「俺も自分の甘さを自覚せずに渾身の

一撃を食らって情けない事に

死んだはずだったような…。」

「…。俺は何故生き返っている?

胡桃を守り抜いて

命を落とした気がしたんだが。

まさか守りきれなかったのか?」


「皆!生き返ってくれたんだね!

ありがとう…。本当にありがとう。

改めて貴方達の存在の尊さや大切さを

思い知ったよ。」

「まさか胡桃ちゃんが

生き返らせてくれたの?」

「何だか胡桃には

助けられてばかりで(しゃく)だわね。」

「胡桃ちゃん!またしても君がこの絶望的な

状況を救ってくれたのか?ありがとう!」

「胡桃!生きてて良かった…。俺は

自分の役目を果たせたんだな。」


私は気付いたらボロボロと涙を零していた。

「胡桃ちゃん!泣いてるの…?」

「今までしっかりしなきゃって、

皆を引っ張らなきゃって、

街を平和にしなきゃって

ずっと頑張っててて…。グスッ。

それが皆が死んじゃうんだもの。

心細かったよ。

ずっと張り詰めてた糸が切れちゃった。」

「胡桃…。いつの間にか貴方にばかり

負担を掛けてたわね。ごめんなさい。」

「胡桃。その1人で抱えてきたものを

俺達3人にも背負わせてくれないか?

俺達だって胡桃1人に

押し付ける気は無かった。

でも、実際は追い詰められてたんだよな。

気付いてあげられなくて本当に

ごめんな。俺にも背負わせてくれよ。

とりあえず泣止め。」

雷太が私の涙を拭ってくれた。


「お兄ちゃん…。やるねぇ。」

「俺はもう気持ちを

隠さない事にしたんだ。」

「カッコいいわね。

たまには良い所があるじゃない。」

「コホン!君達、感動話もいいが浸るのは

全知全能の神を倒してからにしようぜ。」


(そうだった…。

皆が生き返った嬉しさで忘れてた。)

「皆、あいつを倒して街に平和を

取り戻そう!」

「了解‼︎!」

こうして、窮地に立たされていた私の

状況は不思議な力により、

一変したのであった。

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